侯爵令嬢アリスティアの愛する人

わらびもち

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番外編

アリスティアがいい!

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 結婚式の後のことはあまり覚えていない。

 アリスティアを抱けないことがショックでしばらくは茫然自失となっていたようだ。
 
 それに気づけばジェシーが別邸からいなくなっていた。
 
 どこへ行ったんだ?

「あの平民女性ならば旦那様の命により市井に放り出しました。坊ちゃまがもういらないと仰ってた、と聞きましたので」

 父上が? そうか……まあ、いいや。あんな貧相で癇癪持ちの女はもういらない。
 
 それよりアリスティア……アリスティアに会いたい……。

「アリスティア様に会うことは不可能でございます。諦めて新しい恋人でも作られたらよろしいかと。アリスティア様ほどの美貌を持つ女性はいないと思いますが、そこそこ似た女性ならいるのでは?」

 アリスティアに似た女…………?
 
 いるのか、そんなの……?


 それから僕は街や巡りアリスティアに似た女を探した。
 
 アリスティアのように豊かな肢体で、アリスティアのように美しい女。
 
 でも中々見つからない……。

「坊ちゃまの求める条件を満たす女性は平民には中々存在しませんよ。だってそんな女性がいたらとっくに誰かに囲われてるか娶られているかに決まっているじゃないですか?」

 別邸に配属されている侍従が苦笑いでそう告げた。

「なら、どうすればいい!? アリスティアには会えないのに、代わりも見つからないならどうしろと言うんだ!!」

 僕だって本当はアリスティアがいい!
 
 だけど父上が駄目だというから我慢してやってるんだぞ!?

「それでしたら娼婦はいかがです? 高級娼婦を囲う金はありませんが、中流くらいならば可能かと……」

「娼婦だって!? 他の男の手垢がついた女なんて冗談じゃない!」

「はあ、清い女性がよいと? それは何とも難しいですね……旦那様に相談して参ります」

 そう言って侍従は本邸の方へ行ってしまった。
 
 僕は許可なくそちらへ行くこともできないのに、なんでこいつは簡単に……!
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