お前は用済みとパーティから追放されたらエースアタッカーの幼馴染もついてきた~最強ハーレムパーティに成り上がる俺の裏で元パーティは転落していく

荒火鬼 勝利

文字の大きさ
46 / 161

第44話 セリスVSジオード

しおりを挟む

「よしっ! 女、約束どおり稽古けいこをつけてやる。庭に出ろ!」

 そう言って、自分の武器を持って庭に出ていくジオード。

「わかった!」

 セリスも同じく武器を手に取り、彼の後を追う。

 庭に出たセリスとジオード。二人の武器の刃先には、しっかりと厚手の布が巻かれていた。

「いい? セリス。布が巻いてあるからって、絶対に怪我をしないわけじゃないの。ちょっとでも危ないと思ったら、ちゃんと棄権きけんしてね」

 セリスに心配そうに声をかけるアウリン。

「うん、大丈夫」

 武器の様子を確かめながら、セリスはアウリンに答えた。

「おーい、アウリン! お兄ちゃんのことも心配してくれていいんだぞ?」

 ジオードが遠くから抗議の声を上げる。だが、アウリンは振り向きもせず、淡々とセリスに向けて続けた。

「殿下はあれで卓越たくえつした剣の達人よ。決して油断しないで!」

 アウリンはセリスの目を真っ直ぐに見つめ、念を押す。

「わかった!」
 セリスが力強く頷いた。

「お~い!」
 ジオードの声は、むなしく虚空へと消えていった。

「審判は私とヴィヴィアンが務めます。試合中は、審判の判断に必ず従うこと!」

 アウリンとヴィヴィアンが、セリスとジオードの間に立って宣言する。

「では、始め!」
 アウリンが開始を宣言し、二人から距離を取った。

「やあああああぁ!」
 開始の合図と同時に、セリスがジオードに向かって突撃する。

「ふむ……」
 ジオードはその全力の突きを軽くいなす。

「……なるほど。踏み込みは良い、狙いも悪くない。思い切りもある」

 その後もセリスは攻撃を繰り出し続けるが、どれも軽く弾かれてしまう。

「だが……」
 ジオードが初めて攻撃の構えを取る。

「動きが、素直すぎるな」
 ジオードの一撃を受け、セリスは吹き飛ばされる。

「くっ……!」
 かろうじて体勢を立て直すセリス。

「もう一回!」
 彼女の瞳には、まだ諦めの色はなかった。

「ふっ、いいだろう。何度でも相手してやる」

 ジオードがどこか楽しげに笑みを浮かべ、剣を構え直す。勝者の余裕がそこにはあった。

「セリス、大丈夫かな……」

 庭の片隅で、その様子を見守っていたユークは、緊張した面持ちでつぶやいた。

 その時、彼の隣に人影が腰を下ろす。
「少し、よろしいですか、ユーク殿」

 静かな声に振り返ると、そこにはジルバの姿があった。

「あ、はい」

 突然のことにユークは少し面食らいながらも、慌てて返事をする。

「大したものですな、セリス殿は……」

 ジルバは視線を戦場に向けたまま、ゆったりとした口調で語り始めた。

「そう……ですか? 殿下にやられっぱなしのように見えるんですけど……」

 ユークはセリスが転がされる場面を思い出し、首をかしげる。

「ユーク殿は、ジョブが与えられる条件をご存じですか?」

 視線を動かさぬまま、ジルバが問いかける。

「えっ? たしか……十歳までにした行動と、才能、だったと思いますけど」

 アウリンに聞いた知識を思い返しながら、ユークは答えた。

「なるほど。よく勉強されているようだ。しかし……一般には知られていないもう一つの要素があるのですよ」

 ジルバの声は穏やかだが、その言葉には重みがあった。

「もう一つの……要素?」
 ユークは聞いたことのない話に驚いた

「はい。もう一つの要素とは――血筋です」
 落ち着いた口調で、ジルバは話を続けた。

「上級剣士や騎士など、“上位ジョブ”と呼ばれる職業は、どれほどの才能を持っていても、血筋という条件を満たさなければ決して得ることはできません」

 淡々と語り続けるジルバ。

「そして、王家の血筋に受け継がれているのは“剣士系の上級ジョブ”。ジオード様は、まさにその血の結晶といえるでしょうな」

「剣士系のジョブ……? あれ……?」
 ユークは小さく呟きながら、ある違和感に気づいた。

 アウリンのジョブは剣士系ではない。では、王家の血を引いているという話は――

(王家の血筋に宿る才能が剣士系のジョブだとすれば、アウリンは……?)

 思考が深く沈んでいきそうになる。その瞬間だった。

「ユーク殿!」
 ジルバの鋭い声が、思考の霧を断ち切った。

「っは、はい!」
 慌てて姿勢を正すユーク。

 ジルバはようやくユークの方を見て、真剣な眼差しで言った。

「アウリン殿は、確かに王家の血筋を引いておられます。それは間違いありません」

「それって……」

 ユークの声が震える。だが、ジルバは静かにうなずいた。

「王家の者は、代々“赤い髪”を特徴としております。しかし、アウリン殿の母君は――彼女と同じ、“青い髪”をしておられました」

「青い髪……」

 ユークは、アウリンの笑顔を思い浮かべる。

「ジオード様は、アウリン殿を“家族”として認めておられます。しかし……他の方々がそうかと言えば、残念ながらそうではありません」

「アウリン……」

 その立場を思うと、胸が痛んだ。知らず、手が握りしめられていた。

 ふと視線を模擬戦もぎせんに向けると、セリスが肩で息をしていた。槍を杖のように地面に突き、息を整えている。

「はぁ、はぁ……っ」
 だが、妙なことに気づいた。対面するジオードの額にも、同じように汗がにじんでいたのだ。

「……まて。お前、なんかさっきより強くなってないか?」

「まだっ! まだ!」
 セリスの戦意は、まったく衰えていないようだ。

「くそっ、早まったか!」

 文句を言いながらも、律儀りちぎにセリスの相手をするジオード。

 その様子を眺めながら、ジルバはぽつりと呟いた。

「アウリン殿がヴィヴィアン以外の者と共に暮らしていると聞いたときは、耳を疑いましたよ」

「え?」
 ユークは驚いて聞き返す。

「ユーク殿。あなたは間違いなく、アウリン殿から信頼されています。自信を持って下さい」

「俺が……信頼されてる……?」
 その言葉の重みに、ユークは目を見開いた。

「どうか、少しだけ待っていただけませんか? 彼女も、おそらく“恐れているだけ”なのです」

 そう言って、ジルバはユークの目をまっすぐに見つめる。

「……ええ、もちろん。アウリンは、俺にとって大切な仲間ですから」
 ジルバに負けない眼差しで見返すユーク。

「ふふふ。……これは、おせっかいでしたかな」

 ジルバは表情を崩し、いつもの好々爺こうこうやの顔に戻る。

「いえ、アウリンのことを気にかけてくれて、ありがとうございます」
 ユークの声も、どこか柔らかくなっていた。

 そのとき、ジルバが目を細めて言った。

「おやおや……模擬戦もぎせんの風向きが、どうやら変わってきたようですよ」

 再び視線を向けると、ジオードがひざをついていた。手を抑え、汗だくになっている。

「くっそ……まさか、お前もあのじじいと同類か! なんで俺の周りはこんなんばっかなんだよ!」

 どこか情けない声でぼやくジオード。

 そしてその前に、無言で歩を進めるセリスがいた。槍を手に、まるで処刑人のような気配を放っている。

「まっ、待て! 俺はいま武器を失ってるんだぞ!」

 あわてて弁明べんめいするジオード。

「……私、ユークを痛くしたこと、忘れてないから」

 セリスは冷たい目でジオードを見下ろし、どんよりとしたオーラをまとっている。

「し、審判! しんぱーん!!」

 焦った声でアウリンに助けを求めるジオード。

 だが、アウリンは親指を首にあてるポーズをしながら、冷たい笑みを浮かべて言った。

「やっちゃっていいわよ、セリス」

 その声に続いて、ヴィヴィアンが涼しい顔で言い放つ。

「続行よ~」

 模擬戦もぎせんの続行が、無慈悲むじひに告げられた。

「くそっ! 審判まで敵か! 味方がいないっ!」
 絶望し、吐き捨てるジオード。

「じゃ、やるね?」

「やっ、やめっ……ぎゃあああああああ!」

 セリスにボコボコにされるジオード。

 それを見て、ユークが小声でジルバに尋ねた。
「あれ……止めなくていいんですか?」

「セリス殿も、やりすぎるつもりはないようですし。これもいい機会です。殿下は、最近調子に乗っておられましたから」

 ジルバは鋭い視線をジオードに向けながら、静かに言い放った。

「うわぁ……」
 ユークは思わず声を漏らした。

(……貴族様も、大変なんだな)

 そう思いながら、ユークとジルバは静かに、ジオードがボコボコにされる光景を見守っていた。

 ◆◆◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.20)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:信頼されていなかったわけじゃ無いんだな、と思えた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.20)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:やっとボコボコにできる!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.20)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:少し悪ノリが過ぎたかも。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(LV.20)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:何だか面白いことになってるわね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ジオード(LV.??)
性別:男
ジョブ:剣聖
スキル:??
備考:ほんの少し油断しただけだ! 本気であればあんな小娘に……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ジルバ(LV.??)
性別:男
ジョブ:剣士
スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能をわずかに向上させる)
備考:相手を甘く見るのが悪い。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
シリカ(LV.??)
性別:女
ジョブ:??
スキル:??
備考:……眠い。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

風魔法を誤解していませんか? 〜混ぜるな危険!見向きもされない風魔法は、無限の可能性を秘めていました〜

大沢ピヨ氏
ファンタジー
地味で不遇な風魔法──でも、使い方しだいで!? どこにでもいる男子高校生が、意識高い系お嬢様に巻き込まれ、毎日ダンジョン通いで魔法検証&お小遣い稼ぎ! 目指せ収入UP。 検証と実験で、風と火が火花を散らす!? 青春と魔法と通帳残高、ぜんぶ大事。 風魔法、実は“混ぜるな危険…

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

処理中です...