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第22話 依頼掲示板
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ユークはセリスを伴い、ギルドのカウンターへと足を運んでいた。
昼下がりのギルドは相変わらず活気に満ち、依頼を受ける者、報酬を受け取る者、情報を交換する者たちで賑わっている。
「すいませーん!」
ユークがカウンターに声をかけると、受付嬢がにこやかに応じた。
「はい、ご用件は?」
ユークは肩にかけていたリュックを下ろし、中からひときわ大きな魔石を取り出す。
それをそっとカウンターの上に置くと、深紅の 輝きがギルドの灯りを受けて妖しく煌めいた。
「十階のミノタウロスを倒したんですけど」
受付嬢の瞳が驚きに見開かれる。
「これは……! おめでとうございます! これであなた方は正式な探索者として認められます!」
彼女はユークとセリスの探索者カードを手に取り、ギルドの紋章が刻まれたスタンプを押す。
カードの片隅に小さく光る印。それこそが、正式な探索者の証だった。
「このスタンプがあることで、ギルドと提携しているお店でギルド預かりのお金をそのまま使えるようになります。いちいちギルドで引き出す手間がなくなって、買い物が楽になりますよ」
ユークはカードをじっと見つめる。確かに、わざわざ現金を持ち歩かなくて済むのはありがたかった。
「それから、正式な探索者になったことで依頼を受けることができます」
受付嬢がギルドの壁に設置された掲示板を指差した。
そこには数々の依頼が張り出されている。
「依頼を受けるには、気になる紙を取ってカウンターに持ってきてください。それで正式に受注となります」
「依頼を失敗したらどうなるんですか?」
ユークの問いに、彼女は落ち着いた微笑みを浮かべた。
「特にペナルティはありません。ただし、故意に失敗したり、ギルドに損害を与えたりすると違約金が発生しますのでご注意くださいね」
「なるほど……」
「依頼を達成すれば報酬としてお金がもらえますし、ギルドの信用も上がります。信用が上がれば、より報酬の良い依頼も受けられるようになりますよ」
ひと通りの説明を受け、ユークは探索者カードをポケットにしまった。
「じゃあ、戻ろうか」
セリスとともに、待たせていたアウリンたちのもとへと向かう。
「終わったよ」
「アウリンたちは来なくてよかったの?」
セリスが不思議そうに聞くと、アウリンは軽く肩をすくめた。
「私たちはもう貰ってるから」
そう言いながら、自分の探索者カードを取り出して見せる。
そこにはすでにスタンプが押されていた。
「どうする? 11階に行ってみる?」
ユークが全員を見回して尋ねると、セリスは迷いなく答えた。
「私はユークについていくけど」
「私はどちらでも構わないわ~」
ヴィヴィアンがヘルムを外し、おっとりとした口調で続ける。
「だったら折角だし依頼を受けてみない? ユークたちは初めてでしょ?」
アウリンが提案すると、ユークは少し考えたあと頷いた。
「う~ん。そうだね、それもいいかもしれない……」
「決まりねっ! ほら、あれよ!」
アウリンが掲示板を指さす。
ユークたちは掲示板の前へ移動し、貼られた依頼の紙を眺めた。
『猫を探してくれ』
『子供たちに魔法を教えてほしい』
『実験を手伝ってくれ』
「……少なくない?」
三種類しかない依頼の紙を見て、ユークは首をひねる。
「こんな時間だからね、みんな朝に持ってっちゃうのよ」
アウリンが実感のこもった口調で説明する。
「これなんてどう?」
ユークは『子供たちに魔法を教えてほしい』と書かれた紙を取り、アウリンに見せた。
アウリンは紙をざっと確認し、少し考え込む。
「んー、悪くはないけど、報酬が安いわね。それより、こっちのほうが良いかも」
そう言って、『実験を手伝ってくれ』と書かれた紙を取り上げる。
「……大丈夫なの? それ」
ユークが不安そうに尋ねると、アウリンは軽く肩をすくめた。
「詳細を見る限り、変なことはしなさそうね。それに、珍しいジョブを求めてるみたいだから、ヴィヴィアンとユークがいれば報酬アップも期待できるわ」
そう言って、彼女はウインクする。
「俺のジョブは珍しくないと思うけど……」
ユークは少し俯いた。
「ジョブ自体は、ね」
アウリンは意味ありげな目線を送る。
「セリスとヴィヴィアンはどう?」
黙っていた二人に話を振ると、セリスが口を開いた。
「私、字が読めない」
「私は二人に任せるわ~」
セリスもヴィヴィアンも、選ぶ気はないようだった。
「……仕方ない、こっちにするか」
ユークはアウリンから依頼の紙を受け取り、受付へと向かった。
ユークたちは、街の中でも特に裕福な層が住むエリアに足を踏み入れていた。
「えーっと、場所はここで合ってるはず……」
ユークは手に持った依頼の紙と目の前の建物を見比べる。その先には、堂々たる豪邸がそびえ立っていた。
「……デカい」
思わず呟くユーク。
「まあ、成功した魔法使いは儲かるから」
アウリンは涼しい顔で答える。
ユークが戸惑いながらも門の前でノックをすると、屋敷の中からメイドが現れた。要件を伝えると、メイドは「こちらへどうぞ」と無表情で案内を始める。
通されたのは、まるで研究所のような一室だった。部屋のあちこちに見たこともない実験器具が無造作に置かれ、所狭しと並んでいる。
「魔法使いの工房よ」
アウリンが小声で耳打ちする。
部屋の奥にいたのは、小柄な少女だった。
肩まで伸ばした紫色の髪がふわりと揺れ、赤と黒のコントラストが映えるワンピースを身にまとっている。その整った顔立ちは、まるで精巧に作られた人形のようだ。
「あれ? まだ依頼を片付けてなかったっけ? まあいいや、これあげるからもう帰っていいよ」
そう言うや否や、少女は銀貨を五枚、無造作に床へと放り投げた。
「なっ……!?」
ユークは思わず言葉を詰まらせる。
「ちょっと! そんな言い方は……!」
怒りが込み上げたユークが思わず口を開きかけたその時、横からアウリンが一歩前に出た。
「私たちは、あなたの知らないスキルを知っているわ」
その言葉に、紫髪の少女の目がわずかに細められる。
「……へぇ、面白いね」
先ほどまでの無関心な態度が消え、彼女は興味を示すようにユークたちを見つめた。
◆◆◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.14)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:識字レベル2(代筆なんかで商売もできる)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.14)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:識字レベル0.5(自分の名前を書ける、数字を読める)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.15)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:識字レベル3(専門的な用語の読み書きができる)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(LV.15)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:識字レベル2(良い教育を受けている)
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昼下がりのギルドは相変わらず活気に満ち、依頼を受ける者、報酬を受け取る者、情報を交換する者たちで賑わっている。
「すいませーん!」
ユークがカウンターに声をかけると、受付嬢がにこやかに応じた。
「はい、ご用件は?」
ユークは肩にかけていたリュックを下ろし、中からひときわ大きな魔石を取り出す。
それをそっとカウンターの上に置くと、深紅の 輝きがギルドの灯りを受けて妖しく煌めいた。
「十階のミノタウロスを倒したんですけど」
受付嬢の瞳が驚きに見開かれる。
「これは……! おめでとうございます! これであなた方は正式な探索者として認められます!」
彼女はユークとセリスの探索者カードを手に取り、ギルドの紋章が刻まれたスタンプを押す。
カードの片隅に小さく光る印。それこそが、正式な探索者の証だった。
「このスタンプがあることで、ギルドと提携しているお店でギルド預かりのお金をそのまま使えるようになります。いちいちギルドで引き出す手間がなくなって、買い物が楽になりますよ」
ユークはカードをじっと見つめる。確かに、わざわざ現金を持ち歩かなくて済むのはありがたかった。
「それから、正式な探索者になったことで依頼を受けることができます」
受付嬢がギルドの壁に設置された掲示板を指差した。
そこには数々の依頼が張り出されている。
「依頼を受けるには、気になる紙を取ってカウンターに持ってきてください。それで正式に受注となります」
「依頼を失敗したらどうなるんですか?」
ユークの問いに、彼女は落ち着いた微笑みを浮かべた。
「特にペナルティはありません。ただし、故意に失敗したり、ギルドに損害を与えたりすると違約金が発生しますのでご注意くださいね」
「なるほど……」
「依頼を達成すれば報酬としてお金がもらえますし、ギルドの信用も上がります。信用が上がれば、より報酬の良い依頼も受けられるようになりますよ」
ひと通りの説明を受け、ユークは探索者カードをポケットにしまった。
「じゃあ、戻ろうか」
セリスとともに、待たせていたアウリンたちのもとへと向かう。
「終わったよ」
「アウリンたちは来なくてよかったの?」
セリスが不思議そうに聞くと、アウリンは軽く肩をすくめた。
「私たちはもう貰ってるから」
そう言いながら、自分の探索者カードを取り出して見せる。
そこにはすでにスタンプが押されていた。
「どうする? 11階に行ってみる?」
ユークが全員を見回して尋ねると、セリスは迷いなく答えた。
「私はユークについていくけど」
「私はどちらでも構わないわ~」
ヴィヴィアンがヘルムを外し、おっとりとした口調で続ける。
「だったら折角だし依頼を受けてみない? ユークたちは初めてでしょ?」
アウリンが提案すると、ユークは少し考えたあと頷いた。
「う~ん。そうだね、それもいいかもしれない……」
「決まりねっ! ほら、あれよ!」
アウリンが掲示板を指さす。
ユークたちは掲示板の前へ移動し、貼られた依頼の紙を眺めた。
『猫を探してくれ』
『子供たちに魔法を教えてほしい』
『実験を手伝ってくれ』
「……少なくない?」
三種類しかない依頼の紙を見て、ユークは首をひねる。
「こんな時間だからね、みんな朝に持ってっちゃうのよ」
アウリンが実感のこもった口調で説明する。
「これなんてどう?」
ユークは『子供たちに魔法を教えてほしい』と書かれた紙を取り、アウリンに見せた。
アウリンは紙をざっと確認し、少し考え込む。
「んー、悪くはないけど、報酬が安いわね。それより、こっちのほうが良いかも」
そう言って、『実験を手伝ってくれ』と書かれた紙を取り上げる。
「……大丈夫なの? それ」
ユークが不安そうに尋ねると、アウリンは軽く肩をすくめた。
「詳細を見る限り、変なことはしなさそうね。それに、珍しいジョブを求めてるみたいだから、ヴィヴィアンとユークがいれば報酬アップも期待できるわ」
そう言って、彼女はウインクする。
「俺のジョブは珍しくないと思うけど……」
ユークは少し俯いた。
「ジョブ自体は、ね」
アウリンは意味ありげな目線を送る。
「セリスとヴィヴィアンはどう?」
黙っていた二人に話を振ると、セリスが口を開いた。
「私、字が読めない」
「私は二人に任せるわ~」
セリスもヴィヴィアンも、選ぶ気はないようだった。
「……仕方ない、こっちにするか」
ユークはアウリンから依頼の紙を受け取り、受付へと向かった。
ユークたちは、街の中でも特に裕福な層が住むエリアに足を踏み入れていた。
「えーっと、場所はここで合ってるはず……」
ユークは手に持った依頼の紙と目の前の建物を見比べる。その先には、堂々たる豪邸がそびえ立っていた。
「……デカい」
思わず呟くユーク。
「まあ、成功した魔法使いは儲かるから」
アウリンは涼しい顔で答える。
ユークが戸惑いながらも門の前でノックをすると、屋敷の中からメイドが現れた。要件を伝えると、メイドは「こちらへどうぞ」と無表情で案内を始める。
通されたのは、まるで研究所のような一室だった。部屋のあちこちに見たこともない実験器具が無造作に置かれ、所狭しと並んでいる。
「魔法使いの工房よ」
アウリンが小声で耳打ちする。
部屋の奥にいたのは、小柄な少女だった。
肩まで伸ばした紫色の髪がふわりと揺れ、赤と黒のコントラストが映えるワンピースを身にまとっている。その整った顔立ちは、まるで精巧に作られた人形のようだ。
「あれ? まだ依頼を片付けてなかったっけ? まあいいや、これあげるからもう帰っていいよ」
そう言うや否や、少女は銀貨を五枚、無造作に床へと放り投げた。
「なっ……!?」
ユークは思わず言葉を詰まらせる。
「ちょっと! そんな言い方は……!」
怒りが込み上げたユークが思わず口を開きかけたその時、横からアウリンが一歩前に出た。
「私たちは、あなたの知らないスキルを知っているわ」
その言葉に、紫髪の少女の目がわずかに細められる。
「……へぇ、面白いね」
先ほどまでの無関心な態度が消え、彼女は興味を示すようにユークたちを見つめた。
◆◆◆
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ユーク(LV.14)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:識字レベル2(代筆なんかで商売もできる)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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セリス(LV.14)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:識字レベル0.5(自分の名前を書ける、数字を読める)
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アウリン(LV.15)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:識字レベル3(専門的な用語の読み書きができる)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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ヴィヴィアン(LV.15)
性別:女
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スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:識字レベル2(良い教育を受けている)
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