姫プレイがやりたくてトップランカー辞めました!

椿原守

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86 俺の姫プレイと風呂 ☆

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 <金曜日 22:10>

 熱の下がった俺は、とりあえず風呂に入ることにした。
 服を脱いで、浴室に入る。

 目の前の鏡に映る自分の姿にギョッとする。
 首から胸元にかけて赤い斑点が、これでもかと広がっていた。

 昨晩、レンとトモヤに雪森の痕跡を消したいと頼んで、アイツらに上書きしてもらった。
 そのおかげもあってか、今はキスマークを見ても嫌な感情はすぐには湧いてこない。

「うーわ……すげぇ……」

 首を捻って確認する。
 至るところに散った赤痕、いくつあるのか数えたくなる。

「これ……会社でバレてないよな?」

 今更ではあるが、特に指摘もされていなかったし、シャツの襟でしっかり隠れていたと思いたい。

(右側がトモヤで左側がレン……)

 アイツらすげーなー……と感心する。
 キスマークってこんな綺麗に付くものなんだなぁ~。

 高校のとき、自分の手の甲を使って練習したことがあったけど、よだれでベチョベチョになるだけで、上手くできなかった。
 少し赤くなって『できた!』と思ったら、時間経過と共にすぐに消えていた記憶しかない。

 シャワーで身体全体を濡らし、ボディソープをスポンジにつけて洗っていると、スポンジが乳首をかすめた。

「……っ」

 昨晩、雪森に散々いじられ、更にあの二人に吸われて上書きされたそこは、スポンジの刺激すら簡単に拾ってしまう。

「……うぅ」

 レンの家に来てから、実は一度も抜いていない。
 PvP戦のこともあったし、仕事から帰ってきて、食事や風呂など必要なことを終えたら、ギリギリまでゲームの世界に入り浸っていた。
 それに人様の家で抜く……というのは、ちょっと遠慮しておきたいと思っていたのだ。

 俺の性欲の強さは普通くらいだと思うが、さすがに二週間近く経過すると、少々の刺激でもちんぽが反応する。
 昨日ふたりに上書きされていた時は、快感を拾っても、こいつはピクリとも反応しなかった。
 なのに、今日はしっかり反応する。

 それはきっと身体だけでなく、心も回復傾向にあるのだと思う。喜ばしいことだ。
 だが、しかし……!

(……あと三日くらい、もってくれよぉ)

 一度意識したらもうダメだった。
 ゆるゆるとソレは立ち上がる。
 先走るものが少しずつ溢れ出した。
 それはシャワーの温水と一緒になって流れていく。

 そっと手を伸ばし、きゅっと握ると、ビクリと大きな反応を見せた。
 一瞬で完勃ちを決める我がムスコ。
 これはもう……いつ暴発してもおかしくない。

(ここで抜かなきゃ、朝起きたら夢精してた……なんてことにもなり兼ねない)

 そんなことになって、パンツ洗ってるところを見られでもしたら……羞恥で死ねる。
 心の中でレンに『ごめん』と謝りながら、俺はちんぽを扱き始めた。

「はっ……はぁっ……」

 右手で擦り上げながら、鏡に映る自分の身体を見る。
 首と胸に散りばめられた赤い斑点に、昨晩のレンとトモヤの唇を思い出した。
 空いた左手で乳首をカリカリと引っ搔くと、ジンジンとした刺激がカウパーの量を増やしていく。

「んっ……んッ……っ!」

 胸の痺れが、股間に集約される。
 俺はガチガチに硬くなったちんぽをひたすら擦った。

「ふっ……うっ……はぁっ」

 出したい……出したい……!
 扱く右手の速度を上げる。
 だらだらと垂れたカウパーが潤滑剤になって、ぐちゅぐちゅと水音を立てた。

「はっ……んーっ……んっんっ!」

 震えるまつ毛からポタポタと水滴が落ちた。
 息が荒れる。限界が近い。

「あっ……はぁ……あっ……くッ!」

 あ、くる。
 イク、イッ──く!

「んあッ! レ、……トモ……んんんッ!」

 ビュルルッと勢いよくザーメンが飛んだ。
 どろりとした白液は排水口に向かって、シャワーと共に流れていく。

 はぁはぁと肩で息をしながら、俺は壁に手をついた。
 吐き出したその後は、賢者タイムという名の自己嫌悪が襲ってくる。

(……二人のこと思い出して、抜いてしまった)

 あー……と頭を抱えたくなる。

 二週間、溜まりに溜まっていたソレは、少し時間を置いたら、またすぐ元気になってしまった。

(こうなったら、もう一発抜いておくか)

 一回したのなら、もう一回やっても同じだろうと開き直る。
 また俺はちんぽを握って、声を漏らした。

 この時、俺は一つのミスを犯していた。
 ひとり暮らしのクセが抜けなくて、洗面所のドアを閉め忘れていたのだ。
 浴室というのは声が響く。だから、そのドアが開いていれば、確実に浴室内の音は廊下に届く。

 そのことを失念したまま、俺はもう一度、精を吐き出した。

 **

 風呂を出て、着替える。首元はキスマークが目立つので、一応タオルをひっかけた。
 俺は飲み物を取りにキッチンへと向かう。

 リビングとキッチンへ通じるドアを開くと、レンとトモヤがソファーの両端に座っていた。

 俺は冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターをコップに注いで、一気に飲み干す。
 空になったコップをタンッとキッチンカウンターに置いた。
 俺が水を飲んでいる間も、ソファーに座ったまま微動だにしない二人。
 つい、気になって声をかけた。

「レンもトモヤも……どうしたの? 二人とも口押さえてさ。あとちょっと顔、赤くね?」 
「……いや」
「べっ別に……なんでもないよ?」
「ふーん……?」

 俺は部屋に戻ろうとして、ヘッドギアとリストをレンに預けたままだったことを思い出す。

「レン。俺のヘッドギアとリスト返して~。今からDFOやるから」
「あ、ああ……」

 レンは少しギクシャクとした動きで立ち上がり、自室へ向かった。
 俺もその後をついて行く。
 
「さんきゅー」
「…………」

 俺はそれらを受け取り、礼を口にして、立ち去ろうとした。
 レンが俺の手首を掴んで、引き留める。

「……? なに?」
「あー……いや、熱……さがって良かったな」
「? おう、そうだな」

 レンが複雑そうな顔をしている。
 あと耳がほんのり赤い。

「なんだよ? どうかしたのか?」
「……いや、その、お前……風呂入るときは、洗面所のドアはちゃんと閉めとけよ」
「?? うん?」

 レンがそう言うと、俺の手首を掴んでいた手を離した。
 俺は首を捻りながら、部屋に戻る。

 リストを手首に着けて、ヘッドギアを装着しようとしたとき、レンの言葉が脳内で反芻された。


『洗面所のドアはちゃんと閉めておけよ』


 ──ちょっと……待て。

 なんでレンはわざわざ、あんなこと言ったんだ?
 俺、もしかして、閉めないまま……風呂入ってた?

 顔を赤くしていたレンとトモヤ。
 ぎこちない動きと言動のレン。
 それから、俺への忠告。

(まさか……)

 オナニーしてたのバレて……る?
 俺は咄嗟に布団に潜り込んだ。まくらをぎゅっと抱きしめる。

(えっ? えっ? ほんとに?? バレてる?)

「うっそ……だろ?」

 顔が茹でダコのように赤くなってるのが分かる。
 首から頭へ、一気に熱が駆け上がった。
 目尻にじわりと涙が浮かぶ。

(──恥ずか死ねる!!!)

 顔にまくらを強く押しあて、うずめる。
 俺は声にならない悲鳴をあげたのだった。 
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