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好きにすれば?
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「そ、そんな……私はただ、ミアを正妃に……。ただ、二人で共にこの国を守っていきたかっただけなのに……。そんなささやかな願いすら叶わぬというのか……?」
「いや、なに悲劇の主人公ぶってんのよ? だいたいそれのどこがささやかな願いよ? ちっともささやかじゃないわよ! だいたいあんたは自分の願いを叶えるなら公衆の面前で私を辱めてもかまわないんでしょう? すっごい下衆ね、最悪! それに正妃を決めるのはあんたじゃなくて陛下でしょうが! それを無視して勝手に私以外の女性を正妃に据えるのは立派な越権行為じゃない? どこら辺がささやかなのよ!? ささやかどころか大分大層な願い事だと思うんだけど!?」
「う、うう……クローディア……! 頼む、もう一度婚約を結んでくれ……! 私が嫌いなら白い結婚でも構わないから……! 決して君には触れないと誓うから……!」
「お断りよ!! さっきからあんたと婚約するのも結婚するのも嫌だって言ってんでしょうーが! ほんっっっっっとに人の話を全っ然聞かないわよね!? それにあんたと結婚しても私に少しもメリットないじゃない! むしろ刑罰よそんなもん!! あんたの妻という不名誉な称号をもらうのは御免なのよ!!!」
自分の妻になるのは不名誉だとはっきり言われ、さすがの勘違い王子ギルベルトもクローディアと再度婚約を結ぶのは無理だとようやく思い知った。
「な、なら……クローディア以外の高位貴族の令嬢を正妃に迎えればいいんじゃないのか? 侯爵家以上なら後ろ盾として申し分ないだろう? 自分の家から王妃を出すことは、貴族にとって名誉なことなのだし……」
「あー、うん。 好きにしたらいいんじゃない? まあ応援はしないけど頑張って。ところで阿呆の相手して疲れたから私はもう帰るわね? 正式な婚約破棄の書類はこっちで用意しておくわ。どうせあんた用意してないでしょうし。あ、そうそう、今日はまだ許すけど、明日からは私の名前を軽々しく呼ばないでね、むしろ視界にすら入らないでね?」
辛辣な言葉を吐き、クローディアはその場を後にした。
彼は勝手な妄想を話していたが、こんなことをやらかしたギルベルトの元へ娘を嫁がせたいなんていう奇特な家はないだろう。それに、彼の廃嫡は確実なので高位貴族の令嬢を娶ることなどできるはずがない。廃嫡王子の元へ娘を嫁がせるなぞ何の得もないのだし。
(わざわざ私が言わなくても陛下が説明するでしょう。もうあの男とは他人なんだしこれ以上話したくないわ。あー……それにしても婚約破棄最高! 帰ったら祝杯をあげなくっちゃ!!)
大嫌いな男との婚約が、あちら有責で破棄出来たことに喜びを隠せないクローディアは浮かれ気分で家路に着いた。
(そういえば、帰り際にミアという名の令嬢が真っ青な顔をしていたけど、大丈夫なのかしら? そもそも彼女はどこの令嬢なの……? ま、いっか。 そのうち分かるでしょう)
おそらくミアはギルベルトから逃げ出したくなるだろうが、あそこまでやらかしておいてそれが許されるはずもない。彼女が貴族令嬢であるなら、多分王命で無理やりにでも結婚させられてしまうだろう。
(そういえばミアさんは何がしたかったのかしらね? 私を蹴落として王妃になりたかったとか? 別に好きにすればいいけど)
彼女には何やら冤罪をかけられそうにはなったものの、この最悪な婚約を破棄出来たきっかけになってくれたから別に恨んではいない。だが「クローディアがギルベルトを好き」だなんて気持ち悪い妄言を吐いたことは許せない、それだけだった。
「いや、なに悲劇の主人公ぶってんのよ? だいたいそれのどこがささやかな願いよ? ちっともささやかじゃないわよ! だいたいあんたは自分の願いを叶えるなら公衆の面前で私を辱めてもかまわないんでしょう? すっごい下衆ね、最悪! それに正妃を決めるのはあんたじゃなくて陛下でしょうが! それを無視して勝手に私以外の女性を正妃に据えるのは立派な越権行為じゃない? どこら辺がささやかなのよ!? ささやかどころか大分大層な願い事だと思うんだけど!?」
「う、うう……クローディア……! 頼む、もう一度婚約を結んでくれ……! 私が嫌いなら白い結婚でも構わないから……! 決して君には触れないと誓うから……!」
「お断りよ!! さっきからあんたと婚約するのも結婚するのも嫌だって言ってんでしょうーが! ほんっっっっっとに人の話を全っ然聞かないわよね!? それにあんたと結婚しても私に少しもメリットないじゃない! むしろ刑罰よそんなもん!! あんたの妻という不名誉な称号をもらうのは御免なのよ!!!」
自分の妻になるのは不名誉だとはっきり言われ、さすがの勘違い王子ギルベルトもクローディアと再度婚約を結ぶのは無理だとようやく思い知った。
「な、なら……クローディア以外の高位貴族の令嬢を正妃に迎えればいいんじゃないのか? 侯爵家以上なら後ろ盾として申し分ないだろう? 自分の家から王妃を出すことは、貴族にとって名誉なことなのだし……」
「あー、うん。 好きにしたらいいんじゃない? まあ応援はしないけど頑張って。ところで阿呆の相手して疲れたから私はもう帰るわね? 正式な婚約破棄の書類はこっちで用意しておくわ。どうせあんた用意してないでしょうし。あ、そうそう、今日はまだ許すけど、明日からは私の名前を軽々しく呼ばないでね、むしろ視界にすら入らないでね?」
辛辣な言葉を吐き、クローディアはその場を後にした。
彼は勝手な妄想を話していたが、こんなことをやらかしたギルベルトの元へ娘を嫁がせたいなんていう奇特な家はないだろう。それに、彼の廃嫡は確実なので高位貴族の令嬢を娶ることなどできるはずがない。廃嫡王子の元へ娘を嫁がせるなぞ何の得もないのだし。
(わざわざ私が言わなくても陛下が説明するでしょう。もうあの男とは他人なんだしこれ以上話したくないわ。あー……それにしても婚約破棄最高! 帰ったら祝杯をあげなくっちゃ!!)
大嫌いな男との婚約が、あちら有責で破棄出来たことに喜びを隠せないクローディアは浮かれ気分で家路に着いた。
(そういえば、帰り際にミアという名の令嬢が真っ青な顔をしていたけど、大丈夫なのかしら? そもそも彼女はどこの令嬢なの……? ま、いっか。 そのうち分かるでしょう)
おそらくミアはギルベルトから逃げ出したくなるだろうが、あそこまでやらかしておいてそれが許されるはずもない。彼女が貴族令嬢であるなら、多分王命で無理やりにでも結婚させられてしまうだろう。
(そういえばミアさんは何がしたかったのかしらね? 私を蹴落として王妃になりたかったとか? 別に好きにすればいいけど)
彼女には何やら冤罪をかけられそうにはなったものの、この最悪な婚約を破棄出来たきっかけになってくれたから別に恨んではいない。だが「クローディアがギルベルトを好き」だなんて気持ち悪い妄言を吐いたことは許せない、それだけだった。
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