108 (ワンハンドレッドエイト)

鎮守乃 もり

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プロローグ

発情

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剣士は目前に立っているメイドをじっと見た。
視線は顔、目、手、足と流れるように動いた。

顔は敵意のある魔物か。
目は次にどう動くか。
手は武器を持っているか、あるいは隠してないか、召喚しないか。
足は構えの態勢をとっているか、襲ってこないか。

とはいえ、鼻歌まじりにヒザを交互に軽く曲げながら腰をフリフリしているし、頭も左右に軽く動きながら耳がぴこぴこしてる。

「んにゃ?尻尾が気になるかにゃ?」

くるりと後ろを向くとお尻を突き出してフリフリし始めた。
3つに分かれた尻尾がそれぞれの意思を持つかのごとくゆらゆらと動き、見ているものを魅了する。
そのうちの一本が剣士に向かって催眠術をかけ始めた。

くるくる くるくる くるくる

「お…おおっ!?」
剣士はよろめき、視界がぼんやりしてきた。
立っていられそうにないので近くに立っている棒をぎゅっと握った。

「にゃっ!!」

地面から立っている棒にしては不安定だなと感じた剣士は2度、3度、4度とぎゅっぎゅっとにぎった。

「ふにゃっ!にゃはぁ~ん…」

尻尾をぎゅっとにぎられたトステパは頬を真紅に染めた。
高揚しはじめた彼女はだらしなく口を開けて舌を出し、息づかいが荒くなってゆく。
腕を胸の下で交差させて右手は左胸、左手は右胸をわしづかみにしてもみはじめた。




※ 突然だが、説明しよう! ※
人型ネコ耳メイドであるトステパは三つ叉の尻尾をもっている。
ランダムではあるが、そのうちの一本をにぎられてしまうと発情してしまうのだ!
※ ----------- ※




尻尾をつかまれたままのトステパの口から一本の糸がつうっと流れた。
目の焦点がどこにも合っていない感じだ。
両手が胸からロングスカートにうつり、前をたくしあげた。
スカートの端を口で噛んで固定する。
左手は左胸を服の上からつかんでもんだ。
右手はゆっくりと股間へ移動してゆく。

ビクッ

指先がちょんと触れただけで電気が体内を走った。
おもわずきゅっと目をつぶり、ふるふると体を震わせた。
噛んでいるスカートの端がどんどんと湿ってゆく。

意識がはっきりとしてきた剣士は『やけに震える棒だな』としか思ってなかった。
剣士は棒だとおもっていたものが尻尾だとわかり、手を離した。
「あ、すまない」

「う”にゃあ”っ!!」

振り向いたトステパは剣士の正面数センチまで瞬時に近づき、目を見開いて叫んだ。

彼女の目を正面から見てしまい、体が動かなくなった。
『なんだこれは…』
目だけはかろうじて動く。
『しまった!やられた!殺される!』
冷や汗が全身から一気に出るのを感じた。

見開いていたトステパの目はゆっくりと閉じ、ゆっくりと半分ほどひらいた。
紅潮した顔を剣士に向けて両手を剣士の頬にそっと添える。

んっ

剣士は混乱した。
何が起きた!何がおきてる?なんだこの感触は。口?くちびる?舌?
もしかして今、キスされたか?舌を絡められた?
ぬるっとした感覚、毒を飲まされた?
いや、しびれはない。
少しだけ私から離れた彼女の口から一本の糸が私に続いている。
どういうことだ?
涎?唾液?
私の口の中から液体が喉を落ちていくのがわかる。

…ドクン。

『う…う…うああ…ああああ!』
出せない声が脳内で反響した。
『ああああ!痛い!痛い!痛い!』
剣士は硬直した体を震わせた。
『熱い!痛い!なんとかしてくれ!ぐうううう!潰れそうだっ!』
カタカタと震えて目をつぶる剣士。

にやりと淫靡な笑みをもらすとゆっくりとひざをついたトステパ。
カチャリ、カチャリとウエストベルトと剣を外して横に置いた。
剣士の履いているニッカポッカの股間がまわりのゆったりした布を巻き込んで怒号のごとく天に向かっていた。
ズボンの外からでも『く』の字がくっきりと見て取れる。
布の上からそっと手をそえて軽く上下になぞると、それはぴくぴくっと動いた。
先端部分が液体で濡れていくのがわかる。
それはじわりじわりと広がっていった。

トステパはそれは愛おしそうに眺めながら舌なめずりをした。
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