お前は用済みとパーティから追放されたらエースアタッカーの幼馴染もついてきた~最強ハーレムパーティに成り上がる俺の裏で元パーティは転落していく

荒火鬼 勝利

文字の大きさ
126 / 161

第124話 樹上の決戦 後編

しおりを挟む

「ユーク、始めるわよ!」
 アウリンの声に、ユークはうなずく。目の前には、芋虫のようにふくらんだ胴体から次々とラルヴァの幼体を産み落とすラルヴァの女王がいた。

「《ストーンニードル》!」
 ユークが魔法を発動すると、地面から鋭い石の針が突き出し、生まれたばかりのラルヴァの幼体を次々と貫いていく。しかし、女王の産み出す速度も速く、すぐに次の幼体が生まれてくる。

「くっ、きりがないな……アウリン、頼む!」
 ユークの言葉に詠唱を続けながら頷くアウリン。

「《フレイムランス》!」
 アウリンが放った強力な炎の槍が、女王の胴体から突き出した腕(足)の一本を直撃する。

「キュルルルルル!」
 女王が苦痛に満ちた鳴き声を上げた。腕は焼け焦げ、霊樹との繋がりも断たれたのか、力を失って垂れ下がる。

「よし! 一本目、完了!」
 アウリンの声に、ユークもわずかに肩の力を抜いた。

 だが、戦いはまだ序盤にすぎない。女王は自らを守るため、次々とラルヴァの幼体を産み出していた。

「次は、あの奥のやつ!」
 アウリンが指さす。女王の胴体からは、太い触手のような腕が二本、さらに六対――合計十二本の足(腕)が突き出ている。

 つまり、計十四か所の接続部を破壊すれば、この戦いに終止符を打てるはずだった。

「《フレイムランス》!」
 アウリンの放った炎の槍が、女王の足の一本を打ち砕く。

「キュルルルルッ!」
 再び女王の悲鳴が響き渡る。

「よしっ、あと十二本!」
 ユークの声が、戦場に響く。ユークは次々と現れるラルヴァの幼体を魔法で足止めし、アウリンが女王の融合部位を狙い撃つ。

「《フレイムアロー》!」
 爆発する炎の矢が、女王の足に突き刺さり、動きを鈍らせる。

「《フレイムボルト》!」
 ユークが放った炎の矢が、迫りくるラルヴァの幼体を爆散させた。

「《フレイムランス》!」
 アウリンの魔法で、女王の足がさらに一本、断ち切られる。

「あと十本よ!」
 アウリンの容赦ない攻撃が続く。女王は苦しげに身悶みもだえ、産み出すラルヴァの数もわずかに減ったように見えた。


 一方、セリスたちの戦場では、霊樹の精霊、セリス、ヴィヴィアンの三人がかりで、火傷の男を追い詰めていた。

「やぁっ!」
「はああっ!」
 セリスとヴィヴィアンの連携攻撃が続く。男はたくみに剣を操り、三人の攻撃をさばいていくが、その動きにはわずかな焦りが見え始めている。

「《フォースジャベリン》!」
 セリスが魔槍を突き出すと、光を帯びた槍が男に向かって一直線に飛んでいく。

「《エアスラッシュ》!」
 男の見えない斬撃が飛来し、セリスのフォースジャベリンと空中で激しく衝突する。閃光が走り、二つの攻撃は相殺され、消滅した。

(くそっ、この女、厄介な……!)
 男は内心で舌打ちする。セリスの槍術はヴィヴィアンとは違い、動きの癖が読めない。
 ヴィヴィアンの剣術は、自身と似た性質を持つため、軌道や意図を先読みできた。だが、セリスの魔槍は予測を裏切る動きを見せ、対応が遅れる。

 そして男は気づいた。自身が本能的に攻撃を仕掛けたとき、ヴィヴィアンの反応が一瞬だけ遅れることに。
 剣術を主体としない相手との戦いでは、動きにズレが生じる――まるで台本のない即興劇に戸惑う役者のようだった。

「チッ、これならどうだ!」
 男の身体から、どす黒いオーラが立ち上る。

「EXスキル、《ビーストソウル》!」
 男の身体能力が飛躍的に向上する、その動きはまるで猛獣のようだ。ヴィヴィアンの剣を力任せに弾き飛ばし、その勢いのまま、鎧の隙間を狙って鋭い蹴りを放つ。

「ぐっ!」
 ヴィヴィアンの足に激痛が走り、体勢を崩す。男はさらに追撃を仕掛け、ヴィヴィアンは地面に倒れ込んだ。

「ヴィヴィアン!」
 セリスが叫び、男に突進するが、男は素早く反転し、セリスの攻撃をいなす。

『しまっ……!』
 精霊の援護も間に合わない。

 男はヴィヴィアンの足に重い一撃を加え、彼女は足に大けがを負ってしまう。
「いやああああああああっ!!!」

「くっ……!」
 セリスは男をにらみつけるが、ヴィヴィアンが倒れたことで、形勢は一気に不利になった。

 その時、ユークが叫んだ。
「アウリン、コイツは任せた! 俺はセリスの援護に向かう!」

 ユークは迷わず、セリスたちの戦場へと駆け出す。アウリンは一瞬驚いた顔をするが、すぐに頷いた。
「分かったわ! ユーク、気をつけて!」

 ユークが加わったことで、セリスたちの戦いは再び動き出す。ヴィヴィアンは足の負傷で素早い動きができないため、ユークが彼女を守るように立ち位置を変える。

 精霊とセリスが前衛を務め、ユークは後方から魔法攻撃を仕掛ける布陣だ。

「《フレイムボルト》!」
 ユークが詠唱を終え、炎の矢を男に放つ。男は素早く回避するが、その動きが一瞬遅れる。

(まさか、あの男がここまでやるか……!)
 男は内心で舌打ちする。

 ユークの魔法は、ただの攻撃ではない。その狙いは、男の動きを制限し、セリスと精霊が攻撃しやすい隙を生み出すことだった。

「セリス、右!」
 ユークが短い指示を出すと、セリスは即座に反応し、男の右側から槍を突き出す。

 男がユークの魔法を妨害しようとすれば、セリスの攻撃を受ける。ユークの魔法を妨害しなければ、嫌なタイミングで魔法攻撃を受け、隙を作られてセリスに攻撃される。男は完全に追い詰められていた。

(くそっ、この魔法使いが加わっただけで、ここまで戦況が変わるのか……!)
 男は歯噛はがみする。

 セリスの動きは、ユークの魔法と連動することで、以前にも増して鋭くなっていた。霊樹の精霊もまた、隙を見ては鋭い爪や嘴で攻撃を仕掛け、男を休ませることを許さない。

 ユーク、セリス、精霊の三人による連携攻撃に、火傷の男は徐々に追い詰められていく。防戦一方となり、その身体にはかすり傷が増えていった。

 その時、アウリンの叫び声が響き渡った。
「ユーク! 融合部位を、全て切断したわよ!」

 アウリンが駆け寄ってくる。その報告に、ユークの表情に安堵の色が浮かんだ。セリスと精霊も、男に最後の猛攻を仕掛ける。

 しかし、男はニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「そうか。ようやくか……!」

 男はセリスと精霊の攻撃を無理やりいなし、女王の元へと跳躍ちょうやくする。手足を失い、苦しげに「キュルルル」と鳴く女王の胴体に、男は躊躇ちゅうちょなく一本の薬品を打ち込んだ。

 すると、驚くべき光景が目の前に広がる。失われたはずの女王の手足が、みるみるうちに再生していくのだ。触手や足が再び生え出し、女王は再び活力を取り戻したかのように動き出す。

「これで形勢逆転だなあ!」
 
『させるかッ!』
 霊樹の精霊が男に突っ込み、剣の一撃を受け止めながら、翼でクイーンを押しとどめる。

『今だ、やれ! 我は端末に過ぎぬ! ここで滅んでも、霊樹としては何の問題もないッ!』
 精霊は、男と女王の動きを止めるため、自らを犠牲にする覚悟で叫ぶ。

「でも、そんな……!」
 アウリンは一瞬躊躇ちゅうちょしてしまった。
 決死に男や女王の動きを止める精霊の姿に、動揺を隠せない。

「《ストーンウォール》!」
 ユークが叫ぶ。目の前に石壁が展開し、炎の防御が形成される。

「アウリン! 今しかない! 撃てっ!」

 ユークの言葉に、アウリンは覚悟を決めたように頷いた。
「……分かったわ!」

 アウリンは天に向かって両手を掲げ、その身からまばゆい光が放たれる。
「EXスキル! 《イグニス・レギス・ソリス》!」

 空に浮かぶ魔法陣から、太陽のような光球が現れる。それは次第に巨大化し、猛烈な熱を発しながら、男とクイーンを包み込むように降下していった。

「《エアーウォール》!」
 ユークが熱を遮断するために新たな魔法を発動する。

 部屋全体が灼熱の光に包まれ、石壁とエアウォールの魔法で防御を固めたユークたちも、その熱気に耐えるのがやっとだ。

 灼熱の光がすべてを焼き尽くし――やがて、静寂が戻る。

 炎が消えた先にあったのは、黒焦げになったクイーンの残骸。男の姿も、跡形もなく消え去っていた。

(終わった……)

 ユークは、仲間の姿を順に確認する。皆、無事だった。

 霊樹をめぐる戦いの行方は、ようやく終わりを迎えようとしていた。

◆◆◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユーク(LV.28)
性別:男
ジョブ:強化術士
スキル:リインフォース(パーティーメンバー全員の全能力を10%アップ)
備考:ようやく終わったよ。最初はただ樹液を少し採るだけのはずだったのに、
随分と大事おおごとになっちゃったな……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
セリス(LV.28)
性別:女
ジョブ:槍術士
スキル:槍の才(槍の基本技術を習得し、槍の才能をわずかに向上させる)
備考:すごく強かった、私もユークを守るためにもっと強くならなきゃ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
アウリン(LV.29)
性別:女
ジョブ:炎術士
スキル:炎威力上昇(炎熱系魔法の威力をわずかに向上させる)
備考:……そういえば報酬の話って、ちゃんと精霊の本体に通ってるのかしら……?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ヴィヴィアン(LV.28)
性別:女
ジョブ:騎士
スキル:騎士の才(剣と盾の才能を向上させる)
備考:私だけみんなの足を引っ張っちゃって、恥ずかしいわ……
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
火傷痕の男(LV.??)
性別:男
ジョブ:??
スキル:??
EXスキル:≪エアスラッシュ≫
EXスキル:≪ビーストソウル≫
備考:魔族を信奉する集団の一員。EXスキルは十レベルごとに一つ増えるため、最低でもレベル四十を超えていると推測される。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

処理中です...