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*芽依side*
私の願いが届いたのか、私が退院したのは、海翔の腕の中でイッパイ泣いた日から一週間くらい後のことだった。
ーーー
ーー
そして退院してから一月後の現在、私は海翔の病院で受付の仕事をしている。
と言っても、ベテランの山下さんのお手伝いなんだけれど……。
山下さんが帰った後、海翔は次の日の準備を終わらせると、
「芽依。まだ、帰んないのか?」
っていつも声を掛けてくる。
「……あ、うん。 急ぎじゃないんだけど、切りの良いとこまでしておきたいの。もうすぐ終わるから……て、あっ、ちょっと海翔、ダメだってば。 今は仕事中なんだよ?」
そして、私がいつものセリフを告げると、決まって後ろから抱きしめてくる。
「いーだろ、別に。俺の病院なんだしさぁ……」
甘えた口調で拗ねたように言いながら。
「だからじゃない! プライベートと仕事の区別はちゃんとしとかないとダメだよ……。
ほらほら、海翔は、ミルクにご飯あげて来て……ね?」
それを私が注意しながら、お願いすると。
「解ったよ。 あーぁ、冷たいよなぁ?
芽依は俺と居るより塩との方が良いんだな?」
なんて文句を言いつつも、ミルクの居る部屋へと向かうのだった。
***
退院して直ぐに、私は勤めていた松岡フーズを辞めた。
お見舞いに来てくれた松岡主任は、身体のことは気にしなくていいって言ってはくれたんだけど……。
なんとか一人で歩けるようになったとはいえ、余り重たいものは持てないし。
工場で何かあって迷惑を掛けることになるのも嫌だったし。
一番の決め手は、
『受付の山下さんが一人で大変そうだから動物病院の仕事を手伝って欲しい。 芽依がイヤじゃなかったら、俺のことを支えて欲しい』
っていう海翔の言葉だった。
でも、そう言ってくれた海翔は、私が仕事を辞めることに決めたって伝えると、私がそうするなんて思いもしなかったようで、酷く驚いていた。
そんな海翔に、
『……ごめん。本気にしちゃった。ヤッパリ仕事辞めるの……やめる』
不安になった私が、そう言うと、
『イヤ、そうじゃねーよ! 芽依が、あんまり嬉しいこと言うから放心してただけだって』
焦った海翔は、私のことを優しく抱きしめながら
『ありがとう。スッゲー嬉しい』
そう言ってくれたのだった……。
私の願いが届いたのか、私が退院したのは、海翔の腕の中でイッパイ泣いた日から一週間くらい後のことだった。
ーーー
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そして退院してから一月後の現在、私は海翔の病院で受付の仕事をしている。
と言っても、ベテランの山下さんのお手伝いなんだけれど……。
山下さんが帰った後、海翔は次の日の準備を終わらせると、
「芽依。まだ、帰んないのか?」
っていつも声を掛けてくる。
「……あ、うん。 急ぎじゃないんだけど、切りの良いとこまでしておきたいの。もうすぐ終わるから……て、あっ、ちょっと海翔、ダメだってば。 今は仕事中なんだよ?」
そして、私がいつものセリフを告げると、決まって後ろから抱きしめてくる。
「いーだろ、別に。俺の病院なんだしさぁ……」
甘えた口調で拗ねたように言いながら。
「だからじゃない! プライベートと仕事の区別はちゃんとしとかないとダメだよ……。
ほらほら、海翔は、ミルクにご飯あげて来て……ね?」
それを私が注意しながら、お願いすると。
「解ったよ。 あーぁ、冷たいよなぁ?
芽依は俺と居るより塩との方が良いんだな?」
なんて文句を言いつつも、ミルクの居る部屋へと向かうのだった。
***
退院して直ぐに、私は勤めていた松岡フーズを辞めた。
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なんとか一人で歩けるようになったとはいえ、余り重たいものは持てないし。
工場で何かあって迷惑を掛けることになるのも嫌だったし。
一番の決め手は、
『受付の山下さんが一人で大変そうだから動物病院の仕事を手伝って欲しい。 芽依がイヤじゃなかったら、俺のことを支えて欲しい』
っていう海翔の言葉だった。
でも、そう言ってくれた海翔は、私が仕事を辞めることに決めたって伝えると、私がそうするなんて思いもしなかったようで、酷く驚いていた。
そんな海翔に、
『……ごめん。本気にしちゃった。ヤッパリ仕事辞めるの……やめる』
不安になった私が、そう言うと、
『イヤ、そうじゃねーよ! 芽依が、あんまり嬉しいこと言うから放心してただけだって』
焦った海翔は、私のことを優しく抱きしめながら
『ありがとう。スッゲー嬉しい』
そう言ってくれたのだった……。
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