ダンジョンフォーミング

美山 毛先

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低階層 編

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 目を開けるとそこは一面の…通路だった。
何を言っているか自分でもわからないが、目の前に見える通路が全てなんだろう。俺は何故ここで寝ていたんだろう。

「どうしよう。名前以外わかんない。」

 思わず口に出してみたが、実はウソだ。こういう場に放置された以上、転移か、転生か、なんかそのへんだろう。それっぽいことを言っておくということは大事じゃないかと空気を読んでみた。
 とりあえず目の前の通路を進んでみるが、いきなり扉を見つけた。軽くドアノブに手を触れてみるが鍵などはかかっておらず、そのまま開けてみる。

「これはすごい…」

 扉の向こうは一面の草原で、中心部分らしきところにポツンと一軒家が建っていた。ドアを閉めると一軒家に向けて歩き出す。

「(ここに生き物の気配はないから大丈夫かな?というか奥行きがわからないぐらい一面の草原だけどなんだろう。)」

 キョロキョロとあたりを見回しながら一軒家へとたどり着くと迷わずノックした。だが返事はない。

「では、失礼いたします…」

 そのままドアを開けて中へ入ると室内は簡素な造りであったが生活できる環境が整えられていた。あたりを見回しながらソファの前の机に一冊の本が置いてあるのを見つけ、ソファに腰掛けてそれを開いた。
 開くや否や本から眩い光が発せられ、その光りがそのまま俺の頭の中に吸い込まれていく。莫大な量の情報が頭に焼き付けられ、馴染まされていく過程で脳が沸騰するような錯覚を覚える。情報から知識へ、知識から経験へ、経験から技能へと本来経験してない様々な事柄の昇華が進むにつれて全身が痙攣しだし、あっさりと俺はその場で意識を失った。
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