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翌朝
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結婚式の翌朝、セシリアの寝室にガーネット邸のメイドが数名訪れた。
一人で朝を迎えたであろう花嫁の、朝の支度を整える為に。
「奥様、おはようございます。朝のお支度に参りました…………え!?」
扉を開けたメイドの一人が部屋の惨状を見て絶句し、その場に固まった。
後ろにいる他のメイド達がその様子を不思議に思い隙間から中を覗く。
「は? え……? イザベラ様?」
「どうしてイザベラ様がここに……」
部屋の中にはガーネット侯爵夫人となったセシリアと、何故か先代の後妻であるイザベラがいた。しかも二人は寝台ではなく机の上に顔を突っ伏して寝ている。
しかもこの部屋酒臭い。入った時から分かっていたが酒の匂いが部屋中に充満している。見れば床には何本もの空の酒瓶が転がっていた。
一瞬、ここは場末の酒場かと錯覚した。それほどの惨状であったから。
少なくとも侯爵夫人の寝室とは思えないほどの酷さである。
「お、奥様…………?」
メイドの一人が遠慮がちに声をかけると、くぐもった声とともにセシリアは目を覚ました。
「ん…………もう、朝?」
ふわぁ、と欠伸をしながらセシリアが顔を上げる。
寝ぼけ眼で辺りを見渡すとメイド達と目が合った。
「奥様、おはようございま「あんた達、どの面下げて私の前に現れたの?」」
メイド達の挨拶はセシリアのドスのきいた声によって遮られた。
彼女の目は完全にすわっており、鋭い眼光がメイド達を射貫く。
「旦那様が初夜を放棄して何処かへ行ってしまったことをあんた達は知っていたんでしょう? だったらまず、私にそれを報告すべきじゃない?」
怒気を含んだ声にメイド達はすくみあがった。
恐ろしさのあまりに泣き出す者までいる。
「た、大変申し訳ございませんでした……。その、旦那様から奥様には黙っているようにと言いつけられまして……」
「はあ? 何それ? 私が来ない旦那様を一晩中待ち続けてもあんた達は何とも思わないの?」
「い、いえ、わたくし共も奥様に黙っていることを心苦しく思っておりました……」
「ふ~ん? でも、思っているだけで行動しないなら何の意味も無いわね? ……まあいいわ、過ぎたことを言ってもどうしようもないから、今すぐ私の無駄に浪費した時間を返してくれる?」
「え? あ、いえ……それは……」
セシリアの目の奥に潜む怒気が、静かに、しかし確実にメイド達を威圧する。
若い令嬢が発するとは思えないほどの威圧感にメイド達は身を震わせた。
「あら、返せないとでも? 貴女達がわざと私に旦那様が外出したことを報せなかったせいで、どれくらいの時間を無駄にしたと思うの?」
「もっ、もうしわけございません……!! でも、それは旦那様が奥様には黙っているようにと……」
「だから? 理由なんてどうでもいいし、興味もないわ。貴女達が意地の悪いことを私にしたのは事実でしょう? 女主人の私に!」
それは言外に「邸の女主人に喧嘩売るとはいい度胸だな?」という挑発を滲ませていた。改めて自分達のしたことを言語化され、詰め寄られ、メイド達は恐ろしさのあまりボロボロと涙を流し、哀れなほど体を震わせる。
「お、おくさま……申し訳ございません! どうか、どうか……お許しを……」
「あらあら、なあに? これじゃまるで私が虐めているみたいじゃないの……。おかしいわね? 昨夜、使用人全員で私のことを虐めたも同然の行いをしたくせに、なに被害者ぶってんのよ? 頭おかしいんじゃないの?」
攻めの姿勢を崩さないセシリアから繰り出される口撃の威力にメイド達は床に平伏しひたすらに許しを請うた。
「貴女達だけ責めても仕方ないわね? 関わった使用人全てに自分達が誰に、何をしたかを教えて差し上げないと……。さっさとここに関わった奴全員連れていらっしゃい」
地を這うような凄まじい声音で命じると、メイド達は逃げるように部屋から出て行った。
一人で朝を迎えたであろう花嫁の、朝の支度を整える為に。
「奥様、おはようございます。朝のお支度に参りました…………え!?」
扉を開けたメイドの一人が部屋の惨状を見て絶句し、その場に固まった。
後ろにいる他のメイド達がその様子を不思議に思い隙間から中を覗く。
「は? え……? イザベラ様?」
「どうしてイザベラ様がここに……」
部屋の中にはガーネット侯爵夫人となったセシリアと、何故か先代の後妻であるイザベラがいた。しかも二人は寝台ではなく机の上に顔を突っ伏して寝ている。
しかもこの部屋酒臭い。入った時から分かっていたが酒の匂いが部屋中に充満している。見れば床には何本もの空の酒瓶が転がっていた。
一瞬、ここは場末の酒場かと錯覚した。それほどの惨状であったから。
少なくとも侯爵夫人の寝室とは思えないほどの酷さである。
「お、奥様…………?」
メイドの一人が遠慮がちに声をかけると、くぐもった声とともにセシリアは目を覚ました。
「ん…………もう、朝?」
ふわぁ、と欠伸をしながらセシリアが顔を上げる。
寝ぼけ眼で辺りを見渡すとメイド達と目が合った。
「奥様、おはようございま「あんた達、どの面下げて私の前に現れたの?」」
メイド達の挨拶はセシリアのドスのきいた声によって遮られた。
彼女の目は完全にすわっており、鋭い眼光がメイド達を射貫く。
「旦那様が初夜を放棄して何処かへ行ってしまったことをあんた達は知っていたんでしょう? だったらまず、私にそれを報告すべきじゃない?」
怒気を含んだ声にメイド達はすくみあがった。
恐ろしさのあまりに泣き出す者までいる。
「た、大変申し訳ございませんでした……。その、旦那様から奥様には黙っているようにと言いつけられまして……」
「はあ? 何それ? 私が来ない旦那様を一晩中待ち続けてもあんた達は何とも思わないの?」
「い、いえ、わたくし共も奥様に黙っていることを心苦しく思っておりました……」
「ふ~ん? でも、思っているだけで行動しないなら何の意味も無いわね? ……まあいいわ、過ぎたことを言ってもどうしようもないから、今すぐ私の無駄に浪費した時間を返してくれる?」
「え? あ、いえ……それは……」
セシリアの目の奥に潜む怒気が、静かに、しかし確実にメイド達を威圧する。
若い令嬢が発するとは思えないほどの威圧感にメイド達は身を震わせた。
「あら、返せないとでも? 貴女達がわざと私に旦那様が外出したことを報せなかったせいで、どれくらいの時間を無駄にしたと思うの?」
「もっ、もうしわけございません……!! でも、それは旦那様が奥様には黙っているようにと……」
「だから? 理由なんてどうでもいいし、興味もないわ。貴女達が意地の悪いことを私にしたのは事実でしょう? 女主人の私に!」
それは言外に「邸の女主人に喧嘩売るとはいい度胸だな?」という挑発を滲ませていた。改めて自分達のしたことを言語化され、詰め寄られ、メイド達は恐ろしさのあまりボロボロと涙を流し、哀れなほど体を震わせる。
「お、おくさま……申し訳ございません! どうか、どうか……お許しを……」
「あらあら、なあに? これじゃまるで私が虐めているみたいじゃないの……。おかしいわね? 昨夜、使用人全員で私のことを虐めたも同然の行いをしたくせに、なに被害者ぶってんのよ? 頭おかしいんじゃないの?」
攻めの姿勢を崩さないセシリアから繰り出される口撃の威力にメイド達は床に平伏しひたすらに許しを請うた。
「貴女達だけ責めても仕方ないわね? 関わった使用人全てに自分達が誰に、何をしたかを教えて差し上げないと……。さっさとここに関わった奴全員連れていらっしゃい」
地を這うような凄まじい声音で命じると、メイド達は逃げるように部屋から出て行った。
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