26 / 77
ヘブンズ伯爵と資産家の老人
しおりを挟む
バーティ侯爵邸にてフロンティア子爵親子が不穏な会話を繰り広げている頃、一人の老人が王都へ続く道を馬車で進んでいた。
老人は神経質そうな顔を顰め、苛々した様子を隠そうともせず睨むように窓の外を眺めている。
「あの小僧……良くしてやった恩も忘れてふざけた真似を……。散々金を出させておいて、この扱いかっ! あの恩知らずめ、絶対に許さん……」
馬車に乗った当初からずっと呪詛の言葉を吐き続ける老人。
彼はヘブンズ領を治める当主、ヘブンズ伯爵その人だ。伯爵は親戚であるバーティ侯爵より例のおふざけが過ぎる王命を聞かされたからずっとこんな調子だった。
最愛の娘サラを不幸な目に遭わせた憎き仇、ヴィンセント・フロンティア子爵に自分と同じ苦痛を味合わせる目的で奴の娘をろくでもない男へと嫁がせようと画策したのだ。平民の愛人にかまけてばかりで貴族としての責務も果たさず仕事もろくにこなさない、どうしようもない男(バーティ侯爵)のもとに。
ろくでもない男、バーティ侯爵はお頭も弱いのか「恋人との真実の愛を成就させるため、お飾りの妻を娶ってはどうか」という薄ら寒い言葉に二つ返事で引き受けた。いい年をして分別のつかない子供のような頭に正直引いたものの、すぐに承諾してくれたことは有難かった。国王にもいい年をした貴族家当主がいつまで経っても独身なのはどうなのか、とまるでそれが正しい事のように説き伏せれば渋られながらバーティ侯爵とフロンティア子爵の娘を婚約させるという王命を下してくれた。
それを聞いた時は嬉しくて嬉しくて、やっと念願が叶ったと祝杯をあげたほどだ。
これで憎きあいつを、自分と同じ目に遭わせてやれるとほくそ笑んだ。
だというのに、蓋を開けてみれば何故か憎きあいつ本人までもが“婚約者候補”としてバーティ侯爵家にやって来たという謎の展開。しかもご丁寧に女装までして。老いた頭ではそれを理解するのに時間がかかった……というか理解したくなかった。脳が理解を拒んだのだ。
何がどうしてそうなった? しかも王命にまでその旨が記載されているという謎の展開に発狂しそうになった。いや実際しかけたわけだが……。
「とにかく早く王に会って、この件について問いたださなければ……。くっ、まだ王宮に着かないのか……」
すぐにでも国王に詰め寄りたいヘブンズ伯爵は長い移動時間に苛々していた。
邸から王宮までそれほど遠いとは言えないが、やはり馬車で数時間はかかる。その時間が伯爵の苛つきを加速させていた。
そうしていると急に馬車がガタン、と大きな音を立てて揺れ、大きな馬の嘶きが響いた。
「なっ、なんだ!? おい、何があった!」
ヘブンズ伯爵が窓を開けて御者に問いかけると、慌てた声で「すみません!」という謝罪が返ってくる。
「申し訳ございません! 車輪に石が嵌まってしまったようです!」
「なに!? すぐに修理しろ!」
どうやら車輪に医師が嵌まって一時動けなくなったようだ。
すぐにでも御者が修理を始めたが、急いでいるのに待たされたヘブンズ伯爵の苛々は頂点に達してしまった。
「おい、儂は急いでいるんだぞ!? さっさと直してすぐにでも出発しろ!」
「ひっ! す、すみません……! ですが、これは直すのに時間がかかるかと……」
「はあ!? おい、ふざけるなよ! 儂はすぐにでも王宮に向かわなくてはならんのだぞ! すぐに何とかしろ!」
「ヒイイイ……そ、そんなことを言われましても……」
いくら怒鳴ったところで馬車が早く直るわけではない。
怒鳴られようが殴られようが物を修理するのに時間を要するのは当然だ。だが、怒りが頭を支配している伯爵にはそれが分からない。
「もし、どうされましたか?」
伯爵が道中で御者に怒鳴りつけていると、ふとそんな声が聞こえてきた。
驚いて振り向くとそこには大きく立派な馬車が停まっていた。
「あ、いや……その……」
その馬車は二頭立ての豪華なもので、伯爵が乗ってきたものより遥かに高価だと一目で分かる。きっと中に乗っている人間はさぞかし高貴な身分なのだろうと察し、そんな人物に怒鳴っていたところを見られたという羞恥で自然と声が小さくなる。
「お見苦しいところを見せてしまいました。実は乗っていた馬車が故障しまいまして……」
先程とはうって変わって恥ずかしそうに声の主へと説明する伯爵。
流石に他人、しかも高貴な身分であろう相手に怒鳴りつけるという不作法な真似は外面の良い彼には出来なかった。
「ほう、それはお困りですね? 失礼ながら先ほど『王宮へ行く』とおっしゃっていたのを耳にしましたが……もしよければ乗せていって差し上げましょうか?」
「えっ……? い、いえ、そのようなご迷惑をおかけするわけには……」
「いえいえ、我等も丁度王宮へと向かう最中ですので。ついでに貴方を乗せるくらい、ちっとも迷惑ではございません。どうやらお急ぎのご様子ですし、よろしければどうぞ乗っていってくだされ」
いきなり「乗せていく」と言われ、驚きの余り伯爵は唖然としてしまった。
確かに急いではいるものの、見知らぬ者の馬車に同乗することは抵抗がある。
「いえ、見ず知らずの方にご迷惑はかけられません。どうぞお気になさらず先へお進みください」
「遠慮なさいますな。なに、ここで会ったのも何かのご縁でしょう。気にせずお乗りくだされ」
遠慮がちに伯爵がそう告げるも馬車の人物は意に介さない。
それにしてもやけに迫力があって通る声だ。この声を聞いていると不思議と了承以外を返すのは不敬なのではないかと錯覚してしまう。それほど威厳に満ちたものだった。
中に乗っているのはさぞかし名の知れた人物に違いない。
いったいどんな大物が……と好奇心が湧いたその時だった。
「どうぞ、主がお待ちですのでお乗りください」
「ひっ……!?」
いつの間にか背後に執事服を身に纏った青年が立っていた。
足音ひとつしなかったので、驚いて子爵は思わず悲鳴をあげてしまう。
「これこれドミニク、驚かしてはいかんぞ」
「これは失礼いたしました。ささ、どうぞお乗りください」
馬車の中にいる人物が青年に注意すると、彼は軽く謝罪をしつつ伯爵の手をとる。
やや強引に手を引かれた伯爵は、あれよという間に馬車へと乗せられてしまった。
「狭い馬車で申し訳ないですな」
「あ、いえ……とんでもない……」
中にいたのは伯爵と同年代の男だった。背が高く筋骨隆々とした体格はまるで歴戦の猛将を思わせるほど勇ましい。赤みがかった髪を短く切りそろえ、老いてなお分かる整った顔つき。見ていて圧倒される迫力を持つ老人だった。
老人は車内を“狭い”と言ったが伯爵が乗っていた馬車と比べ物にならないほど広かった。しかも内装も凝っている。長く生きているがこんな豪奢な馬車はお目にかかったことがない。今は亡き先王の馬車に乗せてもらったことがあるがここまで豪華な造りではなかった。
これほどの馬車を所持しているなんて、いったいどこの資産家だろう……。
所作などから貴族であることは分かるのだが、国内にここまでの財力を有した家はあっただろうか?
「よろしければお飲み物をどうぞ。ワインは嗜まれますか?」
「あ、ああ……ありがとうございます」
先程の執事服を着た青年が透明なグラスに赤紫色の液体を注ぎ伯爵へと渡す。
その流麗な仕草に見惚れ、ふと青年の顔を見るとどことなく老人と似ているように思えた。
「……美味いですね」
「口に合って何よりです。これは我が商会でも人気の品でして……」
商会? ということはこの老人は何処かの商会の主なのか?
しかし国内にここまで財を有した商会などあっただろうか……。
そう疑問を感じた伯爵がワイン瓶に目を遣ると、そこには信じられない物が描かれていた。
「え? は? そ、そのワインは……まさか……」
実はワインに詳しい伯爵は瓶のラベルを見ただけでそれがどこで造られたものかが分かる。青年が持つワインはある特定の商会のみが取り扱っている品だ。そしてその商会の主というのはとんでもない肩書と血筋を持つ人物で……
「もしや、貴方……いえ、貴方様は……まさか……」
どうしてこの国に、と絞り出すような声で問いかける伯爵に老人はニッと笑った。
「はは、なに、我が愛しの孫娘がこの国の王から酷い目に遭わされていると聞いて飛んで参ったわけですよ……」
老人の正体に気づいた伯爵は驚愕の余り声が出せなかった。
本来であればこんな軽々しく言葉を交わせるような相手ではない。
大物中の大物である老人に畏怖の念を抱くあまり伯爵は今飲んでいる高価なワインの味すら分からなかった……。
老人は神経質そうな顔を顰め、苛々した様子を隠そうともせず睨むように窓の外を眺めている。
「あの小僧……良くしてやった恩も忘れてふざけた真似を……。散々金を出させておいて、この扱いかっ! あの恩知らずめ、絶対に許さん……」
馬車に乗った当初からずっと呪詛の言葉を吐き続ける老人。
彼はヘブンズ領を治める当主、ヘブンズ伯爵その人だ。伯爵は親戚であるバーティ侯爵より例のおふざけが過ぎる王命を聞かされたからずっとこんな調子だった。
最愛の娘サラを不幸な目に遭わせた憎き仇、ヴィンセント・フロンティア子爵に自分と同じ苦痛を味合わせる目的で奴の娘をろくでもない男へと嫁がせようと画策したのだ。平民の愛人にかまけてばかりで貴族としての責務も果たさず仕事もろくにこなさない、どうしようもない男(バーティ侯爵)のもとに。
ろくでもない男、バーティ侯爵はお頭も弱いのか「恋人との真実の愛を成就させるため、お飾りの妻を娶ってはどうか」という薄ら寒い言葉に二つ返事で引き受けた。いい年をして分別のつかない子供のような頭に正直引いたものの、すぐに承諾してくれたことは有難かった。国王にもいい年をした貴族家当主がいつまで経っても独身なのはどうなのか、とまるでそれが正しい事のように説き伏せれば渋られながらバーティ侯爵とフロンティア子爵の娘を婚約させるという王命を下してくれた。
それを聞いた時は嬉しくて嬉しくて、やっと念願が叶ったと祝杯をあげたほどだ。
これで憎きあいつを、自分と同じ目に遭わせてやれるとほくそ笑んだ。
だというのに、蓋を開けてみれば何故か憎きあいつ本人までもが“婚約者候補”としてバーティ侯爵家にやって来たという謎の展開。しかもご丁寧に女装までして。老いた頭ではそれを理解するのに時間がかかった……というか理解したくなかった。脳が理解を拒んだのだ。
何がどうしてそうなった? しかも王命にまでその旨が記載されているという謎の展開に発狂しそうになった。いや実際しかけたわけだが……。
「とにかく早く王に会って、この件について問いたださなければ……。くっ、まだ王宮に着かないのか……」
すぐにでも国王に詰め寄りたいヘブンズ伯爵は長い移動時間に苛々していた。
邸から王宮までそれほど遠いとは言えないが、やはり馬車で数時間はかかる。その時間が伯爵の苛つきを加速させていた。
そうしていると急に馬車がガタン、と大きな音を立てて揺れ、大きな馬の嘶きが響いた。
「なっ、なんだ!? おい、何があった!」
ヘブンズ伯爵が窓を開けて御者に問いかけると、慌てた声で「すみません!」という謝罪が返ってくる。
「申し訳ございません! 車輪に石が嵌まってしまったようです!」
「なに!? すぐに修理しろ!」
どうやら車輪に医師が嵌まって一時動けなくなったようだ。
すぐにでも御者が修理を始めたが、急いでいるのに待たされたヘブンズ伯爵の苛々は頂点に達してしまった。
「おい、儂は急いでいるんだぞ!? さっさと直してすぐにでも出発しろ!」
「ひっ! す、すみません……! ですが、これは直すのに時間がかかるかと……」
「はあ!? おい、ふざけるなよ! 儂はすぐにでも王宮に向かわなくてはならんのだぞ! すぐに何とかしろ!」
「ヒイイイ……そ、そんなことを言われましても……」
いくら怒鳴ったところで馬車が早く直るわけではない。
怒鳴られようが殴られようが物を修理するのに時間を要するのは当然だ。だが、怒りが頭を支配している伯爵にはそれが分からない。
「もし、どうされましたか?」
伯爵が道中で御者に怒鳴りつけていると、ふとそんな声が聞こえてきた。
驚いて振り向くとそこには大きく立派な馬車が停まっていた。
「あ、いや……その……」
その馬車は二頭立ての豪華なもので、伯爵が乗ってきたものより遥かに高価だと一目で分かる。きっと中に乗っている人間はさぞかし高貴な身分なのだろうと察し、そんな人物に怒鳴っていたところを見られたという羞恥で自然と声が小さくなる。
「お見苦しいところを見せてしまいました。実は乗っていた馬車が故障しまいまして……」
先程とはうって変わって恥ずかしそうに声の主へと説明する伯爵。
流石に他人、しかも高貴な身分であろう相手に怒鳴りつけるという不作法な真似は外面の良い彼には出来なかった。
「ほう、それはお困りですね? 失礼ながら先ほど『王宮へ行く』とおっしゃっていたのを耳にしましたが……もしよければ乗せていって差し上げましょうか?」
「えっ……? い、いえ、そのようなご迷惑をおかけするわけには……」
「いえいえ、我等も丁度王宮へと向かう最中ですので。ついでに貴方を乗せるくらい、ちっとも迷惑ではございません。どうやらお急ぎのご様子ですし、よろしければどうぞ乗っていってくだされ」
いきなり「乗せていく」と言われ、驚きの余り伯爵は唖然としてしまった。
確かに急いではいるものの、見知らぬ者の馬車に同乗することは抵抗がある。
「いえ、見ず知らずの方にご迷惑はかけられません。どうぞお気になさらず先へお進みください」
「遠慮なさいますな。なに、ここで会ったのも何かのご縁でしょう。気にせずお乗りくだされ」
遠慮がちに伯爵がそう告げるも馬車の人物は意に介さない。
それにしてもやけに迫力があって通る声だ。この声を聞いていると不思議と了承以外を返すのは不敬なのではないかと錯覚してしまう。それほど威厳に満ちたものだった。
中に乗っているのはさぞかし名の知れた人物に違いない。
いったいどんな大物が……と好奇心が湧いたその時だった。
「どうぞ、主がお待ちですのでお乗りください」
「ひっ……!?」
いつの間にか背後に執事服を身に纏った青年が立っていた。
足音ひとつしなかったので、驚いて子爵は思わず悲鳴をあげてしまう。
「これこれドミニク、驚かしてはいかんぞ」
「これは失礼いたしました。ささ、どうぞお乗りください」
馬車の中にいる人物が青年に注意すると、彼は軽く謝罪をしつつ伯爵の手をとる。
やや強引に手を引かれた伯爵は、あれよという間に馬車へと乗せられてしまった。
「狭い馬車で申し訳ないですな」
「あ、いえ……とんでもない……」
中にいたのは伯爵と同年代の男だった。背が高く筋骨隆々とした体格はまるで歴戦の猛将を思わせるほど勇ましい。赤みがかった髪を短く切りそろえ、老いてなお分かる整った顔つき。見ていて圧倒される迫力を持つ老人だった。
老人は車内を“狭い”と言ったが伯爵が乗っていた馬車と比べ物にならないほど広かった。しかも内装も凝っている。長く生きているがこんな豪奢な馬車はお目にかかったことがない。今は亡き先王の馬車に乗せてもらったことがあるがここまで豪華な造りではなかった。
これほどの馬車を所持しているなんて、いったいどこの資産家だろう……。
所作などから貴族であることは分かるのだが、国内にここまでの財力を有した家はあっただろうか?
「よろしければお飲み物をどうぞ。ワインは嗜まれますか?」
「あ、ああ……ありがとうございます」
先程の執事服を着た青年が透明なグラスに赤紫色の液体を注ぎ伯爵へと渡す。
その流麗な仕草に見惚れ、ふと青年の顔を見るとどことなく老人と似ているように思えた。
「……美味いですね」
「口に合って何よりです。これは我が商会でも人気の品でして……」
商会? ということはこの老人は何処かの商会の主なのか?
しかし国内にここまで財を有した商会などあっただろうか……。
そう疑問を感じた伯爵がワイン瓶に目を遣ると、そこには信じられない物が描かれていた。
「え? は? そ、そのワインは……まさか……」
実はワインに詳しい伯爵は瓶のラベルを見ただけでそれがどこで造られたものかが分かる。青年が持つワインはある特定の商会のみが取り扱っている品だ。そしてその商会の主というのはとんでもない肩書と血筋を持つ人物で……
「もしや、貴方……いえ、貴方様は……まさか……」
どうしてこの国に、と絞り出すような声で問いかける伯爵に老人はニッと笑った。
「はは、なに、我が愛しの孫娘がこの国の王から酷い目に遭わされていると聞いて飛んで参ったわけですよ……」
老人の正体に気づいた伯爵は驚愕の余り声が出せなかった。
本来であればこんな軽々しく言葉を交わせるような相手ではない。
大物中の大物である老人に畏怖の念を抱くあまり伯爵は今飲んでいる高価なワインの味すら分からなかった……。
3,610
あなたにおすすめの小説
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他
猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。
大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる