お前は用済みとパーティから追放されたらエースアタッカーの幼馴染もついてきた~最強ハーレムパーティに成り上がる俺の裏で元パーティは転落していく

荒火鬼 勝利

文字の大きさ
125 / 161

第123話 樹上の決戦 前編

しおりを挟む

 ユークたちは、霊樹の精霊の背から飛び降りた。

 最初に動いたのは、セリスとヴィヴィアンだ。

「まず先にあの男をやっつける!」
 セリスが槍を構えながら言う。

「分かった、合わせるわ!」
 ヴィヴィアンは剣を抜いてこたえる。

 二人の前に立ちふさがったのは、右半分の顔が焼けただれた男だった

 見た目の異様さもさることながら、まとう気配はまるで猛獣のように鋭い。

「……かかってこいよ。俺に殺される覚悟があるならな!」
 男は獰猛どうもうな笑みを浮かべ、剣を構えもせずに手招きする。

「食らえっ!」
 セリスは挑発に乗らず、魔槍を一直線に男の喉元のどもとへ突き出した。

「はあぁ!!」
 ヴィヴィアンの剣が追うように斜めから振り下ろされる。

 だが――

「甘え!!」
 男は一本の剣で、二人の攻撃を強引に弾き返した。

「なんて重い剣さばき……!」
 ヴィヴィアンの表情がゆがむ。

「こいつ……隙がない……!」
 セリスも間合いを取り直しつつ、再び槍を構えるが、相手の動きには一切の迷いがなかった。


「まずいっ……このままじゃ……!」
 ユークが焦り、サポートの為に魔法の詠唱に入ろうとした、そのとき――

『待て、ユーク!』
 背後から響いた声に振り返ると、そこには霊樹の精霊がいた。巨大な鳥のような姿のそれが、くちばしで部屋の中央を示す。

『お前たちが攻撃すべき相手は、あれだ!』

「……あれ?」
 ユークが示された先に視線を移す。そこにいたのは――ラルヴァの女王

 芋虫のようにふくれた胴体。その先端の大きな穴からは、次々とラルヴァの幼体が産み落とされていた。

 腕の代わりに生えた触手や、胴体から突き出した腕は床にめり込み、まるでこの部屋と一体化しているかのようだった。

「ラルヴァを……生んでる……?」
 ユークはその光景に冷や汗をたらし、のどをごくりと鳴らした。

 小さなラルヴァたちが次々と生み落とされ、地をっていく光景はあまりにもおぞましい。

「ひっ……!」
 隣のアウリンも思わず両手で口をおおう。

『あやつは霊樹の魔力を吸い上げ、それを使って害虫どもを生み出している。放置すれば、この部屋がやつらで埋め尽くされるぞ!』
 精霊の警告に、ユークの顔から血の気が引いた。

『まずは、あのラルヴァと霊樹とのつながりを断つのだ。魔力供給が絶てば、今のような速度での生産はできまい』
 精霊がそう促す。

「それなら私のEXスキルで、まとめて焼き払った方が早いわ!」
 不快感を隠さずにアウリンが吐き捨てた。

『だめだ!』
 即座に、精霊が強い口調で否定する。

『奴は霊樹と融合している。そのまま殺せば、霊樹も道連れになってしまう!』

「じゃあ、どうすればいい?」
 ユークが真剣な表情で問い返す。

『融合している手足をすべて切断しろ。その状態で止めを刺せば、奴だけを倒せるはずだ』
 短くも明確な回答に、ユークは息をのんだ。

「……なるほど。どっちにしろアイツを霊樹から引きはがさなきゃならないのか。けど……」
 そう言いながら、ユークが戦っている二人の姿を見る。

 二人は果敢に攻めてはいるが、明らかに顔色が良くない。形勢は明らかだった。

『心配するな。セリスたちには我が加勢しよう』
 そう言って、霊樹の精霊が翼を広げ、空へと舞い上がった。

「……ユーク」
 アウリンが不安げにユークを見つめる。

「大丈夫。今は彼の指示に従おう」

 落ち着いた声でそう言うと、アウリンも小さくうなずいた。

「分かったわ。あなたがそう言うなら」

 そのころ、セリスとヴィヴィアンはなおも男に挑み続けていた。

「やぁっ!」
「はああっ!」

「おらおら、当たってねえぞ?」

 二人の連携攻撃が続くが、男は一歩も引かない。剣はまるで意思を持つかのように滑らかに動き、二人の攻撃をたくみにそらしていく。

「強すぎる……!」
 悔しげな声がセリスの唇かられる。

 そのときだった。

 頭上から鋭い声が響く。
『食らえっ!』

 霊樹の精霊が、巨大な鳥の姿で男へと急降下してきたのだ。

「邪魔だッ!」
 男は怒声とともに、セリスを蹴り飛ばし、ヴィヴィアンの剣を力任せに押し返した。

 ヴィヴィアンはよろめき、数歩後退する。その隙に、男は素早く反転し、精霊の翼をかすめるように斬りつけた。

『ちいいいい!!!』
 精霊は辛うじてその斬撃を避けると、なんとか空へと退く。

(……あの奇襲を避けるのか!?)
 詠唱しながらそれを見ていたユークは、その戦いぶりに背筋が冷たくなるのを感じた。

 だが、ユークとアウリンの詠唱は、もうすぐ完了する。

「あいつらっ! 魔法使いかよ……!」
 火傷の男が忌々いまいまし気に呟くと、すぐさま剣を振り上げた。

「EXスキル、《エアスラッシュ》!」
 見えない斬撃が走り、完成間近だったユークの魔法陣を両断する。

「えっ……!?」
 魔法陣は揺らぎ、そして霧散してしまった。

「《フレイムアロー》!」
 詠唱が終わり、アウリンがとっさに炎の矢を放つ。

「もういっちょ、《エアスラッシュ》!」
 だが、再び飛んだ斬撃が、炎の矢と衝突し、消滅する。

「そんな!?」
 アウリンが叫ぶ。

「魔法は魔法系の攻撃で打ち消せるって知らなかったのか? これで一つお利口になったなぁ?」
 男が冷笑を浮かべる。アウリンは唇を噛みしめ、悔しさをにじませた。

「アウリン、あいつの死角に回って! ラルヴァの影に!」
 ユークが叫ぶと、二人はラルヴァの女王をはさむように素早く移動する。

(くそっ……対応が早い。このままじゃ――!)

 男が苦々しく内心で舌打ちした、そのとき。

 霊樹の精霊が鋭い爪で横合いから襲いかかる。男はギリギリで
 回避した。

『行かせはせん! 貴様はここで足止めする!』
 精霊が翼を広げ、男の前に立ちふさがる。

 その両脇には、再び武器を構え直したセリスとヴィヴィアンがいた。

「ユークには指一本触れさせない!」
「悪いけど、ここは三人がかりで止めさせてもらうわ」

 戦いは、いよいよ新たな局面へと進もうとしていた。

◆◆◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.28)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:早く倒してセリスたちに加勢しないと……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.28)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:ユークは私が守る!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.29)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:あの男、強すぎるでしょ!?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(LV.28)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:この男……剣技が荒々しくて読み切れないわ……!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

処理中です...