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出発
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「侍女を数人と……護衛はなるべく多人数を連れていかなくちゃね」
来るべきオーガスタ家への訪問に備えてジュリアーナは万全の準備を整えようとしていた。前回と同じ轍は踏まない、と己の身を防衛するために過剰なまで護衛を連れていこうと考えている。
ダニエルのあの焦りようからして自分のテリトリーに獲物がかかればすぐにでも捕まえようとするはずだ。前回と同じように兵士に命じてジュリアーナを別邸に押し込めようとするだろう。だが、あの男の思い通りになどしてやるものか。
もし、ダニエルが怪しい動きを見せようものならすぐに糾弾してやるつもりだ。
沢山の王宮騎士や侍女の前で王女を監禁するなどという馬鹿な真似をするとは思えないが、あの男の馬鹿さ加減はこちらの予想を遥かに上回る。なにせ一国の王女を監禁して殺害までしようとした蛮族も驚きの危険思考の持ち主だ。一切の油断は禁物であることが分かる。
時戻り前はその危険思考に気づけず自ら進んで罠にかかってしまった。
そのことを十分に反省し恥じているからこそもう二度と油断はしない。
結局小隊並みの数の王宮騎士を引き連れてオーガスタ家へと向かうことに決めた。
これほどの人数であれば彼の家の兵士が襲い掛かってきたとしても十分太刀打ちできるはずだ。
しかし、もしダニエルが率いている騎士団が集団でかかってきた場合はこの人数では敵いそうもない。だがそれに対抗する人数ともなれば、もう戦争を仕掛けに行くといって過言は無いほどの大人数になってしまう。流石にその人数を連れて行くのは無理だ。
それに金で雇われた兵士と違って国王に忠誠を誓った騎士が王女相手に剣を向けるとは考えにくい。ダニエルの心底くだらない目的の為に国と王家を守ると誓いを立てた騎士が王女を襲うなどとは考えたくもない。万が一それが実現した場合はもう、オーガスタ家に連なる者全員を断頭台送りにしなくてはならないだろう。もはや歴史に残るほどの大事件になってしまう。
流石にそれは国の根幹が揺るぎかねない大事件なので頼むからやらないでほしい。
兵士が襲い掛かってくるぶんにはまあ……当人とダニエルを処罰すればいいので構わないが。
オーガスタ家へと向かう準備が整い、案内役であるダニエルと合流すると彼は王宮騎士の多さに分かり易く驚いていた。
「ご、ご機嫌麗しゅうございます殿下……。あの、随分と大人数なのですね……」
「ご機嫌よう、オーガスタ卿。王族の護衛はこれくらい普通ですよ」
平然と言ってのけるとダニエルは「こんなに連れていかなくとも私がお守りいたしますのに……」と不満を零した。これだけ聞くと愛する婚約者を自分が守りたかった、という甘い言葉のように思える。だが、その真相はただジュリアーナを監禁するのに邪魔だという自分勝手な欲の籠った言葉だ。聞いているだけで腹立たしい。
「うふふ、お気持ちだけ有難く受け取っておきます」
これ以上この件について問答する気はない、とあっさり流してジュリアーナは目的地に向かうべく馬車へと乗った。当然、自分が所有する王家の紋章入りの馬車に。
ダニエルが乗って来たオーガスタ家の馬車には乗らない。
だって「乗って下さい」とも言われていないのだから、勝手に乗り込むことは出来ないし、催促するのは淑女に相応しくない言動だ。だから自分の所有する馬車に乗りこむ。
ジュリアーナが馬車に乗る際、背後の方でダニエルが側近に「どうしてこちらの馬車に誘わないんですか!」と叱られている声が聞こえ密かにほくそ笑んだ。全くもって気が利かない。
(それだけわたくしのことを軽く見ているということね……。主君の娘に対して不遜だこと)
騎乗した騎士を引き連れた華々しい集団の後ろをオーガスタ家の馬車が寂しそうについていく。護衛すらいない背後の馬車をジュリアーナは呆れた顔で一瞥した。
来るべきオーガスタ家への訪問に備えてジュリアーナは万全の準備を整えようとしていた。前回と同じ轍は踏まない、と己の身を防衛するために過剰なまで護衛を連れていこうと考えている。
ダニエルのあの焦りようからして自分のテリトリーに獲物がかかればすぐにでも捕まえようとするはずだ。前回と同じように兵士に命じてジュリアーナを別邸に押し込めようとするだろう。だが、あの男の思い通りになどしてやるものか。
もし、ダニエルが怪しい動きを見せようものならすぐに糾弾してやるつもりだ。
沢山の王宮騎士や侍女の前で王女を監禁するなどという馬鹿な真似をするとは思えないが、あの男の馬鹿さ加減はこちらの予想を遥かに上回る。なにせ一国の王女を監禁して殺害までしようとした蛮族も驚きの危険思考の持ち主だ。一切の油断は禁物であることが分かる。
時戻り前はその危険思考に気づけず自ら進んで罠にかかってしまった。
そのことを十分に反省し恥じているからこそもう二度と油断はしない。
結局小隊並みの数の王宮騎士を引き連れてオーガスタ家へと向かうことに決めた。
これほどの人数であれば彼の家の兵士が襲い掛かってきたとしても十分太刀打ちできるはずだ。
しかし、もしダニエルが率いている騎士団が集団でかかってきた場合はこの人数では敵いそうもない。だがそれに対抗する人数ともなれば、もう戦争を仕掛けに行くといって過言は無いほどの大人数になってしまう。流石にその人数を連れて行くのは無理だ。
それに金で雇われた兵士と違って国王に忠誠を誓った騎士が王女相手に剣を向けるとは考えにくい。ダニエルの心底くだらない目的の為に国と王家を守ると誓いを立てた騎士が王女を襲うなどとは考えたくもない。万が一それが実現した場合はもう、オーガスタ家に連なる者全員を断頭台送りにしなくてはならないだろう。もはや歴史に残るほどの大事件になってしまう。
流石にそれは国の根幹が揺るぎかねない大事件なので頼むからやらないでほしい。
兵士が襲い掛かってくるぶんにはまあ……当人とダニエルを処罰すればいいので構わないが。
オーガスタ家へと向かう準備が整い、案内役であるダニエルと合流すると彼は王宮騎士の多さに分かり易く驚いていた。
「ご、ご機嫌麗しゅうございます殿下……。あの、随分と大人数なのですね……」
「ご機嫌よう、オーガスタ卿。王族の護衛はこれくらい普通ですよ」
平然と言ってのけるとダニエルは「こんなに連れていかなくとも私がお守りいたしますのに……」と不満を零した。これだけ聞くと愛する婚約者を自分が守りたかった、という甘い言葉のように思える。だが、その真相はただジュリアーナを監禁するのに邪魔だという自分勝手な欲の籠った言葉だ。聞いているだけで腹立たしい。
「うふふ、お気持ちだけ有難く受け取っておきます」
これ以上この件について問答する気はない、とあっさり流してジュリアーナは目的地に向かうべく馬車へと乗った。当然、自分が所有する王家の紋章入りの馬車に。
ダニエルが乗って来たオーガスタ家の馬車には乗らない。
だって「乗って下さい」とも言われていないのだから、勝手に乗り込むことは出来ないし、催促するのは淑女に相応しくない言動だ。だから自分の所有する馬車に乗りこむ。
ジュリアーナが馬車に乗る際、背後の方でダニエルが側近に「どうしてこちらの馬車に誘わないんですか!」と叱られている声が聞こえ密かにほくそ笑んだ。全くもって気が利かない。
(それだけわたくしのことを軽く見ているということね……。主君の娘に対して不遜だこと)
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