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主人は僕だろう!?(デイビット視点)
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「まさか……母上はそれを分かってお前を嫁に……?」
「ええ、お義母様は貴方より賢い方ですもの。貴族よりも援助が見込め、領地経営も出来る私を伯爵家の嫁に選んでくださったのですわ」
「ふん、女が領地経営だなんて小賢しい……」
「その小賢しい女が経営しなければ回らなくなっているのがこの伯爵家です。貴方に能力がないから私が代わりにやっているのですよ? 実際、私が嫁いできてからの方が税収は何倍にも増えておりますしね」
「お前……! 当主の僕に向かって無礼な!」
「ええ、当主は貴方ですね。お飾りにすぎませんけど。でも、お飾りでも当主である貴方が王弟殿下の婚約者に言い寄っていることは家の恥であり、王家への不敬なんですよ」
「だが……! シャルロットは僕の妻で……!」
より美しさを増したシャルロット。
そんな彼女が別の男の妻になるなんて耐えられない。
あの美貌も、魅惑の肢体も、全て僕のものだったのに……!
「仮に、ローレン伯爵令嬢を再び妻に迎えたとしても同じことの繰り返しになるのではありませんか? 私と離縁すれば我が生家からの援助は見込めなくなるので、この家は瞬く間に貧困にあえぐことになります。そうなれば美容にお金も時間もかけられませんから、貴方が仰ったようにローレン伯爵令嬢の美貌は損なわれてしまうでしょう。……そうなったのなら、彼女の外見しか愛さない貴方は、また彼女を責めるのでしょう?」
「それは……そうかもしれないが……。仕方がないことだろう?」
「仕方がない……? 貴女が彼女を責めることが? そんなわけないじゃありませんか、馬鹿みたい」
「なっ……! 馬鹿とは何だ!!」
「馬鹿でしょう? 彼女の美が損なわれるのは全て貴方のせいなのに。彼女を責めるなんてお門違いですわ。全て貴方に甲斐性がないことが悪いんですよ?」
「全て僕のせいだって? そんなわけない! 金が無くても工夫と努力をすれば美しさは保てるだろう?」
「は? それってどうやってですか? どう工夫して、どう努力すれば、美を保つことが出来ますの?」
「え? あ、いや……それは分からないが……」
「自分が分からないことを人に要求するんですの? それっておかしくありません?」
「う、うるさい! とにかく、工夫して努力すれば人は美を保てるんだ!」
「仮にそうだとしても、その努力をする時間はないですよね? お金がなければ使用人だって雇えません。だから家事も炊事もしなければなりませんし、貴方が役に立たないから領地経営の仕事もしなければなりません。それだけで1日潰れますよね? それこそ寝る暇もないんじゃありませんこと?」
「あ、いや……でも、それは……」
「お話になりませんね。蝶よ花よと育てられた温室育ちのお嬢様に苦労させた挙句、理不尽に暴言を吐かれる。こんな傲慢で身勝手な男とまた結婚したいと願う女性がいるはずないでしょう?」
「はあ!? 何だと? お前、誰に向かってそんな口を……!」
「誰に、ですって? 口だけで能力のない、身分と見た目以外に何も価値のない、お飾りの当主であり旦那様でもある貴方に言っておりますが?」
「何だと……? このっ……!」
無礼な妻を躾けようと手を振りかざすと、近くに控えていたメイドに腕を捻り上げられた。
「いたっ! な、なにするんだ!」
「奥様に暴力を振るうことは許されません」
淡々としたメイドの物言いに腹が立ち、腕を振りほどこうとするも全く動かせない。
「貴様! 使用人の分際で主人に無礼を働くとは何事だ!!」
「…………? ですから、その主人を暴漢から守っているのですよ? 私共は奥様の生家より派遣されている者、なので主人は奥様です。お忘れですか……?」
主人はキアラだと? 何を世迷言を!
この家の当主は僕だぞ! ならば誰に雇われているのかは関係ない。主人は僕だ!
「…………旦那様、雇用契約を結んだ者が主人となるのです。お忘れでしょうが、この邸の使用人は全て私の生家の使用人達なのですよ? 彼女達に給金を支払っているのは私。なので主人は私なのです。雇用契約書にもそう記されておりますので」
僕の心を見透かしたようにキアラがそう話す。
雇用契約だと? 何だそれは?
「雇用契約だの何だのと、意味不明なことを言うな! この邸の当主は僕なんだから、給金を支払うだのは関係なく、僕が主人なんだ!」
「その理屈は通じませんね。そういう台詞は当主としての責務を果たしてからにしてください」
「何だとお前……あ、いたたっ!? 痛いっ! 離せっ!!」
メイドが腕をさらに捻ろうとするので痛みのあまりに叫んだ。
なんて無礼で野蛮な女なんだ!
それにキアラも夫が使用人に暴力を振るわれているというのに何とも思わないのか?
なんて冷徹で非道な女なんだ!
「ええ、お義母様は貴方より賢い方ですもの。貴族よりも援助が見込め、領地経営も出来る私を伯爵家の嫁に選んでくださったのですわ」
「ふん、女が領地経営だなんて小賢しい……」
「その小賢しい女が経営しなければ回らなくなっているのがこの伯爵家です。貴方に能力がないから私が代わりにやっているのですよ? 実際、私が嫁いできてからの方が税収は何倍にも増えておりますしね」
「お前……! 当主の僕に向かって無礼な!」
「ええ、当主は貴方ですね。お飾りにすぎませんけど。でも、お飾りでも当主である貴方が王弟殿下の婚約者に言い寄っていることは家の恥であり、王家への不敬なんですよ」
「だが……! シャルロットは僕の妻で……!」
より美しさを増したシャルロット。
そんな彼女が別の男の妻になるなんて耐えられない。
あの美貌も、魅惑の肢体も、全て僕のものだったのに……!
「仮に、ローレン伯爵令嬢を再び妻に迎えたとしても同じことの繰り返しになるのではありませんか? 私と離縁すれば我が生家からの援助は見込めなくなるので、この家は瞬く間に貧困にあえぐことになります。そうなれば美容にお金も時間もかけられませんから、貴方が仰ったようにローレン伯爵令嬢の美貌は損なわれてしまうでしょう。……そうなったのなら、彼女の外見しか愛さない貴方は、また彼女を責めるのでしょう?」
「それは……そうかもしれないが……。仕方がないことだろう?」
「仕方がない……? 貴女が彼女を責めることが? そんなわけないじゃありませんか、馬鹿みたい」
「なっ……! 馬鹿とは何だ!!」
「馬鹿でしょう? 彼女の美が損なわれるのは全て貴方のせいなのに。彼女を責めるなんてお門違いですわ。全て貴方に甲斐性がないことが悪いんですよ?」
「全て僕のせいだって? そんなわけない! 金が無くても工夫と努力をすれば美しさは保てるだろう?」
「は? それってどうやってですか? どう工夫して、どう努力すれば、美を保つことが出来ますの?」
「え? あ、いや……それは分からないが……」
「自分が分からないことを人に要求するんですの? それっておかしくありません?」
「う、うるさい! とにかく、工夫して努力すれば人は美を保てるんだ!」
「仮にそうだとしても、その努力をする時間はないですよね? お金がなければ使用人だって雇えません。だから家事も炊事もしなければなりませんし、貴方が役に立たないから領地経営の仕事もしなければなりません。それだけで1日潰れますよね? それこそ寝る暇もないんじゃありませんこと?」
「あ、いや……でも、それは……」
「お話になりませんね。蝶よ花よと育てられた温室育ちのお嬢様に苦労させた挙句、理不尽に暴言を吐かれる。こんな傲慢で身勝手な男とまた結婚したいと願う女性がいるはずないでしょう?」
「はあ!? 何だと? お前、誰に向かってそんな口を……!」
「誰に、ですって? 口だけで能力のない、身分と見た目以外に何も価値のない、お飾りの当主であり旦那様でもある貴方に言っておりますが?」
「何だと……? このっ……!」
無礼な妻を躾けようと手を振りかざすと、近くに控えていたメイドに腕を捻り上げられた。
「いたっ! な、なにするんだ!」
「奥様に暴力を振るうことは許されません」
淡々としたメイドの物言いに腹が立ち、腕を振りほどこうとするも全く動かせない。
「貴様! 使用人の分際で主人に無礼を働くとは何事だ!!」
「…………? ですから、その主人を暴漢から守っているのですよ? 私共は奥様の生家より派遣されている者、なので主人は奥様です。お忘れですか……?」
主人はキアラだと? 何を世迷言を!
この家の当主は僕だぞ! ならば誰に雇われているのかは関係ない。主人は僕だ!
「…………旦那様、雇用契約を結んだ者が主人となるのです。お忘れでしょうが、この邸の使用人は全て私の生家の使用人達なのですよ? 彼女達に給金を支払っているのは私。なので主人は私なのです。雇用契約書にもそう記されておりますので」
僕の心を見透かしたようにキアラがそう話す。
雇用契約だと? 何だそれは?
「雇用契約だの何だのと、意味不明なことを言うな! この邸の当主は僕なんだから、給金を支払うだのは関係なく、僕が主人なんだ!」
「その理屈は通じませんね。そういう台詞は当主としての責務を果たしてからにしてください」
「何だとお前……あ、いたたっ!? 痛いっ! 離せっ!!」
メイドが腕をさらに捻ろうとするので痛みのあまりに叫んだ。
なんて無礼で野蛮な女なんだ!
それにキアラも夫が使用人に暴力を振るわれているというのに何とも思わないのか?
なんて冷徹で非道な女なんだ!
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