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アリッサの祖父
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「お父様、ただいま戻りました。お加減はいかがです?」
「ああ、横になっていたら随分とよくなったよ。それよりアリッサ、随分と機嫌が悪そうだね……」
侯爵との茶会から戻った娘の機嫌が悪い事を声だけで悟った子爵。
あの見るからに傲慢な男との茶会なぞ楽しいものでないことは分かるが、つまらないだけでアリッサはここまで機嫌が悪くはならないはずだ。あの男、一体何を言ってくれたんだ……と侯爵を恨めしく思った。
「はい。分かってはおりましたが、侯爵様は随分と私を見下しておりますね。侯爵様だけではなく、ヘブンズ伯爵も、国王陛下でさえも……。身分制度はそういうものだと分かってはおりますが……やはり腹は立ちますね」
「アリッサ…………」
怒りの中に悲しさを滲ませた娘の表情に子爵は胸が痛んだ。
こうなった原因は全て自分にあり、その結果最愛の娘にこんな顔をさせてしまった。過去の愚行のせいで娘を巻き込んでしまったことが情けなくて仕方ない。
「アリッサ、すまない……。私のせいでお前にそんな顔を……」
「ええ、お父様のせいですね」
娘にハッキリとそう言われ子爵はへこんだ。まったくもってその通りでこちらが傷つく資格はないのだが、そう突きつけられると胸が痛い。
「ですが私は必要以上にお父様を責めるつもりはありません。そのような格好をさせたことでもう私の溜飲は下がっております」
あ、やっぱりそうだったんだ……。
子爵は娘に望まぬ女装姿を強要された時点で何となく気づいてはいた。
これは理不尽な要求を突き付けられ、しかもそれを受け入れろと言わんばかりの態度をとった駄目な父親への報復だったのだと。
「それに十分な時間稼ぎとなりました。後はもう、お祖父様にお任せします」
「は……? え? な、なんでここで義父上が出てくるんだ……!?」
子爵の両親は既に鬼籍に入っているので、アリッサの言う「お祖父様」とは必然的に母方の父、つまり子爵にとっての舅を指す。ちなみに子爵は舅が大の苦手で、その名が出てくるだけで狼狽えてしまう。
「私は最初からお祖父様のお力に頼る予定でした。こんな無茶苦茶な結婚を王命で下すような真似、フロンティア子爵家と私をあまりにも馬鹿にした行為です。いくら我が家が下位貴族といえどもここまで馬鹿にされるいわれはありません」
「それはそうだが……王命とはそういうもので……」
「いつの時代の“王命”ですか? 国王の心ひとつで好き勝手に命令を下せる時代はもう終わっているのですよ? こういった無茶な王命を好き勝手に出されないようにと議会が設立されましたのに……これでは機能していないも同然です。国の為となる政略結婚でしたらまだ受け入れられたのに、こんなヘブンズ伯爵の憂さ晴らしの為だけの結婚なぞ受け入れるわけがないでしょう? 王命だからと何も考えずに受け入れる時代はとっくに終わっているのですよ。いつからこの国は独裁政治体制に戻ったのですか?」
「う……その通りだな……」
長年貴族として染みついた習慣“国王の命令は絶対”を何も考えずに受け入れていた。それに意義があったとしても王の命令だからと受け入れることこそ貴族の義務だと。しかしそれはとうの昔に終わったものなのだと娘の言葉で気づいた。
「しかしながらただの子爵令嬢でしかない私では王家に抗う力はありません。なのでお祖父様にお力をお借りするのです。他力本願だろうと何だろうと、持てる全ての物を使って抗う所存です。国王陛下相手だろうと容赦するつもりはありません」
それは令嬢というより戦を控えた将軍のような台詞であった。
となると敵は国王か、随分と強大だな……と子爵は娘の勇ましさに唖然とした。
「だ、だが……しかし、義父上が出てくるとなると……最悪は国際問題に発展してしまうのでは……」
「可能性はありますね。でも、それを対処するのは王家と議会です。ご自分達で蒔いた種なのだから、ご自分達で何とかしてもらわねば」
「い、いや……お前、それはいくらなんでも……」
「この期に及んでグダグダとおっしゃらないでください。モタモタしていると選定期間が終わってしまい、私かお父様のどちらかがこの家に嫁ぐことになりますよ? こんな爆弾抱えた家と縁づくなど冗談ではありません。」
「う……確かに昨日お前が見た物が本当ならば、それは不味いな……」
最早『お父様が嫁ぐ』というとんでもない言葉などどうでもよくなるくらい子爵は動揺していた。それもそのはず、彼が寝込んでしまった原因がそのアリッサが見た物にあるのだから。
「でもな……義父上まで巻き込んでしまうのはどうなのか……」
「そんなことを言っている場合ですか? お父様はお祖父様にこの件を叱られることがお嫌なだけでしょう?」
「うっ…………それは……」
子爵は妻の父親を苦手としているし、アリッサもそれは分かっていた。
気が弱い父が豪気な気性の祖父に圧倒されている姿を何度も目にしている。
「お父様、私は“父親の罪を償う為好きでもない男の元へと泣く泣く嫁ぐ”悲劇のヒロインになるつもりなどございません。そして国にも当家にも利益の無い、ただヘブンズ伯爵の憂さ晴らしの為の結婚も御免です。そんな侮辱を受けるくらいなら潔くこの命を散らした方が余程マシですわ」
勇ましい娘の姿に子爵は二の句が継げなかった。
娘の言っていることは正しい。所詮、子爵家の身分でしかない自分達がどうこう言ったところで婚約は強行されるだろう。時間稼ぎと嫌がらせの為に女装させられた自分が投入されたところで、このままでは娘の婚約は免れない。いくら条件が良いからといって、あのプライドだけは高そうな侯爵が仮とはいえ中年男を妻に迎えるなんて絶対に有り得ないだろうと予想がつく。
それに頭も悪そうだからとりあえずアリッサを妻に迎え、愛人と別れないなんてことも有り得る。良いとこ取りをされるのは癪に障るし嫌だ。
「あれ……? お前は最初メリッサに調査を頼んでいると言ってなかったか? 最初から義父上に頼むのであれば意味がないんじゃないか?」
「いやですわ、お母様を通じてお祖父様に情報を提供しているに決まっているではありませんか? お母様だって最初からそのおつもりでしたわよ」
「メリッサまで……!? え、だったらどうして最初からそう言ってくれなかったんだ?」
「お父様はお祖父様の名を出しただけで狼狽えるではありませんか。鬱陶しいからギリギリまで黙っていようと思ったまでです」
実の娘から鬱陶しいと言われてしまった……。
しょげる子爵をよそにアリッサはそのまま話を続ける。
「お母様の報告によりますと、既にお祖父様はこちらに向かってくれているようです。私が得た情報を都度お祖父様に伝えてくださっているようですので、それを材料に直接国王陛下に直談判なさるとのこと」
「……え? 直接? 義父上が国王陛下に……?」
いつそんな連絡をとっていたの? という疑問すら吹っ飛ぶほどの衝撃発言だった。一国の王に直談判できる権限など普通はないのだが、あの舅の身分であればそれも可能だ。国王に謁見出来るほどの身分の者がいきなり訪問するのだから、王宮はかなり混乱することだろう。
「……義父上が王宮に……。うっ、考えただけで胃が痛い……」
「まあまあお父様ったら、相変わらず気が小さいわ。胃薬をお持ちしますのでまだ横になっていてください」
とんでもない事態を想像して具合が悪くなった父親を解放する娘。
一見すると微笑ましい光景だが、それを引き起こしたのはこの娘自身だ。そしてさりげなく父親に毒づくことも忘れない。
子爵にとってアリッサは目に入れても痛くないほど可愛い娘だが、どうしてこんな自分とは似ても似つかない覇王のような性格に育ってしまったのか……。
「ああ、そうか。私の可愛い娘はこれでもかってくらい、あの義父上に似てしまったんだな……」
薬を用意する為部屋を出ようとする娘の背中に向かって子爵はポツリと呟いた。
「ああ、横になっていたら随分とよくなったよ。それよりアリッサ、随分と機嫌が悪そうだね……」
侯爵との茶会から戻った娘の機嫌が悪い事を声だけで悟った子爵。
あの見るからに傲慢な男との茶会なぞ楽しいものでないことは分かるが、つまらないだけでアリッサはここまで機嫌が悪くはならないはずだ。あの男、一体何を言ってくれたんだ……と侯爵を恨めしく思った。
「はい。分かってはおりましたが、侯爵様は随分と私を見下しておりますね。侯爵様だけではなく、ヘブンズ伯爵も、国王陛下でさえも……。身分制度はそういうものだと分かってはおりますが……やはり腹は立ちますね」
「アリッサ…………」
怒りの中に悲しさを滲ませた娘の表情に子爵は胸が痛んだ。
こうなった原因は全て自分にあり、その結果最愛の娘にこんな顔をさせてしまった。過去の愚行のせいで娘を巻き込んでしまったことが情けなくて仕方ない。
「アリッサ、すまない……。私のせいでお前にそんな顔を……」
「ええ、お父様のせいですね」
娘にハッキリとそう言われ子爵はへこんだ。まったくもってその通りでこちらが傷つく資格はないのだが、そう突きつけられると胸が痛い。
「ですが私は必要以上にお父様を責めるつもりはありません。そのような格好をさせたことでもう私の溜飲は下がっております」
あ、やっぱりそうだったんだ……。
子爵は娘に望まぬ女装姿を強要された時点で何となく気づいてはいた。
これは理不尽な要求を突き付けられ、しかもそれを受け入れろと言わんばかりの態度をとった駄目な父親への報復だったのだと。
「それに十分な時間稼ぎとなりました。後はもう、お祖父様にお任せします」
「は……? え? な、なんでここで義父上が出てくるんだ……!?」
子爵の両親は既に鬼籍に入っているので、アリッサの言う「お祖父様」とは必然的に母方の父、つまり子爵にとっての舅を指す。ちなみに子爵は舅が大の苦手で、その名が出てくるだけで狼狽えてしまう。
「私は最初からお祖父様のお力に頼る予定でした。こんな無茶苦茶な結婚を王命で下すような真似、フロンティア子爵家と私をあまりにも馬鹿にした行為です。いくら我が家が下位貴族といえどもここまで馬鹿にされるいわれはありません」
「それはそうだが……王命とはそういうもので……」
「いつの時代の“王命”ですか? 国王の心ひとつで好き勝手に命令を下せる時代はもう終わっているのですよ? こういった無茶な王命を好き勝手に出されないようにと議会が設立されましたのに……これでは機能していないも同然です。国の為となる政略結婚でしたらまだ受け入れられたのに、こんなヘブンズ伯爵の憂さ晴らしの為だけの結婚なぞ受け入れるわけがないでしょう? 王命だからと何も考えずに受け入れる時代はとっくに終わっているのですよ。いつからこの国は独裁政治体制に戻ったのですか?」
「う……その通りだな……」
長年貴族として染みついた習慣“国王の命令は絶対”を何も考えずに受け入れていた。それに意義があったとしても王の命令だからと受け入れることこそ貴族の義務だと。しかしそれはとうの昔に終わったものなのだと娘の言葉で気づいた。
「しかしながらただの子爵令嬢でしかない私では王家に抗う力はありません。なのでお祖父様にお力をお借りするのです。他力本願だろうと何だろうと、持てる全ての物を使って抗う所存です。国王陛下相手だろうと容赦するつもりはありません」
それは令嬢というより戦を控えた将軍のような台詞であった。
となると敵は国王か、随分と強大だな……と子爵は娘の勇ましさに唖然とした。
「だ、だが……しかし、義父上が出てくるとなると……最悪は国際問題に発展してしまうのでは……」
「可能性はありますね。でも、それを対処するのは王家と議会です。ご自分達で蒔いた種なのだから、ご自分達で何とかしてもらわねば」
「い、いや……お前、それはいくらなんでも……」
「この期に及んでグダグダとおっしゃらないでください。モタモタしていると選定期間が終わってしまい、私かお父様のどちらかがこの家に嫁ぐことになりますよ? こんな爆弾抱えた家と縁づくなど冗談ではありません。」
「う……確かに昨日お前が見た物が本当ならば、それは不味いな……」
最早『お父様が嫁ぐ』というとんでもない言葉などどうでもよくなるくらい子爵は動揺していた。それもそのはず、彼が寝込んでしまった原因がそのアリッサが見た物にあるのだから。
「でもな……義父上まで巻き込んでしまうのはどうなのか……」
「そんなことを言っている場合ですか? お父様はお祖父様にこの件を叱られることがお嫌なだけでしょう?」
「うっ…………それは……」
子爵は妻の父親を苦手としているし、アリッサもそれは分かっていた。
気が弱い父が豪気な気性の祖父に圧倒されている姿を何度も目にしている。
「お父様、私は“父親の罪を償う為好きでもない男の元へと泣く泣く嫁ぐ”悲劇のヒロインになるつもりなどございません。そして国にも当家にも利益の無い、ただヘブンズ伯爵の憂さ晴らしの為の結婚も御免です。そんな侮辱を受けるくらいなら潔くこの命を散らした方が余程マシですわ」
勇ましい娘の姿に子爵は二の句が継げなかった。
娘の言っていることは正しい。所詮、子爵家の身分でしかない自分達がどうこう言ったところで婚約は強行されるだろう。時間稼ぎと嫌がらせの為に女装させられた自分が投入されたところで、このままでは娘の婚約は免れない。いくら条件が良いからといって、あのプライドだけは高そうな侯爵が仮とはいえ中年男を妻に迎えるなんて絶対に有り得ないだろうと予想がつく。
それに頭も悪そうだからとりあえずアリッサを妻に迎え、愛人と別れないなんてことも有り得る。良いとこ取りをされるのは癪に障るし嫌だ。
「あれ……? お前は最初メリッサに調査を頼んでいると言ってなかったか? 最初から義父上に頼むのであれば意味がないんじゃないか?」
「いやですわ、お母様を通じてお祖父様に情報を提供しているに決まっているではありませんか? お母様だって最初からそのおつもりでしたわよ」
「メリッサまで……!? え、だったらどうして最初からそう言ってくれなかったんだ?」
「お父様はお祖父様の名を出しただけで狼狽えるではありませんか。鬱陶しいからギリギリまで黙っていようと思ったまでです」
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しょげる子爵をよそにアリッサはそのまま話を続ける。
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「……え? 直接? 義父上が国王陛下に……?」
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「……義父上が王宮に……。うっ、考えただけで胃が痛い……」
「まあまあお父様ったら、相変わらず気が小さいわ。胃薬をお持ちしますのでまだ横になっていてください」
とんでもない事態を想像して具合が悪くなった父親を解放する娘。
一見すると微笑ましい光景だが、それを引き起こしたのはこの娘自身だ。そしてさりげなく父親に毒づくことも忘れない。
子爵にとってアリッサは目に入れても痛くないほど可愛い娘だが、どうしてこんな自分とは似ても似つかない覇王のような性格に育ってしまったのか……。
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