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侯爵とのお茶会①
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「え? 侯爵様からお茶のお誘い……?」
侯爵からお茶の誘いがあったことを伝えると、案の定アリッサは怪訝な反応を見せた。ここに来てからずっと不遜な態度で接していた侯爵がいきなり手の平返したように友好的になるのだから警戒するのも当然だ。
「いったいどういう風邪の吹き回しかしら……」
眉根を寄せて考え込むアリッサに家令は何も言えなかった。
侯爵が彼女をお茶に誘う理由はおそらく下心だ。いくら婚約者候補とはいえ十代の娘に三十路の男が下心を持っていると伝えるのは心苦しい。
「うーん……でも、今お父様……いえ、“ヴィクトリア”が寝込んでいるから……」
「そうですよね……。お具合はいかがですか?」
「寝ていれば大丈夫よ。ちょっと精神に負担がかかってしまったみたいでね」
「精神に負担……? まさか当家の膨大な量の仕事のせいで……」
「いえ、それが原因ではないわ。大丈夫よ、気になさらないで」
相変わらず子爵を“ヴィクトリア”として扱う姿勢に一貫性がないアリッサ。
家令もそこは別に気にもしなかったが、寝込んでいるらしい子爵の事は気になる。
まさかあの大量の仕事を処理したせいで……と思ったがどうやらそれは違うらしい。
「そういうわけだから、私だけ参加してもよろしいかしら?」
「え? あ、あの……よろしいのですか?」
「ん? なにが?」
「いえ……その、旦那様は貴女様に失礼な態度をとっておりましたので……」
「確かに、それはそうね。でもお世話になっている家の御当主の誘いを断ることは礼儀に反するから」
まさか了承してもらえると思っていなかったので家令はかなり驚いた。
失礼な男からの誘いを礼儀に反するという理由で受けるとは……言動は大分アレだが存外義理堅い性格をしているようだ。
「さようでございますか……。あの、旦那様と二人きりになってしまいますが……それでもよろしいでしょうか?」
「え? ジェシカさんは同席されないの?」
「はい……そうなのです」
それを聞いてアリッサは一瞬眉根を寄せ、どういう風の吹き回しかと呟く。
しかし家令も馬鹿正直に「下心ですよ」とは答えられない。
「あの、もしお嫌でしたら断わって頂いても大丈夫ですよ……?」
断った、など言おうものならあの主人は怒るだろうが家令はそれでも構わなかった。それよりもアリッサの意思を尊重したいという気持ちの方が大きい。
たった数日で家令は主人よりもアリッサの方に重きを置くようになった。
破天荒な言動が目立つものの、その威風堂々たる様は人の上に立つに相応しい。
それに何故かは分からないが時折とても子爵令嬢とは思えぬほどの高貴さを感じる。侯爵よりも、子爵よりも、令嬢でしかない彼女の方がよほど……
「心配してくれてありがとう、でも大丈夫。お受けするわ」
こちらを気遣う言葉を受け、一瞬家令は自分がこの令嬢に仕えている身だと錯覚した。そう思わせるほどアリッサからは他者の心を惹きつける何かが感じられる。
家令は自分でも驚くほど深く頭を下げ、少し上擦った声で「畏まりました」と答えた。
*
「このお茶、とても美味ですね。どちらのものですか?」
「さあ、知らないな。仕入れは使用人に任せている」
「はあ、そうですか……」
侯爵邸にある陽当たりの良いサロン。
その一室でアリッサは侯爵と向かい合ってお茶を飲んでいた。
茶会の礼儀として話題を振るアリッサだが、招待した側でありながら会話を盛り上げる気の無い侯爵に呆れを隠せない。早々に会話を諦めて窓越しに景色を楽しむことにした。
(あの桃色の薔薇綺麗だわ。我が家の庭にも植えてもらおうかしら? 何という品種なのか後で庭師に確認しておきましょう……)
もう会話をする気も失せたアリッサはティーカップ片手に庭に植えてある薔薇を眺めていた。何も話さない三十路の男よりも美しく咲き誇る花を見ていた方がいい。前者の方を向いていては折角の美味しいお茶が台無しだ。
それにしても侯爵は高位貴族家の当主でありながら茶会の作法も知らないのかと呆れてしまう。茶会で提供されるお茶がどこの産地の物かを客人が尋ね、それに招待した側が答えるのはこの国では当然の作法。幼少の頃より高等な教育を受けてきたであろう高位貴族が何故それをしないのか理解に苦しむ。
(……もしかして、知らないのではなくて忘れてしまったのかもしれないわね)
ジェシカ(平民)をまるで妻のように傍に置き、長年に渡り縁談も断っているせいでバーティ侯爵は社交界で爪はじきにされていると聞く。そうなると必然的に他家から茶会の誘いを受けることもないだろう。そうして過ごすうちに貴族として当然の礼儀作法も忘れつつあるのかもしれない。
「菓子は足りているか? 遠慮せずどんどん食べるがいい」
「え? あ、はい。ありがとうございます……」
「不味い食事ばかりで辛かっただろう? よければ父親の分も持っていって構わないぞ」
「?? はあ……お気遣いありがとうございます」
アリッサは公爵の発言の意味が分からず首を傾げた。
不味い食事とは何のことだろう? それに父の分と言っても、お茶もお菓子も望めばいつでも出してもらえるからわざわざ持ち帰ることもないのに……
「それと、あんな部屋に君のような可憐な令嬢を押し込めてすまなかった……。王命にかこつけて僕とジェシカを引き裂く悪女だと思い込んでしまって……」
「はあ……。あんな部屋、ですか……?」
先程から侯爵の発言が意味不明だ。
何故やたらと菓子を勧めたり用意された部屋について謝罪したりするのだろうか。
「ああ、今日中にでもちゃんとした客室に行けるよう手配しておく」
「?? あの……先ほどから何の話をしているのです?」
「え? いや、だから……その……」
急に口籠る侯爵をアリッサは黙って見つめる。
すると彼は気まずそうに呟いた。
「その……悪かった。勝手に決められた婚約者など追い出してしまおうと思い、わざと粗末な部屋や食事を用意させたんだ。さぞかしひもじく惨めな思いをしただろうと……」
「?? ……ああ! そういうことですか」
そういえば初日に父とそんな話をしたなと今更ながら思い出す。
あの時は冗談で「屋根裏部屋にでも案内されるところだったのかも」と言ったが、侯爵の口ぶりから本当はそうするはずだったのだと気づく。
(実際は部屋も食事もまともなものが提供されているのだけど……もしかして侯爵様の命令を無視して家令さんあたりが独断でやってくれたということ?)
勘のいいアリッサは瞬時に理解した。
目の前のボンクラ侯爵が下した愚かな命令を家令が無視をしたと。
なかなか懸命な判断じゃないかとアリッサは密かに家令を見直した。
「本当にすまなかった……。どうか許してほしい……」
神妙な面持ちで謝罪をする侯爵。三十を過ぎているとはいえ未だ健在の美しい顔立ちの男がまるで叱られた犬のように項垂れる様は母性本能をくすぐられる…………とはならなかった。
「初対面の相手を虐げようとした事を謝罪一つで済ませようとするなんて正気ですか? いくら私が貴方様より身分が低いといえどもやっていいことと悪いことがあると思いますけど……」
アリッサの冷めた言葉に侯爵は一瞬何を言われたか分からなかった。
侯爵である自分がしおらしく謝れば許されるという謎の自信があったのに、こうも冷たく突き放された挙句に説教をされるとは思ってもいなかったのだ。
「あ、いや……だからこうして頭を下げて……」
「下げるだけで許されて然るべきと? それは随分そちらに都合がよろしい考えでございますね。私は我が父が何十年も前に犯した罪を償えと強要されておりますのに……」
まるで地の底から這い出るような迫力のある声に侯爵は圧倒された。
自分よりひと回りは下の令嬢から発せられたとは思えぬほど低く威圧感に満ちた声。いくら鈍感な侯爵といえども目の前の少女が怒っていることは容易に理解が出来た。そして自分の言葉で少女を怒らせてしまったということも。
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「精神に負担……? まさか当家の膨大な量の仕事のせいで……」
「いえ、それが原因ではないわ。大丈夫よ、気になさらないで」
相変わらず子爵を“ヴィクトリア”として扱う姿勢に一貫性がないアリッサ。
家令もそこは別に気にもしなかったが、寝込んでいるらしい子爵の事は気になる。
まさかあの大量の仕事を処理したせいで……と思ったがどうやらそれは違うらしい。
「そういうわけだから、私だけ参加してもよろしいかしら?」
「え? あ、あの……よろしいのですか?」
「ん? なにが?」
「いえ……その、旦那様は貴女様に失礼な態度をとっておりましたので……」
「確かに、それはそうね。でもお世話になっている家の御当主の誘いを断ることは礼儀に反するから」
まさか了承してもらえると思っていなかったので家令はかなり驚いた。
失礼な男からの誘いを礼儀に反するという理由で受けるとは……言動は大分アレだが存外義理堅い性格をしているようだ。
「さようでございますか……。あの、旦那様と二人きりになってしまいますが……それでもよろしいでしょうか?」
「え? ジェシカさんは同席されないの?」
「はい……そうなのです」
それを聞いてアリッサは一瞬眉根を寄せ、どういう風の吹き回しかと呟く。
しかし家令も馬鹿正直に「下心ですよ」とは答えられない。
「あの、もしお嫌でしたら断わって頂いても大丈夫ですよ……?」
断った、など言おうものならあの主人は怒るだろうが家令はそれでも構わなかった。それよりもアリッサの意思を尊重したいという気持ちの方が大きい。
たった数日で家令は主人よりもアリッサの方に重きを置くようになった。
破天荒な言動が目立つものの、その威風堂々たる様は人の上に立つに相応しい。
それに何故かは分からないが時折とても子爵令嬢とは思えぬほどの高貴さを感じる。侯爵よりも、子爵よりも、令嬢でしかない彼女の方がよほど……
「心配してくれてありがとう、でも大丈夫。お受けするわ」
こちらを気遣う言葉を受け、一瞬家令は自分がこの令嬢に仕えている身だと錯覚した。そう思わせるほどアリッサからは他者の心を惹きつける何かが感じられる。
家令は自分でも驚くほど深く頭を下げ、少し上擦った声で「畏まりました」と答えた。
*
「このお茶、とても美味ですね。どちらのものですか?」
「さあ、知らないな。仕入れは使用人に任せている」
「はあ、そうですか……」
侯爵邸にある陽当たりの良いサロン。
その一室でアリッサは侯爵と向かい合ってお茶を飲んでいた。
茶会の礼儀として話題を振るアリッサだが、招待した側でありながら会話を盛り上げる気の無い侯爵に呆れを隠せない。早々に会話を諦めて窓越しに景色を楽しむことにした。
(あの桃色の薔薇綺麗だわ。我が家の庭にも植えてもらおうかしら? 何という品種なのか後で庭師に確認しておきましょう……)
もう会話をする気も失せたアリッサはティーカップ片手に庭に植えてある薔薇を眺めていた。何も話さない三十路の男よりも美しく咲き誇る花を見ていた方がいい。前者の方を向いていては折角の美味しいお茶が台無しだ。
それにしても侯爵は高位貴族家の当主でありながら茶会の作法も知らないのかと呆れてしまう。茶会で提供されるお茶がどこの産地の物かを客人が尋ね、それに招待した側が答えるのはこの国では当然の作法。幼少の頃より高等な教育を受けてきたであろう高位貴族が何故それをしないのか理解に苦しむ。
(……もしかして、知らないのではなくて忘れてしまったのかもしれないわね)
ジェシカ(平民)をまるで妻のように傍に置き、長年に渡り縁談も断っているせいでバーティ侯爵は社交界で爪はじきにされていると聞く。そうなると必然的に他家から茶会の誘いを受けることもないだろう。そうして過ごすうちに貴族として当然の礼儀作法も忘れつつあるのかもしれない。
「菓子は足りているか? 遠慮せずどんどん食べるがいい」
「え? あ、はい。ありがとうございます……」
「不味い食事ばかりで辛かっただろう? よければ父親の分も持っていって構わないぞ」
「?? はあ……お気遣いありがとうございます」
アリッサは公爵の発言の意味が分からず首を傾げた。
不味い食事とは何のことだろう? それに父の分と言っても、お茶もお菓子も望めばいつでも出してもらえるからわざわざ持ち帰ることもないのに……
「それと、あんな部屋に君のような可憐な令嬢を押し込めてすまなかった……。王命にかこつけて僕とジェシカを引き裂く悪女だと思い込んでしまって……」
「はあ……。あんな部屋、ですか……?」
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「え? いや、だから……その……」
急に口籠る侯爵をアリッサは黙って見つめる。
すると彼は気まずそうに呟いた。
「その……悪かった。勝手に決められた婚約者など追い出してしまおうと思い、わざと粗末な部屋や食事を用意させたんだ。さぞかしひもじく惨めな思いをしただろうと……」
「?? ……ああ! そういうことですか」
そういえば初日に父とそんな話をしたなと今更ながら思い出す。
あの時は冗談で「屋根裏部屋にでも案内されるところだったのかも」と言ったが、侯爵の口ぶりから本当はそうするはずだったのだと気づく。
(実際は部屋も食事もまともなものが提供されているのだけど……もしかして侯爵様の命令を無視して家令さんあたりが独断でやってくれたということ?)
勘のいいアリッサは瞬時に理解した。
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侯爵である自分がしおらしく謝れば許されるという謎の自信があったのに、こうも冷たく突き放された挙句に説教をされるとは思ってもいなかったのだ。
「あ、いや……だからこうして頭を下げて……」
「下げるだけで許されて然るべきと? それは随分そちらに都合がよろしい考えでございますね。私は我が父が何十年も前に犯した罪を償えと強要されておりますのに……」
まるで地の底から這い出るような迫力のある声に侯爵は圧倒された。
自分よりひと回りは下の令嬢から発せられたとは思えぬほど低く威圧感に満ちた声。いくら鈍感な侯爵といえども目の前の少女が怒っていることは容易に理解が出来た。そして自分の言葉で少女を怒らせてしまったということも。
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