姫プレイがやりたくてトップランカー辞めました!

椿原守

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37 俺の姫プレイとお手伝い 4 ☆

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「俺と結婚してくれ」

 そう言って、アイツが俺の手の甲にキスを落とした。
 ちゅっと小さなリップ音が耳に届く。

「きゃあああああああああああ」と周囲で女の子達の悲鳴が上がった。

「返事を聞いても?」

 微笑むレンの顔面破壊力は凄まじいようで、パタリまたパタリと倒れる人が続出した。

「…………」

 俺は固まったまま、動けない。
 微動だにせず、突っ立ったままでいると、人垣の一部が割れた。

「そこまでじゃ!!」

 聞き慣れた幼女の声が聞こえる。
 そちらに視線をやると、<暁>のサヨ、マサト、トモヤが立っていた。

「ほれ! トモヤ!」
「頑張って下さいね。トモヤ君」

 トモヤは二人に背中を押された。
 トモヤの顔は明らかに「ええ……?」と言っている。
 トモヤが振り返ると、サヨもマサトもフンッ! と力こぶを作るポーズで応援していた。

 ふぅ……と気を取り直したトモヤが、俺の目の前に歩いてくる。
 すると、トモヤも俺の前で片膝をついた。
 レンと反対の手を取り、俺を見つめる。
 トモヤは頬を色づかせ、はにかむ様に笑う。

「チロさん。僕と結婚して下さい」

 そうして、トモヤも俺の手の甲にキスを落とした。

 周囲は「ぎゃあああああああああ!!」と更にわき立つ。

 俺の身に、一体、なにが、起きて、いるのか。
 誰か、教えてくれまいか?

 この直前まで感じていた、モヤモヤとした負の感情が全て吹き飛んだ。
 俺の記憶も吹き飛びそうだ。目の前が真っ白になる。

 すると、遠くでピーピーと警告音がした。

 DFOは十八歳以上モードで遊ぶ時、必ず手首にリストを着ける。
 このリストは戦闘時に、重さを感じさせる加圧機能がある。
 それと同時に、プレイヤーのメンタル、健康を守る為に、脈拍などを常に測定する機器の一面もあった。
 イメージとしてはスマートウォッチのようなものが近いだろう。

 解禁モードのグロいモンスターに驚き、トラウマを抱えるプレイヤーも少なくは無い。
 急激な精神負荷を観測した場合には、プレイヤーの意思に関わらず、システムが強制ログアウトを行うように出来ている。

 ピーピーピーピーと警告音が増す。
 ブツンと視界が黒くなり、俺はそのまま強制ログアウトした。


 ***


 side ユキ

「あの二人が、あれだけ周りに牽制するって事は、やっぱりチヒロさんなのか」

 人垣に紛れていた、ふわふわとした白金の髪を持つ少年が、ポツリとこぼした。

「鼻歌聴けなかったから、違うのかと思ったけど、チロで当たりだったみたいだ」

 少年は人垣を離れ、炎都の転移広場から、王都へと飛んだ。

 王都の転移広場から歩いて、荒れた裏路地へと向かう。
 スラム街を思わせるエリアに足を踏み入れ、寂れた酒場の扉をキィ……と開けて入った。


「よぉ! ユキ! さっきぶりだな」
「ダイゴ。お前なんで話かけて来るんだよ」
「いや~お前が珍しく、女の子に声掛けてるからさぁ~! 近くに行ったら、話聞こえちゃって?」
「どう考えても盗み聞きだろ。しかも、そのまま待ち伏せしやがって……バーカ!」

 ユキはダイゴの酒を奪い取り、喉を潤す。
 ふぅと息を吐くと、タバコを取り出し、火を着けた。

「なぁユキ。さっきの子と会う約束したのか? 可愛い子だったら、こっちにも回してくんねぇ?」
「俺はオフパコ目的じゃないの。それにお前のせいで、俺の印象最悪だっつーに」
「あらら。『ユキ君、回復薬戻ってきて良かったねキラキラ』な展開にならなかったのか」
「どうやったら、そんな流れになるんだよ? 余計な事言いやがって……。まぁ、別に良いけどね? 嫌われても。近いうちに『転生薬』使うつもりだし~」
「俺も俺も~そろそろ『転生薬』使わないとな~。最近、7chに書き込まれ始めちゃったし?」
「お前は、オンナ喰いすぎなんだよ……ったく、自重しろ」
「へいへい」

 酒場の扉がキィ……と開く。

「ユキ? いるの?」

 ひょこりと、そばかす顔の青年が顔を出す。
 ユキは青年を見て、手を上げた。
  
「じゃーな、ダイゴ。俺行くわ。あ、言っておくけど、あの子に手を出したら、お前のこと運営にチクって永久垢BANしてもらうからな~!」
「おーこわっ! わーったよ」

 ***


「それで、オレを呼び出して……なに?」

 そばかすの青年がユキに問いかける。
 ユキは青年に『その前に誰にも話を聞かれないように宿屋へ行こう』と提案した。

「お泊まりですか?」

 寂れた宿のNPC主人が話しかける。

「泊まりで~。あー……カップル部屋でヨロシク」
「カップル部屋ですね。お連れ様もそれでよろしいですか?」
「えっ? あっ、はい?」

 そばかすの青年の反応から察するに、カップル部屋のバグを知らないようだ。
 部屋の扉が開くエフェクトが終わると、二人はカップル部屋に移動していた。

 ユキはスタスタ歩いて、ベッドに座る。

「お前も座れよ」
「う、うん」

 寂れた宿屋でも、部屋の雰囲気でなんとなくラブホのような空気を感じたのか、そばかすの青年は少し落ち着かなかった。

「お前から聞いた通りだったよ~! チロさん、本当にチヒロさんだった!」
「えっ!? 会ったの!?」
「会った会った。姫プレイしてるって言うから、俺もちょっと真似てみたんだけどさ~なんか上手くいかなかったわ~」
「そ、そうなんだ」

 そばかすの青年は、コラボカフェ初日にチヒロに会いたくて、池袋まで来た男のアバターだった。
 あの日、居酒屋で聞いたチヒロの秘密を一人で抱えることが出来なくなり、ついポロリと親友のユキに言ってしまった。
 ユキは青年と同じチヒロ信者だった為、それはそれは喜んだ。
 チヒロがゲームを続けていて、とても嬉しいと喜んだ。

 ただ、ユキのほうが、そばかすの青年よりもチヒロに対する想いが強かったようだった。
 強すぎる想いが、二人のカタチを歪めてしまった。


 はっ……はっ……と浅い息が聞こえる。
 ギシギシと古いベッドが軋む。
 そばかすの青年は、ボロボロと涙を零していた。

「あっ……はぁっ……、あぅっ!」

 手は紐で縛られ、青年の下着は剥ぎ取られていた。
 そばかす青年のペニスには、包帯のようなものが軽く巻かれている。
 ピクピクと震える先端は、出口を探していた。
 ユキは青年のナカに、熱く昂ったソレを挿入れ、腰を何度も打ち付ける。

「ほらぁ! 言えよ! 居酒屋の後も……チヒロさんの……後をつけたんだろ?」
「しっ……しらなっ……んぎっ!」
「家まで、追っかけたんだろ? なぁ? お前だけ知ってるなんて、ずりぃ……俺にも教えろ? な? 親友だろ?」

 青年はブンブンと頭を振る。
 カチカチと歯を鳴らしながら、ユキの行為にただただ耐えていた。

(言えない……! 言えるわけない! オレにこんな事する奴が、チヒロさんに会ったら……何するか……!)

「ひっ! ……いッッ!」
「なぁ……、じゃあ写真は? 撮ったんだろ?」

 思わず体がビクリと震えた。

「あー……撮ったんだぁ? そりゃそうだよなぁ?俺だってそうするもん。あとでチヒロさんの写真ちょーだい」
「やっ……やだッ……やぁっっ」
「や、じゃない。な? 親友は何でも共有するもんだろ?」
「だ……ダメだっ……うっ、ひッ!?」
「ダメじゃない。お前ばっか独り占めは、ほんとずりぃんだって。俺だって憧れの人の顔見てぇよ~」
「あっ……んあっ! あああっっ!」
「このカップル部屋ってイかなきゃ出られないんだぜ? なぁ~、いい加減チヒロさんの家教えろよ~。そしたらイかせてやるからさ~」

 そばかすの青年は唇噛んで、ブンブンと頭を振る。

「はー? ……じゃあさ~?」

 そう言いかけて、ユキはベッドのサイドボードに置いておいた煙草を取り、火をつけた。
 煙草を吸って、ひと息吐く。
 すると、青年のペニスに煙草を近づけた。

「なぁ? アバターでもちんぽに煙草を押し付けたら、どうなるんだろうな? 痛みは感じないはずだけど、どう思う? 脳はどんな反応するんだろうな? ちょっと……やってみっか?」
「ひぃぃいッッ」

 引き攣った声が出た。
 怖い怖い怖い怖い!!!
 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!!

 ただでさえ、ユキに犯されているナカは熱く、内臓を抉られたような感覚に、嘔吐えづきたくなっている。痛みは無いはずなのに、視覚は『痛い』と脳に告げていた。

「カップル部屋のバグって面白くてさぁ~ここだけ、強制ログアウト出来ないんだぜ? 知ってたぁ?」

 青年を見下ろす顔は歪んでいて、天使なんてどこにもいない。

 強制ログアウトされない。
 どんなに泣いても、どんなに絶望しても、システムは助けてくれない。

 恐怖のあまり、青年はユキ懇願した。

「言う! 言うがらぁ! もぉ……やめでっ!」
「うん。分かった。やめてあげる。やっぱ、持つべきものは親友だよな~? これも外してあげるね?」

 ユキはタバコの火を消し、しゅるりとペニスに巻きついていた包帯を取った。
 ずっと出口を探していたモノが、ようやく出れると息をする。

「あっ……! イッ……いっ! んぎっ!」
「あー……チヒロさん♡チヒロさん♡」

 ベッドの軋む音が更に増す。
 パンパンと肉を打ち付ける音が部屋に響き、その度に青年の喉奥から、かすれた声が上がった。
 そばかすの青年がビュルリと精液ザーメンを出す。

「あっ……も、イ……くっ!」

 そのすぐ後でユキもぶるりと震え、白濁とした液を青年のナカに吐き出した。

 はー……はー……と荒れた息が聞こえる部屋で『カチリ』と部屋の鍵が開いた音がする。

「おい。もし、嘘ついたり、誤魔化したら、お前とのセックス、動画で流すからな?」
「うっ……うう……うっ……」

 そばかすの青年が泣き震えながら、小さくコクリと頷く。
 それを見たユキは花のように微笑んで、青年の頭をヨシヨシと撫でた。

「チヒロさんに会えるの楽しみだなぁ~! お前はほんっと俺の親友だよな! 俺とチヒロさんの出会いを手伝ってくれる……キューピットみたいだよな!」

 ***


 ゲームをログアウトしたオレは、泣きじゃくりながらスマホを手に取り、アイツにチヒロさんの写真と名前と住所を送った。

 あの日、居酒屋の後も、つい好奇心で後をつけてしまった。
 オレだけが知ってるという優越感。
 つい、自慢したくなった。
 まさか、こんな事になるなんて思いもしなかった。

「ごめんなさいごめんなさい、チヒロさんごめんなさい」

 布団に包まって、あの人に何も起きない事を願う。
 チヒロ悪魔ユキに売ったのは自分なのに、その事実から目を背け、オレはずっと祈りを捧げた。
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