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番外編~海翔のライバル~
#4
しおりを挟む「……え!? 居るって、もしかして…」
海翔の言葉に驚き過ぎた私は、大きな声を出していた。
そんな私に対して海翔は、
「あぁ、多分な…」
言葉も態度も、とても落ち着いてるように見える。
「海翔スゴい! どうして解ったの?」
そんな海翔に興奮気味に聞いてみれば、
「だって芽依、今月生理まだだっただろ? 普通だと終わってんのに」
さも当然の事のように自分の事のように言ってのける海翔。
「……え、あ、うん。えっ!? 覚えてるの? まさか日付まで?」
「ん? あぁ、覚えてる。 症状や数値って一度聞いたら覚えてるし。職業病だろうな?」
キッパリ言い切る海翔にまたまたびっくりさせられた。
けど、お腹に手を当てて、ここに居るのかもって思っただけで……
「スッゴく嬉しい」
嬉しくてたまらなくて、いてもたってもいられなくて海翔に抱きつけば……。
「俺は、ちょっと複雑だけどな」
そんな意外な言葉が返ってきたのだった。
……え?
今、『複雑』って言ったけど……。
前にも言ってたように、まだ父親になることに不安があるってことなのかな。
それとも、子供があんまり好きではないってことなのかな。
どちらにしても、海翔にとってはあんまり嬉しくないってことなんだよね……。
「芽依?」
「……え?」
色々考え込んでたら海翔に呼ばれて、ゆっくり海翔の様子をうかがいながら視線を向ければ、
「また、なんか悪い方に考えてたんだろ?」
「……え? なにが?」
フッと軽く笑った海翔に聞かれたけど、うわの空だったから海翔の言葉が頭に入ってこなくて キョトンと見つめることしかできなくて。
そんな私の心の中を見透かしたように、
「だから、俺が父親になる覚悟ができてないとか、子供が嫌いだから嬉しくないんじゃねぇかって、考えてたんだろって聞いたんだけど……。違うか?」
「……う、うん。そういう意味じゃなかったの?」
ズバリ言い当てられてしまったけど、海翔が何を言いたいのかが益々解らなくなってしまった。
「俺、芽依が妊娠してるかもって思った時にな、芽依にもし何かあったらって、不安で堪らなかったんだ。猫や犬と違って、生まれるまでに10ヶ月もかかるだろ?
いくら医学が進歩してるっていっても、絶対なんて保証なんかない訳なんだし。もし、芽依を失うことになったらって……。
いくら人間の医者じゃないっていっても獣医師のクセに、可笑しいよな? これじゃ父親どころか、芽依の支えになんてなれねぇよな?」
ただただ、海翔が心配そうな表情をして、真剣に話してくれるのを聞いてたら、少しずつ胸のどこか奥の方からあったかい何かが込み上げてきた。
言い終えた海翔は、自嘲するような笑みを浮かべて私のことを優しく見つめた後、いつもそうしてくれるように、ふわりと優しく包み込むようにして抱きしめてくれた。
途端に、胸の奥からあったかいものが涙と一緒に溢れて止まらなくなってしまって。
「芽依、ごめん。不安にさせるつもりじゃなかったんだ。ごめんな?」
「ち、違うよ。不安になったんじゃないの。海翔にそんなに色々心配してもらえて。そこまで想ってもらえてスッゴく嬉しいの…」
自分のせいで泣かせたと勘違いして謝ってくる海翔にしがみついて、ただ自分の想いを伝えるのに精いっぱいだった。
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