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第45話 話したいことがあるの
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ジオードはセリスに叩きのめされて、地面に仰向けのまま動かない。
その横で、セリスは息を整えながら、勝利の余韻に浸っていた。
少し離れた場所で、その一部始終を見守っているユークとジルバ。
「しかし……本気ではなかったとはいえ、殿下相手に一本取るとは。セリス殿は血筋次第では上位ジョブを得られていたのかもしれませんな」
ジルバがセリスに目を向けながら言う。
「本気じゃなかったんですか?」
ユークが驚いたようにジルバへ問いかけた。
「ええ。格下だと見て、セリス殿を完全に見くびっていたようです。殿下の悪い癖ですな。……これで多少はマシになれば良いのですが」
ジルバはため息をつきながら、呆れた表情でジオードを見る。
「さて――」
声の調子を変えて、ジルバは近くにいた小柄な女性に声をかけた。
「――シリカ!」
呼ばれた女性は、肩をびくりと震わせた。
「は、はいっ!? なんですか~っ!?」
おどおどとしながら、シリカが駆け寄ってくる。
「殿下を介抱してあげてください。どうやら、完全に意識を失っているようです」
ジルバはジオードを指さしながら指示を出す。
「えっ? 殿下、あの子に負けたんですか……?」
シリカは呆れたように冷たい目をジオードに向ける。
「……シリカ」
ジルバが少しだけ目を細めて、穏やかながらも鋭い声で呼びかける。
「あっ、わ、分かりました~っ。お任せください~!」
慌ててジオードのもとへ駆け寄り、抱き上げて戻ってくるシリカ。
ジルバはユークに向き直り、丁寧に尋ねる。
「ユーク殿、どこか殿下を寝かせられる場所をお借りできますかな?」
「えっ、あ……それなら、二階に使ってない部屋があるので、そっちを使ってください!」
ユークは一瞬戸惑いながらも、すぐに頷いた。
「感謝いたします。シリカ、二階の空き部屋を使って構わないそうです! 殿下のことを頼みましたよ」
「は~い! 任せてくださ~い!」
ジルバは軽く頷くと、シリカに合図を送り、その場で立ち上がった。
「さて……このままでは、少々面目が立ちませんな。セリス殿に少しばかり、武芸について、少し手ほどきして差し上げましょうか」
剣の柄に手をかけ、悠然とセリスのもとへと歩いていく。
「セリス殿。この老いぼれに――少しだけ、お手合わせいただけますかな?」
穏やかな笑みを湛えながら、静かに声をかける。
「っ……!」
セリスは咄嗟に反応し、手にした槍を構える。その動きに迷いはなく、まるで本能が警鐘を鳴らしているかのようだった。
「そんなに警戒なさらずとも。今日はただ、少しばかり“心得”のようなものをお伝えできればと思いまして」
ジルバは声の調子を崩さぬまま、柔らかく言葉を続ける。
「……そういうことなら、別にいいけど」
セリスは僅かに構えを緩め、受け入れるそぶりを見せた。
その様子に満足したようにうなずくと、ジルバはゆっくりと視線を横へと移す。
そして、そ~っとその場を離れようとしていたヴィヴィアンを呼び止めた。
「ところで、ヴィヴィアン。あなたはどこへ行こうというのですか?」
声色は変わらず穏やかだったが、その響きには微かな怒気が混じっていた。
「あ、あー……。ジルバ様がセリスに訓練されるのであれば、その邪魔にならないようにと思いまして~」
ヴィヴィアンは目をそらし、額に汗を浮かべながら、必死に言い訳をする。
「あなた程度がいたところで、邪魔にもなりません。問題ありませんよ」
にっこりと、ジルバは笑った。
「それより、剣の腕前のほうはどうですか? 少しは上達しましたか?」
「え~っと、それは……」
ヴィヴィアンは言葉を濁し、曖昧に笑うことしかできなかった。
そんな彼女に、容赦ない追い打ちがかかる。
「ヴィヴィアンはね、すごいんだよ。どんなモンスターも、盾で押し潰して倒しちゃうんだから!」
悪意など微塵もない、その一言を放ったのはセリスだった。本人は満面の笑顔。きっと助けになればと思ってのことだろう。
「ちょ、セリスちゃん!? それはちょっと、その……!」
慌てふためくヴィヴィアンの声が上ずる。
「ほう……盾で……」
ジルバの目が細くなる。
「せっかくですので、あなたも訓練を受けていきなさい」
有無を言わせぬ口調で告げる。
「…………はい」
ヴィヴィアンは肩を落とし、小さく答えることしかできなかった。
ジルバとシリカが去ったあと、ユークはその場にひとり残されていた。
静けさが戻り、風がふわりと通り抜けていく。
そんなときだった。
「やっほ、ユーク」
軽やかな声とともに、短く切り揃えられた青髪を揺らしながら、少女――アウリンがやってきた。
いつもと変わらぬ明るい笑顔。だがユークはすぐに気づいた。それが少しだけ、無理をしているということに。
「……アウリン」
口元に笑みを浮かべようとしたけれど、うまくいかなかった。意識して、なんとかそれらしく取り繕う
「ちょっと……いいかしら。話したいことがあるの」
アウリンは、普段とは違う落ち着きのない様子で、そっと切り出した。
ユークは一瞬だけ彼女の目を見て、それから小さく頷いた。
「……わかった。じゃあ、人目のないところに行こうか」
それだけ言うと、ユークはアウリンを連れて家の中へと向かっていくのだった。
二人の間に、言葉にはできない空気が流れていた。
◆◆◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.20)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:気まずい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.20)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:ジルバの隙の無さにビビっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.20)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:さすがに説明はしなきゃ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(LV.20)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:逃げられなかった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ジオード(LV.??)
性別:男
ジョブ:剣聖
スキル:??
備考:舐めプして負けるという一番恥ずかしいやつ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ジルバ(LV.??)
性別:男
ジョブ:剣士
スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能をわずかに向上させる)
備考:才能があるものを鍛えるのは楽しい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
シリカ(LV.??)
性別:女
ジョブ:??
スキル:??
備考:気絶している人間を運ぶのが一番面倒くさい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆◆◆
ストックが少なくなってきたので、次回からは毎日午前0時の1回投稿となります。
どうかご理解のほどよろしくお願いします。
その横で、セリスは息を整えながら、勝利の余韻に浸っていた。
少し離れた場所で、その一部始終を見守っているユークとジルバ。
「しかし……本気ではなかったとはいえ、殿下相手に一本取るとは。セリス殿は血筋次第では上位ジョブを得られていたのかもしれませんな」
ジルバがセリスに目を向けながら言う。
「本気じゃなかったんですか?」
ユークが驚いたようにジルバへ問いかけた。
「ええ。格下だと見て、セリス殿を完全に見くびっていたようです。殿下の悪い癖ですな。……これで多少はマシになれば良いのですが」
ジルバはため息をつきながら、呆れた表情でジオードを見る。
「さて――」
声の調子を変えて、ジルバは近くにいた小柄な女性に声をかけた。
「――シリカ!」
呼ばれた女性は、肩をびくりと震わせた。
「は、はいっ!? なんですか~っ!?」
おどおどとしながら、シリカが駆け寄ってくる。
「殿下を介抱してあげてください。どうやら、完全に意識を失っているようです」
ジルバはジオードを指さしながら指示を出す。
「えっ? 殿下、あの子に負けたんですか……?」
シリカは呆れたように冷たい目をジオードに向ける。
「……シリカ」
ジルバが少しだけ目を細めて、穏やかながらも鋭い声で呼びかける。
「あっ、わ、分かりました~っ。お任せください~!」
慌ててジオードのもとへ駆け寄り、抱き上げて戻ってくるシリカ。
ジルバはユークに向き直り、丁寧に尋ねる。
「ユーク殿、どこか殿下を寝かせられる場所をお借りできますかな?」
「えっ、あ……それなら、二階に使ってない部屋があるので、そっちを使ってください!」
ユークは一瞬戸惑いながらも、すぐに頷いた。
「感謝いたします。シリカ、二階の空き部屋を使って構わないそうです! 殿下のことを頼みましたよ」
「は~い! 任せてくださ~い!」
ジルバは軽く頷くと、シリカに合図を送り、その場で立ち上がった。
「さて……このままでは、少々面目が立ちませんな。セリス殿に少しばかり、武芸について、少し手ほどきして差し上げましょうか」
剣の柄に手をかけ、悠然とセリスのもとへと歩いていく。
「セリス殿。この老いぼれに――少しだけ、お手合わせいただけますかな?」
穏やかな笑みを湛えながら、静かに声をかける。
「っ……!」
セリスは咄嗟に反応し、手にした槍を構える。その動きに迷いはなく、まるで本能が警鐘を鳴らしているかのようだった。
「そんなに警戒なさらずとも。今日はただ、少しばかり“心得”のようなものをお伝えできればと思いまして」
ジルバは声の調子を崩さぬまま、柔らかく言葉を続ける。
「……そういうことなら、別にいいけど」
セリスは僅かに構えを緩め、受け入れるそぶりを見せた。
その様子に満足したようにうなずくと、ジルバはゆっくりと視線を横へと移す。
そして、そ~っとその場を離れようとしていたヴィヴィアンを呼び止めた。
「ところで、ヴィヴィアン。あなたはどこへ行こうというのですか?」
声色は変わらず穏やかだったが、その響きには微かな怒気が混じっていた。
「あ、あー……。ジルバ様がセリスに訓練されるのであれば、その邪魔にならないようにと思いまして~」
ヴィヴィアンは目をそらし、額に汗を浮かべながら、必死に言い訳をする。
「あなた程度がいたところで、邪魔にもなりません。問題ありませんよ」
にっこりと、ジルバは笑った。
「それより、剣の腕前のほうはどうですか? 少しは上達しましたか?」
「え~っと、それは……」
ヴィヴィアンは言葉を濁し、曖昧に笑うことしかできなかった。
そんな彼女に、容赦ない追い打ちがかかる。
「ヴィヴィアンはね、すごいんだよ。どんなモンスターも、盾で押し潰して倒しちゃうんだから!」
悪意など微塵もない、その一言を放ったのはセリスだった。本人は満面の笑顔。きっと助けになればと思ってのことだろう。
「ちょ、セリスちゃん!? それはちょっと、その……!」
慌てふためくヴィヴィアンの声が上ずる。
「ほう……盾で……」
ジルバの目が細くなる。
「せっかくですので、あなたも訓練を受けていきなさい」
有無を言わせぬ口調で告げる。
「…………はい」
ヴィヴィアンは肩を落とし、小さく答えることしかできなかった。
ジルバとシリカが去ったあと、ユークはその場にひとり残されていた。
静けさが戻り、風がふわりと通り抜けていく。
そんなときだった。
「やっほ、ユーク」
軽やかな声とともに、短く切り揃えられた青髪を揺らしながら、少女――アウリンがやってきた。
いつもと変わらぬ明るい笑顔。だがユークはすぐに気づいた。それが少しだけ、無理をしているということに。
「……アウリン」
口元に笑みを浮かべようとしたけれど、うまくいかなかった。意識して、なんとかそれらしく取り繕う
「ちょっと……いいかしら。話したいことがあるの」
アウリンは、普段とは違う落ち着きのない様子で、そっと切り出した。
ユークは一瞬だけ彼女の目を見て、それから小さく頷いた。
「……わかった。じゃあ、人目のないところに行こうか」
それだけ言うと、ユークはアウリンを連れて家の中へと向かっていくのだった。
二人の間に、言葉にはできない空気が流れていた。
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ユーク(LV.20)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:気まずい。
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セリス(LV.20)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:ジルバの隙の無さにビビっている。
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アウリン(LV.20)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:さすがに説明はしなきゃ。
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ヴィヴィアン(LV.20)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:逃げられなかった。
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ジオード(LV.??)
性別:男
ジョブ:剣聖
スキル:??
備考:舐めプして負けるという一番恥ずかしいやつ。
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ジルバ(LV.??)
性別:男
ジョブ:剣士
スキル:剣の才(剣の基本技術を習得し、剣の才能をわずかに向上させる)
備考:才能があるものを鍛えるのは楽しい。
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シリカ(LV.??)
性別:女
ジョブ:??
スキル:??
備考:気絶している人間を運ぶのが一番面倒くさい。
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ストックが少なくなってきたので、次回からは毎日午前0時の1回投稿となります。
どうかご理解のほどよろしくお願いします。
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