24 / 77
アリッサの怒り
しおりを挟む
「ならばどうぞ“ヴィクトリア”を妻に。そうすれば貴方の願いは叶えられます」
「……だからっ! どうしてあんな女装中年男を妻にしなければならないんだ! ふざけるのも大概にしてくれ!」
「ふざけているのは貴方でしょう? 身分差があろうとも愛する人と離れたくない、貴族の身分も手放したくない、養子は嫌だ、自分の子に跡を継がせたい。こんな子供みたいな駄々ばかりこねて恥ずかしくないのですか? それに“ヴィクトリア”を妻にする以外で貴方の望みが全て叶う方法があるのですか?」
「だから……それは……君が僕の正妻になれば……」
ポツリと呟いた侯爵の一言にアリッサの目が吊り上がった。
その恐ろしいまでに迫力のある表情に侯爵は「ひいっ!?」と悲鳴をあげてのけぞる。
「……まあまあ、私にふざけるなと言っておきながら、侯爵様こそ大分おふざけが過ぎるようですわね。私が貴方の正妻? 今の流れでどうしてそんな話が出てくるのです?」
「い、いや……だって、その……」
「お忘れですか? 私を選ぶのであればジェシカさんを手放さなければなりません。それは王命で定めしこと、破れば当然処罰は免れませんよ?」
「いや……それは……ヘブンズ伯爵が……」
「ヘブンズ伯爵ですって……? 何故ここでその名が出てくるのです!?」
「あ、えっと……それは、その……」
言い淀む侯爵を睨みつければ観念したように話し始めた。
ヘブンズ伯爵と交わした会話の内容を馬鹿正直にも全て白状すると、それを聞いたアリッサの顔から表情が抜け落ちる。
「……ふーん、そうですか。ヘブンズ伯爵が私を”お飾りの妻”にするよう貴方に話をもちかけた、と。つまり貴方は最初から事情を全て知ったうえでこの縁談を受けたと……」
「あ、ああ……そう、なる……かな」
無表情のアリッサが恐ろしすぎて侯爵は直視できず目を逸らす。
しまった、言うのではなかったと後悔するがもう遅い。
「それで私が一人訪れるかと思いきや女装した男までもがやって来て、婚約に条件までつけてきたものだから話が違うと文句をつけに行ってた、と」
「ああ……うん、そうだな……」
「で、ヘブンズ伯爵は私一人が”お飾りの妻”になるよう陛下に話をつけてくるとおおせになったと。だから貴方も私に対して『正妻になれ』などとおっしゃったわけですね」
「あ、ああ……」
詰め寄る口調に侯爵はまたもや馬鹿正直に返事をした。
この男、誤魔化すということが出来ないのかとアリッサは深くため息をついた。
「どれだけ私を馬鹿にするおつもりですか? 何故、私がそのような生贄のような扱いを受けねばならぬのです? 貴方の”お飾りの妻”になって私に何の利益があります?」
「い、生贄だなんて……そんな言い方……」
「生贄でしょう? 仮に我が家が困窮していて資金援助の為に嫁ぐというのならまだ分かります。でも、そうではない。我が家と貴家が縁づいた所で特に利益は見当たりません。ならばそんな生贄のような扱いを受けると分かったうえで嫁ぐ意味など無いのですよ!」
自分に嫁ぐことを”生贄”になるのは御免だと怒るアリッサに侯爵はひどくショックを受けた。
だって下位貴族が侯爵夫人になれるのだ。それを喜ばず、まるで何かの罰のように言われるなんて思ってもみなかったから。
「それでもヘブンズ伯爵と同じように罪人云々おっしゃるおつもりならば、どうぞ”ヴィクトリア”を妻になさいませ。あれこそ”罪人”ですのでどうぞお飾りだろうと置物だろうとお好きに扱ってかまいませんわ」
「自分の父親にそこまで言うか……?」
「父親だろうと何だろうと、罪を犯した者が償うことが道理だと私は思います。いくら娘といえども何の罪も犯していない私がこの身を犠牲にしてまで償えというのなら、それは不条理でしょう?」
「だからって女装した中年男を嫁に迎えろというのは理不尽ではないのか!?」
「先に理不尽な要求を押し付けてきたのはあなた方ではありませんか? 理不尽な要求をしてきたヘブンズ伯爵もそうですが、それに従った貴方や国王陛下のことが私は許せません。相手が誰であろうとも、理不尽な要求をしてきた者には理不尽な対応でお返しいたします」
格上相手に不敬過ぎる発言。だがそれでもアリッサは堂々としていた。
その佇まいにまるで彼女が誰よりも格上の存在だと錯覚させられる。
「で、でもそれだと困るんだ……!」
「困る? 何がですか?」
「いくら好条件を並べられようとも男じゃ子は産めないだろう? 私は……やはり自分の血を引いた子がほしい……」
「は? だからそれはジェシカさんにお願いすればいいではありませんか。ちゃんと王命で”妻扱い”を許すと明記されたのですもの。跡継ぎを作っても多分許されますわよ」
妻扱いを許すとあるものの、跡継ぎを設けることが許されるかどうかは分からない。
でもそこは侯爵が押し通せば何とでもなるとアリッサは他人事だからその程度しか考えていなかった。
まあ、仮に許されなくとも自分には関係ない。
「……それは無理だ。だって、ジェシカとは……もう何年も子が出来ない」
「は……?」
「だから……君に僕の子を産んでもらいたいと……」
それを言われた瞬間、全身の血が沸騰しそうな心地に襲われた。
もちろん、羞恥などという可愛らしいものではない。怒りだ。アリッサの全身に怒りが巡り、気づけばテーブルに思い切り拳を叩きつけていた。
「ひっ!?」
ドン、という鈍い音が部屋中に響く。
侯爵の悲鳴とその音に扉の外で控えていたメイド達が慌てて部屋へと入ってきた。
「失礼します! 旦那様、今の音は…………ひいっ!?」
部屋の光景を目にしたメイド達は思わず悲鳴をあげてしまう。
そこには座したまま怒りに身を震わせるアリッサと、真っ青な顔で床に尻もちをつく侯爵の姿があった。
「戯れがすぎますわね……? その発言はジェシカさんと私、両方を傷つけ見下しているものだという自覚はお有りで?」
どこから出しているのかと問いたくなるほど低く圧の込められた声。
その声に部屋の中にいる者は皆驚きの余り震えることしか出来ない。
「御自分の子が欲しい、という気持ちはまあ分かります。では私やジェシカさんの気持ちは? 好きでもないうえに恋人のいる男の子を孕まされる私の気持ちと、愛した男が自分以外の女を孕ませるという鬼畜の所業を突きつけられるジェシカさんの気持ちは?」
「なっ……!? そこまで酷い言い方をしなくてもいいだろう!」
「お黙りさない! 今は貴方の気持ちなど聞いておりません! 私やジェシカさんの気持ちを考えなさいと申しているのです!」
ピシャリと叱りつけると侯爵は驚いて体をすくませた。
自分よりも遥かに年下の少女の叱責が、どうしてここまで恐ろしいのか理解できない。
「……そういうところですよ。私が怒る二つ目の理由は……」
はあ、と大きく息を吐いたアリッサは再び侯爵を睨みつける。
「結局貴方は私やジェシカさんが自分よりも身分が下だからといって、どう扱っても構わないと思っているのですよね? こちらがどう思うかなんて気にせず……自分勝手で傲慢な発言ばかり。貴方だけじゃない、ヘブンズ伯爵も、国王陛下でさえ身分が下の者を軽く見て理不尽な要求を押し付けて何とも思わない……。もう、うんざりです!」
再びアリッサが両手の拳をテーブルに叩きつけると衝撃で上に載っていた茶器や菓子皿が揺れて音を出す。その光景に一同はますます顔を青褪めさせた。
「……確かに私はあなた方より遥かに身分の低い下位貴族の娘です。でもね、それは父方の血筋の話です。いつまでも理不尽な対応に甘んじて従う側だと思わないことですね」
動きだけは優雅にスッと椅子から立ち上がり、アリッサは「お茶ご馳走様でした」とだけ告げてその場から立ち去った。残された侯爵は情けない恰好のまま「どうしてあんなに怒るんだ……」と呟くも、それに答えられる者はいない。
ただ、居合わせたメイド達は顔を見合わせながら心の中で主人が悪いと思うだけだった。
「……だからっ! どうしてあんな女装中年男を妻にしなければならないんだ! ふざけるのも大概にしてくれ!」
「ふざけているのは貴方でしょう? 身分差があろうとも愛する人と離れたくない、貴族の身分も手放したくない、養子は嫌だ、自分の子に跡を継がせたい。こんな子供みたいな駄々ばかりこねて恥ずかしくないのですか? それに“ヴィクトリア”を妻にする以外で貴方の望みが全て叶う方法があるのですか?」
「だから……それは……君が僕の正妻になれば……」
ポツリと呟いた侯爵の一言にアリッサの目が吊り上がった。
その恐ろしいまでに迫力のある表情に侯爵は「ひいっ!?」と悲鳴をあげてのけぞる。
「……まあまあ、私にふざけるなと言っておきながら、侯爵様こそ大分おふざけが過ぎるようですわね。私が貴方の正妻? 今の流れでどうしてそんな話が出てくるのです?」
「い、いや……だって、その……」
「お忘れですか? 私を選ぶのであればジェシカさんを手放さなければなりません。それは王命で定めしこと、破れば当然処罰は免れませんよ?」
「いや……それは……ヘブンズ伯爵が……」
「ヘブンズ伯爵ですって……? 何故ここでその名が出てくるのです!?」
「あ、えっと……それは、その……」
言い淀む侯爵を睨みつければ観念したように話し始めた。
ヘブンズ伯爵と交わした会話の内容を馬鹿正直にも全て白状すると、それを聞いたアリッサの顔から表情が抜け落ちる。
「……ふーん、そうですか。ヘブンズ伯爵が私を”お飾りの妻”にするよう貴方に話をもちかけた、と。つまり貴方は最初から事情を全て知ったうえでこの縁談を受けたと……」
「あ、ああ……そう、なる……かな」
無表情のアリッサが恐ろしすぎて侯爵は直視できず目を逸らす。
しまった、言うのではなかったと後悔するがもう遅い。
「それで私が一人訪れるかと思いきや女装した男までもがやって来て、婚約に条件までつけてきたものだから話が違うと文句をつけに行ってた、と」
「ああ……うん、そうだな……」
「で、ヘブンズ伯爵は私一人が”お飾りの妻”になるよう陛下に話をつけてくるとおおせになったと。だから貴方も私に対して『正妻になれ』などとおっしゃったわけですね」
「あ、ああ……」
詰め寄る口調に侯爵はまたもや馬鹿正直に返事をした。
この男、誤魔化すということが出来ないのかとアリッサは深くため息をついた。
「どれだけ私を馬鹿にするおつもりですか? 何故、私がそのような生贄のような扱いを受けねばならぬのです? 貴方の”お飾りの妻”になって私に何の利益があります?」
「い、生贄だなんて……そんな言い方……」
「生贄でしょう? 仮に我が家が困窮していて資金援助の為に嫁ぐというのならまだ分かります。でも、そうではない。我が家と貴家が縁づいた所で特に利益は見当たりません。ならばそんな生贄のような扱いを受けると分かったうえで嫁ぐ意味など無いのですよ!」
自分に嫁ぐことを”生贄”になるのは御免だと怒るアリッサに侯爵はひどくショックを受けた。
だって下位貴族が侯爵夫人になれるのだ。それを喜ばず、まるで何かの罰のように言われるなんて思ってもみなかったから。
「それでもヘブンズ伯爵と同じように罪人云々おっしゃるおつもりならば、どうぞ”ヴィクトリア”を妻になさいませ。あれこそ”罪人”ですのでどうぞお飾りだろうと置物だろうとお好きに扱ってかまいませんわ」
「自分の父親にそこまで言うか……?」
「父親だろうと何だろうと、罪を犯した者が償うことが道理だと私は思います。いくら娘といえども何の罪も犯していない私がこの身を犠牲にしてまで償えというのなら、それは不条理でしょう?」
「だからって女装した中年男を嫁に迎えろというのは理不尽ではないのか!?」
「先に理不尽な要求を押し付けてきたのはあなた方ではありませんか? 理不尽な要求をしてきたヘブンズ伯爵もそうですが、それに従った貴方や国王陛下のことが私は許せません。相手が誰であろうとも、理不尽な要求をしてきた者には理不尽な対応でお返しいたします」
格上相手に不敬過ぎる発言。だがそれでもアリッサは堂々としていた。
その佇まいにまるで彼女が誰よりも格上の存在だと錯覚させられる。
「で、でもそれだと困るんだ……!」
「困る? 何がですか?」
「いくら好条件を並べられようとも男じゃ子は産めないだろう? 私は……やはり自分の血を引いた子がほしい……」
「は? だからそれはジェシカさんにお願いすればいいではありませんか。ちゃんと王命で”妻扱い”を許すと明記されたのですもの。跡継ぎを作っても多分許されますわよ」
妻扱いを許すとあるものの、跡継ぎを設けることが許されるかどうかは分からない。
でもそこは侯爵が押し通せば何とでもなるとアリッサは他人事だからその程度しか考えていなかった。
まあ、仮に許されなくとも自分には関係ない。
「……それは無理だ。だって、ジェシカとは……もう何年も子が出来ない」
「は……?」
「だから……君に僕の子を産んでもらいたいと……」
それを言われた瞬間、全身の血が沸騰しそうな心地に襲われた。
もちろん、羞恥などという可愛らしいものではない。怒りだ。アリッサの全身に怒りが巡り、気づけばテーブルに思い切り拳を叩きつけていた。
「ひっ!?」
ドン、という鈍い音が部屋中に響く。
侯爵の悲鳴とその音に扉の外で控えていたメイド達が慌てて部屋へと入ってきた。
「失礼します! 旦那様、今の音は…………ひいっ!?」
部屋の光景を目にしたメイド達は思わず悲鳴をあげてしまう。
そこには座したまま怒りに身を震わせるアリッサと、真っ青な顔で床に尻もちをつく侯爵の姿があった。
「戯れがすぎますわね……? その発言はジェシカさんと私、両方を傷つけ見下しているものだという自覚はお有りで?」
どこから出しているのかと問いたくなるほど低く圧の込められた声。
その声に部屋の中にいる者は皆驚きの余り震えることしか出来ない。
「御自分の子が欲しい、という気持ちはまあ分かります。では私やジェシカさんの気持ちは? 好きでもないうえに恋人のいる男の子を孕まされる私の気持ちと、愛した男が自分以外の女を孕ませるという鬼畜の所業を突きつけられるジェシカさんの気持ちは?」
「なっ……!? そこまで酷い言い方をしなくてもいいだろう!」
「お黙りさない! 今は貴方の気持ちなど聞いておりません! 私やジェシカさんの気持ちを考えなさいと申しているのです!」
ピシャリと叱りつけると侯爵は驚いて体をすくませた。
自分よりも遥かに年下の少女の叱責が、どうしてここまで恐ろしいのか理解できない。
「……そういうところですよ。私が怒る二つ目の理由は……」
はあ、と大きく息を吐いたアリッサは再び侯爵を睨みつける。
「結局貴方は私やジェシカさんが自分よりも身分が下だからといって、どう扱っても構わないと思っているのですよね? こちらがどう思うかなんて気にせず……自分勝手で傲慢な発言ばかり。貴方だけじゃない、ヘブンズ伯爵も、国王陛下でさえ身分が下の者を軽く見て理不尽な要求を押し付けて何とも思わない……。もう、うんざりです!」
再びアリッサが両手の拳をテーブルに叩きつけると衝撃で上に載っていた茶器や菓子皿が揺れて音を出す。その光景に一同はますます顔を青褪めさせた。
「……確かに私はあなた方より遥かに身分の低い下位貴族の娘です。でもね、それは父方の血筋の話です。いつまでも理不尽な対応に甘んじて従う側だと思わないことですね」
動きだけは優雅にスッと椅子から立ち上がり、アリッサは「お茶ご馳走様でした」とだけ告げてその場から立ち去った。残された侯爵は情けない恰好のまま「どうしてあんなに怒るんだ……」と呟くも、それに答えられる者はいない。
ただ、居合わせたメイド達は顔を見合わせながら心の中で主人が悪いと思うだけだった。
3,724
あなたにおすすめの小説
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる