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私の愛する御方
面倒くさい恋愛脳の夫との結婚生活をわずか1年で終えた私は、一旦生家の伯爵家に身を寄せることにしました。
両親に離婚の経緯を話すと、二人は怒りを通り越して呆れた表情になってしまいましたわ。
「アルシア公爵が直々に頭を下げてきたから結婚を承諾したというのに……。本当にどうしようもないなあの脳内お花畑男は!」
父の『脳内お花畑男』という物言いに思わず笑ってしまいました。
確かに頭の中に色とりどりのお花が咲き乱れ、その綺麗な世界でのみ生きているような思考の持ち主でしたものね。
「リリアーヌ王女様を娶りたいだなんて……。あの方が隣国で何をして出戻ることになったのか理解しているのかしら? 正気とは思えないわ……」
元旦那様のことですから、都合が悪いことは耳に入らないのでしょう。
全部承知の上で妻に迎えたいと言うのなら素敵ですが、多分それはないでしょうね。
「そんな理由で離婚だなんて到底納得できない! そうだ……アルシア公爵に直訴すれば離婚は取り消されるんじゃないか?」
「いいえ、お父様、それには及びません。あんな頭がおかしい方とこれ以上夫婦を続けていきたくありませんわ。これを機にもう解放されたいのです」
貴族の務めとしてあんな脳内お花畑な殿方の妻になりましたが、当の本人がそれを理解していないのですから続けるだけ無駄です。
それにあの人と肌を重ねるなんて想像するだけでゾッとします。
夫婦生活を続けたとしても子供を設けることは無理でしょう。
「む……それもそうか。お前は十分役目を果たしたのだから、もう解放されてもいいものな。だがこれからどうする? 子が出来ない女という理由で離婚しては、もう貴族家に嫁ぐなど出来ないぞ?」
「構いません。これを機に私は貴族の身分を捨てます。慰謝料として一生暮らせる分だけのお金は貰いましたし、ドレスや宝石を売ればかなりの金額になります。私はこのお金であの御方を迎えに行こうと思っております」
「お前、まだ彼のことを……!? だが、彼は……その、もう、キレイな身とは言えないが……それでもいいのか?」
「もちろんです。それでも私は彼を愛しておりますもの」
あの時の私には彼を救う力はありませんでした。ですが、今ならあります。
元旦那様がリリアーヌ王女殿下と添い遂げたいと願うように、私もあの方と今度こそ添い遂げたい。
それこそ貴族の身分を捨ててでも。
父は目に涙を滲ませながら「お前の幸せを願っているよ。あんな男と結婚させて本当に済まなかった」と謝り、母は黙って私を抱きしめてくれました。
ええ、今度こそ本当に愛する方と幸せになってみせます。
両親に離婚の経緯を話すと、二人は怒りを通り越して呆れた表情になってしまいましたわ。
「アルシア公爵が直々に頭を下げてきたから結婚を承諾したというのに……。本当にどうしようもないなあの脳内お花畑男は!」
父の『脳内お花畑男』という物言いに思わず笑ってしまいました。
確かに頭の中に色とりどりのお花が咲き乱れ、その綺麗な世界でのみ生きているような思考の持ち主でしたものね。
「リリアーヌ王女様を娶りたいだなんて……。あの方が隣国で何をして出戻ることになったのか理解しているのかしら? 正気とは思えないわ……」
元旦那様のことですから、都合が悪いことは耳に入らないのでしょう。
全部承知の上で妻に迎えたいと言うのなら素敵ですが、多分それはないでしょうね。
「そんな理由で離婚だなんて到底納得できない! そうだ……アルシア公爵に直訴すれば離婚は取り消されるんじゃないか?」
「いいえ、お父様、それには及びません。あんな頭がおかしい方とこれ以上夫婦を続けていきたくありませんわ。これを機にもう解放されたいのです」
貴族の務めとしてあんな脳内お花畑な殿方の妻になりましたが、当の本人がそれを理解していないのですから続けるだけ無駄です。
それにあの人と肌を重ねるなんて想像するだけでゾッとします。
夫婦生活を続けたとしても子供を設けることは無理でしょう。
「む……それもそうか。お前は十分役目を果たしたのだから、もう解放されてもいいものな。だがこれからどうする? 子が出来ない女という理由で離婚しては、もう貴族家に嫁ぐなど出来ないぞ?」
「構いません。これを機に私は貴族の身分を捨てます。慰謝料として一生暮らせる分だけのお金は貰いましたし、ドレスや宝石を売ればかなりの金額になります。私はこのお金であの御方を迎えに行こうと思っております」
「お前、まだ彼のことを……!? だが、彼は……その、もう、キレイな身とは言えないが……それでもいいのか?」
「もちろんです。それでも私は彼を愛しておりますもの」
あの時の私には彼を救う力はありませんでした。ですが、今ならあります。
元旦那様がリリアーヌ王女殿下と添い遂げたいと願うように、私もあの方と今度こそ添い遂げたい。
それこそ貴族の身分を捨ててでも。
父は目に涙を滲ませながら「お前の幸せを願っているよ。あんな男と結婚させて本当に済まなかった」と謝り、母は黙って私を抱きしめてくれました。
ええ、今度こそ本当に愛する方と幸せになってみせます。
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