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ダークメアへの恐怖心は簡単には消えない
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月の生まれた場所の探索は、取り敢えず夏休みに入ってからに決まり、東と西の魔法少女達は、それぞれの日常に戻っていた。
東の魔法少女として活動を始めた陽菜。
しかし正直役には立っていなかった。
理由はダークメアへの恐怖心を、拭い去れずにいるからである。
ダークメアに一度捕食されて、死に掛けた陽菜。ダークメアと対峙すると、その時の恐怖が蘇ってしまう。
恐怖から、魔力を暴走させるなんて事は日常茶飯事で、いつも聖とここあがダークメアを退治して、陽菜を落ち着かせると言う構図である。
陽菜自身、いつまでもこのままではいけないと、このままではダークメアを殲滅して平和な日常を取り戻すと言う目的を、平和な日常で恋愛をする。
普通の女の子としての日常を送る。
そんな細やかな願いを叶える事は、不可能であるとわかっている。
わかっているのだが、どうしても恐怖心を抑えられずに、今日も魔力を暴走させてしまった。
その魔力で、ダークメアを殺戮しまくっている事に本人は、全くと言って気づいていなかった。
「陽菜にゃん、相変わらずにゃ。ダークメアを殺してる事に気づいてないにゃ」
「ええ。でも何とか夏休みまでには、恐怖を克服して貰わないと」
「そうだにゃ。克服出来たら、聖とエッチが出来るって言ったら、きっと陽菜にゃんは喜ぶにゃ」
「何で私なの? ここあでもいいでしょ」
それもいいかも、パイパンっ娘との甘い時間は魅力的にゃと、ここあの目が光るので聖は、やっぱり私もと二人は相変わらず陽菜のパイパンに興味津々な様である。
陽菜が魔力を暴走させているが、戦い慣れしている二人にとっては、焦る事は何もなかった。
ダークメアが全て駆逐されたら、陽菜の暴走を止めればいいだけである。
「そろそろかしら」
「そうだにゃ」
二人は、ダークメアが殲滅されたのを確認すると、陽菜の暴走を止める為に陽菜に近づくと、ここあが陽菜の腹部に一撃を喰らわせて、陽菜を気絶させた。
「毎回可哀想にゃ」
「わかるけど、冷静さを失ってるから仕方ないじゃない」
毎回気絶させる為に、陽菜に一撃を喰らわせるのは、流石に可哀想だとは思うが陽菜がダークメアへの恐怖心を自らの力で、しっかりと抑えられる様になるまでは、延々とこのやり取りが繰り返される。
またやってしまったと、目覚めた陽菜はごめんなさいと、凹んでいる。
「大丈夫だけど、まだダークメアが怖い? 」
結構な回数ダークメアとの戦いを経験している。
初めの内は、戦いに慣れていないしと二人は気にしていなかったのだが、戦いに慣れてもいい頃であり、魔法少女同士の戦いも観ている。
しかし陽菜のダークメアに対する恐怖心は、少し異常な気がする。
戦いとしては、魔法少女同士の戦いの方が、明らかに激しい戦いなのに、驚いてはいた様だが、ここまで恐怖してはいなかった。
聖とここあは、陽菜には戦いに慣れて貰う必要があると考えている。
ダークメアもそうだが、月の生まれた場所に辿り着いた際に、アマルテアと名乗った魔法少女がいる可能性がある。
アマルテアは、月の身体を奪ってしまう程の魔法少女である。彼女と戦いになれば、陽菜の力も必ず必要になる。
経緯はどうあれ、陽菜も魔法少女になった以上は、魔法少女としての役目を果たす必要があった。
「陽菜、このままではいけないのはわかってるわよね? 」
「はい。わかってます」
雰囲気はいつもと同じ様に見える。
しかし陽菜を見つめる聖の瞳は、今までにない位に真剣で厳しい瞳をしている。
このままではいけないのよ。早く克服しなさいと、そう聖の瞳は訴えている様に見えて、陽菜は今更ながらに、自分の臆病さに嫌気が刺してしまう。
元が内気で臆病な女の子。
魔法少女になった事で、陽菜自身勘違いしていたのかもしれない。
魔法少女になって、ダークメアと戦える力を、ダークメアを殺せる力を得たのは確かだ。
だが得たのは力だけで、臆病な心が変わる事はなかった。
それに気付かずに、聖達もいるからと魔法少女としては、新米なのにダークメア討伐にいつもくっ付いて行っては、魔力を暴走させていた。
一歩間違えれば、大切な仲間を危険に曝してしまうかもしれないのに、その事にすら気付いていなかった。
どうしたらいいのかわからずに、陽菜は情けない顔を二人に見せながら、考え込んでしまう。
「何かご褒美があれば、克服出来るかにゃと思って、聖と話し合ってみたんだけど、陽菜にゃんが頑張ったら、うちらとムフフな事を出来るってのは、どうかにゃ? 」
「ここあ、本気だったの? 」
「当たり前にゃ。いつまでも暴走されたら、こっちも大変だし、うちらも陽菜にゃんのパイパンを堪能出来る。悪い話しじゃないと思うにゃ」
「そ、それはそうだけど」
ご褒美とかムフフとか、私のパイパンを堪能するとか、そんな言葉が聞こえてくるが陽菜は、克服出来るのなら何でもいいと思っていた。
自分は女の子が好きだから、聖やここあの様な可愛らしくて綺麗な女の子と、エッチな関係になれるのなら、それはそれでも構わないと思ってる。
本来ならそう言う事すら経験せずに、ダークメアに捕食されて、死んでいたのだから、それを考えれば、自分はこうして生きていられるだけで幸せだ。
「それでいいです。迷惑掛けてますし、私はお二人が好きですから、何をされても構いませんから、克服する為に力になってください」
「陽菜、本当にいいの? 女の子にとって初めては大切なのよ」
「聖、うちらも経験ないけど陽菜にゃんが良いって言ってるんだし、エッチな関係になっても、処女を奪うかはわからないし」
でもと、聖は困惑している。
ゆっくり考えないと駄目よと、聖はこの空気に耐えられなくなったのか、部屋を出て行ってしまった。
「聖さん? 」
「大丈夫にゃ。聖って結構初心って言うか、興味津々なくせに、変に真面目な部分があるだけにゃ」
でもと言う陽菜に、ここあは大丈夫にゃと言うと、陽菜の隣りに座る。
「陽菜にゃんが、ダークメアに捕食されたのは知ってるにゃ。でも今は倒せる力があるのに、どうしてそんなに怖いのかにゃ? 」
ここあは、そっと陽菜の腕に自分の腕を重ねると、優しく聞いてくれた。
一度捕食された。
何の力もなかったから、簡単に捕食されて喰われてしまった。
見た目は可愛らしいとは言わないが、普通の女の子なのに、大きな牙と大きな爪で私の身体を切り刻んで、キッヒヒヒと嫌らしい笑みを浮かべながら、私を追い詰めて、そして私を食べた。
その事が鮮明に頭に残っている。
ダークメアと対峙すると、どうしてもその光景が脳裏に蘇ってしまう。
足が竦んで、自分を抑えられなくなって気付いたら魔力を暴走させて、最後はいつもここあに気絶させられる。
これの繰り返し。
いくら自分を鼓舞しても、気付いたら暴走している。
そんな事を繰り返している内に、自分は駄目なんだと、駄目な魔法少女なんだと、やっぱりあの時死んでたら良かったのかな? そんな事まで考え始めていた。
「そんな悲しい事は言わないで欲しいにゃ。うちも聖も、勿論陽菜にゃんを知ってる皆んなが、そんな事望んでないにゃ」
「ありがとうございます。でも、こんな役立たずは要りませんよね? 」
そんな事はない! といきなり扉を開けて聖が入って来た。
「聖……さん? 」
「聞いてたなら、もっと早く入って来たらいいにょに」
ここあは、扉の向こうに聖が居る事に気付いていたので、全く驚かずに普通にしている。
聖は、陽菜の前まで来るといきなり陽菜を抱きしめて、そんな事言わないでと悲しそうな声で呟く。
「聖……さん? 」
「死んでたら良かったなんて、そんな事言わないで、もう誰も失いたくないのよ」
「聖さん」
「やっぱり聖も、まだ七海の事」
聖は、受け入れる事なんて出来ないわよと、受け入れるしかないけど、そう見せ掛けていたのだと、だからもう大切な仲間は失いたくないと、聖にしては珍しく子供の様に駄々を捏ねていた。
「聖って、相変わらず子供にゃんだから、昔から変わらないにゃ」
「お、大人よ」
ここあの言葉に反論するが、陽菜に縋り付いて駄々を捏ねていたのだから、説得力は皆無だった。
陽菜の隣に座り直すと、聖はもう一度死んでたら良かったなんて、二度言わないでと次言ったら許さないからと、さっきまでの駄々っ子の雰囲気ゼロで、陽菜に迫る。
「わ、わかりましたから、こ、怖いです」
聖に迫られた陽菜は、思わずここあの上に倒れてしまった。
「にゃ! 」
三人がベッドに倒れ込む。
「く、苦しいにゃ」
「ご、ごめんなさい! 」
陽菜がここあの上から退けようとするが、聖が二人を強く抱きしめて、それを阻止する。
「お願い。ここあも陽菜も、ずっと側に居てね」
「当たり前にゃ。うちは聖と一緒にゃ」
「はい。もう死にたいとか言いませんから、本当にごめんなさい」
二人の言葉に安心したのか、聖はそのまま二人を抱きしめていた。
三人でベッドに横になりながら、どうしたら陽菜が克服出来るのかを考える。
一番は実戦しかないのだが、毎回暴走しているのを見ると、他に方法を考える必要がある。
「やっぱり陽菜にゃんが、うちらの前でオナニーするとかは? 恥ずかしいのを克服すればいけるにゃ」
「ここあ。あんたが見たいだけでしょ」
「見たいにゃ! 聖だって見たいくせに」
「そ、それは」
いつものやり取りになってしまった。
いくら二人が好きでも、二人に見られながらのオナニーは、恥ずかしすぎると陽菜は想像して、顔を真っ赤にする。
「イメージトレーニングは如何ですか? 」
夕食ですよと、部屋に入って来た緋がダークメアとの戦いをイメージして、それを繰り返していけば、少しは変わるのではと月の頭を撫でながら言うので、聖とここあはそれだ! と大声を挙げたので陽菜は、ヒッ! と奇声を挙げてしまった。
イメトレなら、陽菜が危険に晒される事もないと、夕食後から早速トレーニングルームで陽菜はイメトレを開始する。
聖とここあの二人は、陽菜が暴走した時の為に見守っている。
ダークメアをイメージする。
許すまじ敵である。
頭の中に、あの恐ろしい姿を女の子の姿なのに、人間を捕食する。
そんな恐ろしいダークメアをイメージする。
陽菜の頭の中にダークメアが現れると同時に、陽菜の魔力が安定しなくなり、少しずつ暴走し始める。
「やっぱり陽菜にゃんは、ダークメアに絶大な恐怖を抱いてるにゃ」
「ええ。でも克服してもらわないと」
二人は陽菜を見つめながら、夏休みまでもう日がないと、それまでには克服してもらわないと困ると、陽菜に頑張りなさいと克服してみなさいと、叱咤激励していた。
そんな陽菜の姿を覗き見していたアマルテアは、本当に可愛いと嬉しそうにしている。
「大分お気に入りの様ね」
「アリエル。見て、ダークメアが怖いんだって、あのパイパンちゃん」
アマルテアに言われて、アリエルが水晶を覗き込む。
陽菜が必死に、ダークメアをイメージして克服しようとしている。
「あら本当ね」
「仕方ないさ。そのパイパンちゃんだっけ? は一度ダークメアに捕食されてるだから」
ネレイドが、そんな事があれば恐怖だって抱くでしょと、私は人間の女の子と遊んで来るねと出掛けて行ってしまった。
アマルテアとアリエルは、そうだったわねと、でも本当に可愛いらしくて面白い存在ねと、陽菜を見つめている。
「あの駄女神が、どうしてこの娘を選んだのか、見定める必要はありそうね」
「確かに、ダークメアの殲滅だけなら必要ないしね。力も大した事ないし、何より臆病で戦いには向かない」
「ええ、本当にあの女神様は何を考えているのかしらね」
「別に何でもいいけどね。あの女神がパイパンちゃんを魔法少女にしてくれたお陰で、私はパイパンちゃんと楽しめる。アリエルは明里と楽しめるんだからね」
アリエルは、そうねと言うと明里を可愛がってくるわと言って、ネレイド同様に出掛けて行った。
アマルテアは、一人陽菜を見つめながら早く会いたいと、早く自分のものにしたいと考えていた。
陽菜との事を考えると、自然と身体が疼いてしまう。
イメトレしながら、暴走してしまった陽菜を見ながらアマルテアは、そっと自分の身体を弄り始めた。
東の魔法少女として活動を始めた陽菜。
しかし正直役には立っていなかった。
理由はダークメアへの恐怖心を、拭い去れずにいるからである。
ダークメアに一度捕食されて、死に掛けた陽菜。ダークメアと対峙すると、その時の恐怖が蘇ってしまう。
恐怖から、魔力を暴走させるなんて事は日常茶飯事で、いつも聖とここあがダークメアを退治して、陽菜を落ち着かせると言う構図である。
陽菜自身、いつまでもこのままではいけないと、このままではダークメアを殲滅して平和な日常を取り戻すと言う目的を、平和な日常で恋愛をする。
普通の女の子としての日常を送る。
そんな細やかな願いを叶える事は、不可能であるとわかっている。
わかっているのだが、どうしても恐怖心を抑えられずに、今日も魔力を暴走させてしまった。
その魔力で、ダークメアを殺戮しまくっている事に本人は、全くと言って気づいていなかった。
「陽菜にゃん、相変わらずにゃ。ダークメアを殺してる事に気づいてないにゃ」
「ええ。でも何とか夏休みまでには、恐怖を克服して貰わないと」
「そうだにゃ。克服出来たら、聖とエッチが出来るって言ったら、きっと陽菜にゃんは喜ぶにゃ」
「何で私なの? ここあでもいいでしょ」
それもいいかも、パイパンっ娘との甘い時間は魅力的にゃと、ここあの目が光るので聖は、やっぱり私もと二人は相変わらず陽菜のパイパンに興味津々な様である。
陽菜が魔力を暴走させているが、戦い慣れしている二人にとっては、焦る事は何もなかった。
ダークメアが全て駆逐されたら、陽菜の暴走を止めればいいだけである。
「そろそろかしら」
「そうだにゃ」
二人は、ダークメアが殲滅されたのを確認すると、陽菜の暴走を止める為に陽菜に近づくと、ここあが陽菜の腹部に一撃を喰らわせて、陽菜を気絶させた。
「毎回可哀想にゃ」
「わかるけど、冷静さを失ってるから仕方ないじゃない」
毎回気絶させる為に、陽菜に一撃を喰らわせるのは、流石に可哀想だとは思うが陽菜がダークメアへの恐怖心を自らの力で、しっかりと抑えられる様になるまでは、延々とこのやり取りが繰り返される。
またやってしまったと、目覚めた陽菜はごめんなさいと、凹んでいる。
「大丈夫だけど、まだダークメアが怖い? 」
結構な回数ダークメアとの戦いを経験している。
初めの内は、戦いに慣れていないしと二人は気にしていなかったのだが、戦いに慣れてもいい頃であり、魔法少女同士の戦いも観ている。
しかし陽菜のダークメアに対する恐怖心は、少し異常な気がする。
戦いとしては、魔法少女同士の戦いの方が、明らかに激しい戦いなのに、驚いてはいた様だが、ここまで恐怖してはいなかった。
聖とここあは、陽菜には戦いに慣れて貰う必要があると考えている。
ダークメアもそうだが、月の生まれた場所に辿り着いた際に、アマルテアと名乗った魔法少女がいる可能性がある。
アマルテアは、月の身体を奪ってしまう程の魔法少女である。彼女と戦いになれば、陽菜の力も必ず必要になる。
経緯はどうあれ、陽菜も魔法少女になった以上は、魔法少女としての役目を果たす必要があった。
「陽菜、このままではいけないのはわかってるわよね? 」
「はい。わかってます」
雰囲気はいつもと同じ様に見える。
しかし陽菜を見つめる聖の瞳は、今までにない位に真剣で厳しい瞳をしている。
このままではいけないのよ。早く克服しなさいと、そう聖の瞳は訴えている様に見えて、陽菜は今更ながらに、自分の臆病さに嫌気が刺してしまう。
元が内気で臆病な女の子。
魔法少女になった事で、陽菜自身勘違いしていたのかもしれない。
魔法少女になって、ダークメアと戦える力を、ダークメアを殺せる力を得たのは確かだ。
だが得たのは力だけで、臆病な心が変わる事はなかった。
それに気付かずに、聖達もいるからと魔法少女としては、新米なのにダークメア討伐にいつもくっ付いて行っては、魔力を暴走させていた。
一歩間違えれば、大切な仲間を危険に曝してしまうかもしれないのに、その事にすら気付いていなかった。
どうしたらいいのかわからずに、陽菜は情けない顔を二人に見せながら、考え込んでしまう。
「何かご褒美があれば、克服出来るかにゃと思って、聖と話し合ってみたんだけど、陽菜にゃんが頑張ったら、うちらとムフフな事を出来るってのは、どうかにゃ? 」
「ここあ、本気だったの? 」
「当たり前にゃ。いつまでも暴走されたら、こっちも大変だし、うちらも陽菜にゃんのパイパンを堪能出来る。悪い話しじゃないと思うにゃ」
「そ、それはそうだけど」
ご褒美とかムフフとか、私のパイパンを堪能するとか、そんな言葉が聞こえてくるが陽菜は、克服出来るのなら何でもいいと思っていた。
自分は女の子が好きだから、聖やここあの様な可愛らしくて綺麗な女の子と、エッチな関係になれるのなら、それはそれでも構わないと思ってる。
本来ならそう言う事すら経験せずに、ダークメアに捕食されて、死んでいたのだから、それを考えれば、自分はこうして生きていられるだけで幸せだ。
「それでいいです。迷惑掛けてますし、私はお二人が好きですから、何をされても構いませんから、克服する為に力になってください」
「陽菜、本当にいいの? 女の子にとって初めては大切なのよ」
「聖、うちらも経験ないけど陽菜にゃんが良いって言ってるんだし、エッチな関係になっても、処女を奪うかはわからないし」
でもと、聖は困惑している。
ゆっくり考えないと駄目よと、聖はこの空気に耐えられなくなったのか、部屋を出て行ってしまった。
「聖さん? 」
「大丈夫にゃ。聖って結構初心って言うか、興味津々なくせに、変に真面目な部分があるだけにゃ」
でもと言う陽菜に、ここあは大丈夫にゃと言うと、陽菜の隣りに座る。
「陽菜にゃんが、ダークメアに捕食されたのは知ってるにゃ。でも今は倒せる力があるのに、どうしてそんなに怖いのかにゃ? 」
ここあは、そっと陽菜の腕に自分の腕を重ねると、優しく聞いてくれた。
一度捕食された。
何の力もなかったから、簡単に捕食されて喰われてしまった。
見た目は可愛らしいとは言わないが、普通の女の子なのに、大きな牙と大きな爪で私の身体を切り刻んで、キッヒヒヒと嫌らしい笑みを浮かべながら、私を追い詰めて、そして私を食べた。
その事が鮮明に頭に残っている。
ダークメアと対峙すると、どうしてもその光景が脳裏に蘇ってしまう。
足が竦んで、自分を抑えられなくなって気付いたら魔力を暴走させて、最後はいつもここあに気絶させられる。
これの繰り返し。
いくら自分を鼓舞しても、気付いたら暴走している。
そんな事を繰り返している内に、自分は駄目なんだと、駄目な魔法少女なんだと、やっぱりあの時死んでたら良かったのかな? そんな事まで考え始めていた。
「そんな悲しい事は言わないで欲しいにゃ。うちも聖も、勿論陽菜にゃんを知ってる皆んなが、そんな事望んでないにゃ」
「ありがとうございます。でも、こんな役立たずは要りませんよね? 」
そんな事はない! といきなり扉を開けて聖が入って来た。
「聖……さん? 」
「聞いてたなら、もっと早く入って来たらいいにょに」
ここあは、扉の向こうに聖が居る事に気付いていたので、全く驚かずに普通にしている。
聖は、陽菜の前まで来るといきなり陽菜を抱きしめて、そんな事言わないでと悲しそうな声で呟く。
「聖……さん? 」
「死んでたら良かったなんて、そんな事言わないで、もう誰も失いたくないのよ」
「聖さん」
「やっぱり聖も、まだ七海の事」
聖は、受け入れる事なんて出来ないわよと、受け入れるしかないけど、そう見せ掛けていたのだと、だからもう大切な仲間は失いたくないと、聖にしては珍しく子供の様に駄々を捏ねていた。
「聖って、相変わらず子供にゃんだから、昔から変わらないにゃ」
「お、大人よ」
ここあの言葉に反論するが、陽菜に縋り付いて駄々を捏ねていたのだから、説得力は皆無だった。
陽菜の隣に座り直すと、聖はもう一度死んでたら良かったなんて、二度言わないでと次言ったら許さないからと、さっきまでの駄々っ子の雰囲気ゼロで、陽菜に迫る。
「わ、わかりましたから、こ、怖いです」
聖に迫られた陽菜は、思わずここあの上に倒れてしまった。
「にゃ! 」
三人がベッドに倒れ込む。
「く、苦しいにゃ」
「ご、ごめんなさい! 」
陽菜がここあの上から退けようとするが、聖が二人を強く抱きしめて、それを阻止する。
「お願い。ここあも陽菜も、ずっと側に居てね」
「当たり前にゃ。うちは聖と一緒にゃ」
「はい。もう死にたいとか言いませんから、本当にごめんなさい」
二人の言葉に安心したのか、聖はそのまま二人を抱きしめていた。
三人でベッドに横になりながら、どうしたら陽菜が克服出来るのかを考える。
一番は実戦しかないのだが、毎回暴走しているのを見ると、他に方法を考える必要がある。
「やっぱり陽菜にゃんが、うちらの前でオナニーするとかは? 恥ずかしいのを克服すればいけるにゃ」
「ここあ。あんたが見たいだけでしょ」
「見たいにゃ! 聖だって見たいくせに」
「そ、それは」
いつものやり取りになってしまった。
いくら二人が好きでも、二人に見られながらのオナニーは、恥ずかしすぎると陽菜は想像して、顔を真っ赤にする。
「イメージトレーニングは如何ですか? 」
夕食ですよと、部屋に入って来た緋がダークメアとの戦いをイメージして、それを繰り返していけば、少しは変わるのではと月の頭を撫でながら言うので、聖とここあはそれだ! と大声を挙げたので陽菜は、ヒッ! と奇声を挙げてしまった。
イメトレなら、陽菜が危険に晒される事もないと、夕食後から早速トレーニングルームで陽菜はイメトレを開始する。
聖とここあの二人は、陽菜が暴走した時の為に見守っている。
ダークメアをイメージする。
許すまじ敵である。
頭の中に、あの恐ろしい姿を女の子の姿なのに、人間を捕食する。
そんな恐ろしいダークメアをイメージする。
陽菜の頭の中にダークメアが現れると同時に、陽菜の魔力が安定しなくなり、少しずつ暴走し始める。
「やっぱり陽菜にゃんは、ダークメアに絶大な恐怖を抱いてるにゃ」
「ええ。でも克服してもらわないと」
二人は陽菜を見つめながら、夏休みまでもう日がないと、それまでには克服してもらわないと困ると、陽菜に頑張りなさいと克服してみなさいと、叱咤激励していた。
そんな陽菜の姿を覗き見していたアマルテアは、本当に可愛いと嬉しそうにしている。
「大分お気に入りの様ね」
「アリエル。見て、ダークメアが怖いんだって、あのパイパンちゃん」
アマルテアに言われて、アリエルが水晶を覗き込む。
陽菜が必死に、ダークメアをイメージして克服しようとしている。
「あら本当ね」
「仕方ないさ。そのパイパンちゃんだっけ? は一度ダークメアに捕食されてるだから」
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「確かに、ダークメアの殲滅だけなら必要ないしね。力も大した事ないし、何より臆病で戦いには向かない」
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「別に何でもいいけどね。あの女神がパイパンちゃんを魔法少女にしてくれたお陰で、私はパイパンちゃんと楽しめる。アリエルは明里と楽しめるんだからね」
アリエルは、そうねと言うと明里を可愛がってくるわと言って、ネレイド同様に出掛けて行った。
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