お前は用済みとパーティから追放されたらエースアタッカーの幼馴染もついてきた~最強ハーレムパーティに成り上がる俺の裏で元パーティは転落していく

荒火鬼 勝利

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第16話  決闘

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「おい、何黙ってんだよ」
 苛立ちを滲ませた声でカルミアが問い詰める。

 しかし、ユークは静かに彼の目を見据え、はっきりと言い放った。
「俺は、お前のパーティーには戻らない!」

「……はぁ!?」
 思いも寄らない返答に、カルミアの顔が険しく歪む。

 ユークはさらに言葉を続けた。
「もちろん、セリスもだ!」

 握りしめた拳に、知らず知らずのうちに力がこもる。

「お前、何言ってんのか分かってんのか?」
 信じられないといった表情でカルミアが言い返す。

「お前こそ分かってるのか? もう俺もセリスも、お前のパーティーじゃない! お前が追い出したんだろ!!」

 ユークの声には、かつての悔しさと決意が込められていた。

「……ああ、なるほどな。お前、ちょっと調子に乗ってんだろ?」
 その声には、僅かに怒りが混じっていた。

「調子に乗ってるのはお前のほうだ!!」
 ユークの今まで胸の奥に押し込めていた感情や悔しさが、言葉となって飛び出した。

「……一度、痛い目見ないと分からねぇみたいだな!」
 カルミアが拳を固く握りしめ、勢いよく振りかぶった。

 しかし――

「そんな、雑な攻撃が!」
 ユークは瞬時に体をひねり、紙一重で拳をかわす。カルミアの拳は虚空を切り、バランスを崩した。

「なっ……!」
 驚愕するカルミア。しかし、その隙をユークは見逃さなかった。

「当たるわけないだろ!!」
 ユークの拳が、カルミアの顔面を真正面から捉える。

「ぐっ……!」
 鈍い衝撃とともに、カルミアの顔が歪む。足元がふらつき、そのまま尻もちをついた。

 その瞬間、周囲からクスクスと笑い声が漏れる。

 気がつけば、いつの間にか見物人が集まっていた。前衛の剣士が、舐めてかかった後衛の強化術士に殴り倒されたのだ。その光景は、あまりにも情けないものだった。

「くっ……!」
 カルミアの顔が怒りと羞恥で真っ赤に染まる。

 ユークはそんな彼を見下ろし、静かに言い放った。
「もうやめよう、カルミア。俺はもう、お前と関わるつもりはないよ」

 その声には、もう未練も怒りもなかった。ただ、それだけのことだった。

 だが――カルミアにとっては違った。

 ユークの表情が、まるでカルミアを哀れんでいるように見えたのだ。  

「お前がっ!!!」  
 怒号とともに、カルミアは剣を引き抜いた。激情のまま、その刃を振り上げる。  

「くっ!」  
 ユークは杖を抜いて身構えた。カルミアの殺気を肌で感じ、彼が本気で斬りに来ていることを悟ったのだ。  

「おおぉぉぉぉおお!!」  
 カルミアの剣が唸りを上げる。容赦のない斬撃がユークを襲う。  

「《スパークライト》!」  
 ユークは即座に魔法を放つ。しかし――  

「そんなもん、当たるかよっ!」  
 カルミアは軽々と回避した。  

「おらぁ!」  
 鋭い剣閃が走る。  

「ぐぁっ!」  
 ユークは避けきれず、服に切り傷がつく。  

「ちっ、浅いか」  
 カルミアが舌打ちする。ユークは体勢を立て直し、再び魔法を唱えた。  

「《スパークライト》!」  

「言ったろうが、そんなもん当たらねぇって!」  

   カルミアのジョブは上級剣士。才能のあった彼が日々の鍛錬を欠かさなかった結果、彼の技量はすでに一流の域に達していた。

 幼い頃から父親に鍛え上げられたセリスすら、純粋な技量だけで言えば彼に敵わないほどだ。その動体視力と反応速度は、ユークの魔法など容易く見切る。

 だが、ユークもただの魔法使いではない。  

「《スパークライト》!」  
 魔法の発動と同時に、ユークは腰のポーチから取り出した小石を投げた。魔法は避けられたが、石の軌道はカルミアの死角を突く。しかし――  

「甘い!」  
 カルミアは剣で小石を弾き飛ばした。  

(くそっ……ダメか!)  
 ユークは密かにフレイムアローを放つ機会を狙っていた。カルミアはユークが攻撃系の魔法を使えることを知らない。その隙こそが、唯一の突破口だった。  

「そらそらそらそらっ!」  
 カルミアの剣が風を切り、怒涛どとうの連撃がユークを襲う。

 ユークは必死に身をよじって回避するが、全てを避けることはできない。鋭い刃がかすめるたび、服が裂け、無数の浅い傷が刻まれていく。じわりと滲む血の感触が、痛みとともに意識を刺激した。

(――まだ倒れるわけにはいかない!)
 必死に耐えながら、ユークは最後の切り札を狙う。 

「ぐっ……!」  
 膝が崩れそうになる。しかし、カルミアはそこで止めを刺そうとはしなかった。

「どうした? さっきまでの威勢は」

 楽しげな声が降ってくる。カルミアの顔には余裕の笑みが浮かんでいた。まるで、獲物がじわじわと追い詰められる様を楽しんでいるかのように。  

(……こいつ、俺をいたぶってるつもりか?)
 ユークの胸に沸き上がる怒り。しかし、それをすぐには表に出さない。逆に冷静になり、好機を待つ。

 剣の猛攻が、ふと止まる。 

(――!)  

 ユークは転がるようにして距離を取ると、素早く小石を拾い上げ、力の限り投げつけた。  

「チッ、またかよ!」  
 カルミアが反射的に剣を振る。視線がほんの一瞬、そちらに向いた。 

「《フレイムアロー》!」  

 ユークはその隙を逃さず、に魔法陣を展開。カルミアの死角から炎の矢が一直線に放たれる。  

「ちぃっ!」  
 カルミアが素早く反応し、間一髪でその攻撃を回避する。ユークは思わず息を呑んだ。  

「なっ!? なんで……」  
 彼の渾身の奇襲が防がれたことに、心の中で驚きが広がった。  

「口だよ」  
 カルミアがニヤリと笑う。  

「お前、詠唱してたのに魔法陣が見えなかったんだよ。そりゃ警戒するだろ」  

 ユークは息を呑んだ。魔法は詠唱によって魔法陣を展開し、発動の際に魔法名を唱える。

 普段は手元や杖の先に出すそれを、カルミアの背後に出して奇襲を仕掛けたつもりだったが、カルミアは詠唱の段階で違和感を感じ取り、周囲を警戒していたのだ。  

「そんな……」  
 ユークはその事実に呆然とする。次からはフレイムアローすら通じない。絶望感が胸に押し寄せる中、彼は必死に考えを巡らせた。

(何か……何かないのか……)

 そして、ふと思い出した。アウリンから教わった魔法の増幅法。彼女から聞いた魔法学校で起きた暴発事故の話が、頭の中で鮮明に蘇る。  

(フレイムアローの威力を上げても、当たらなければ意味がない……でも、もし……)  
 ユークは一か八かの賭けに出る決心をした。  

「どうした? もう終わりか?」  
 カルミアが嘲笑ちょうしょうしながらゆっくりと近づいてくる。  

 ユークはゆっくりと顔を上げた。その瞳には、まだ戦意が宿っていた。  

「てめぇ……まだやる気か!」  
 カルミアが剣を構えたが、その瞬間、ユークが詠唱を開始し彼の手元に再び魔法陣が現れる。

 カルミアの目が鋭くなる。彼は警戒し、周囲を見回した。 

(……何を仕掛けてくる? だが、どんな魔法でも避けてみせる!)  
 そう確信した次の瞬間、ユークが目を閉じる。カルミアはその動きに一瞬戸惑ったが、すぐに勝利を確信した。  

(……ビビったか? なら――)  
 カルミアが冷笑した、その刹那、ユークが魔法名を叫んだ。  

「《スパークボム》!」  
 次の瞬間、視界が一瞬で白くなる。 

「ぐああぁぁぁぁぁっ!! 目がぁっ!」
 カルミアは叫びながらその場で目を手で覆い、苦しむ。

 ユークが仕掛けたのは、あの『スパークライト』の閃光効果を最大限に増幅した即席の魔法だった。暴発とも言えるが、その威力は圧倒的だ。

 視界を完全に奪われたカルミアは、よろめきながらも剣を振る。しかし――   

「無駄だ!」  
 ユークの姿は、すでにその場にはなかった。

「《フレイムアロー》!」

 振り回されるカルミアの剣の横っ面に炎の矢が炸裂する。

「ぐあっ!」
 予想しない方向からの強い衝撃に、カルミアは手から剣を放し、その剣は地面に突き刺さった。

 その瞬間、周囲に集まっていた野次馬たちがどよめき声を上げる。

「クソッ!」
 剣を失ったカルミアは八つ当たりのように地面を蹴り、怒りをぶつける。

 数瞬後、視力が回復したカルミアの目に映ったのは、杖を向けるユークの姿だった。

「まだやるのか?」

 ユークの冷徹な言葉が響いた。


 ◆◆◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.11)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:買ったばかりのプレゼントのことはすっかり頭から抜けている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
カルミア(LV.13)
性別:男
ジョブ:上級剣士
スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能を向上させる)
備考:さすがに殺す気は無かったが負けるとは欠片も想像していなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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