ダンジョンフォーミング

美山 毛先

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低階層 編

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 十五階に降りて来て一番初めに気がついたのは気配だった。

「シェリー、なんかいる?のかな?」

 断定できないので疑問形だが、シェリーも首を傾げている。

「主人様、確かに何かいておりますが、弱々しく死にかけておりますね。」

 無造作に二人で通路を進みながら、小部屋のゴブリンを瞬殺しつつ十五階層を踏破していく。
 その間もどんどん気配が小さくなっていくが、こちらも危険を犯せるわけではないのでできる限り早いペースを維持するにとどめた。

「部屋の扉が開いてる?」

 普段は閉じられているボス部屋の扉が開いており、弱々しい気配はその中から漂って来ていた。

「主人様、一応私も手を出せるようにしておきます。」

 シェリーはそういうと手のひらに小さい杖を出現させていた。

「危険そうなら頼む。」

 そういうとボス部屋の中に入った。

 ボス部屋の中にはモンスターは居なかったが、そこには大きなクリスタルがあった。
 いや、正確にはクリスタルと人の融合したものがあった。

「主人様、これはなんでしょうか?」

 シェリーが首を傾げてこちらに聞いてくる。

「おい!生きてるか?」

 シェリーの質問を無視するつもりではないが、今は一刻を争う。

「…」

「おい!?大丈夫か?」

 声をかけながら近づいていくと、不意に悪寒がして後方へと跳んだ。
 更に成長したクリスタルが先程まで俺がいたところを突き刺していた。どうやらクリスタルは俺を敵性判定したらしい。

「おい!?なんとかできないかこれ!おい!」

 遠くから声をかけるも冒険者らしい男からは返事もない。

「主人様、どうなさいますか?」

シェリーはそういうと杖の先端を光らせた。私が魔法で片付けましょうかとのアピールだ。

「……いや俺がやる。」

 そういうと腰の剣を抜き、全身に気を回し一気にクリスタルへと近づく。クリスタルは驚くべき速さで成長してこちらを取り込もうとしてくる。それを剣で叩き壊し、払い、飛び越える。

 そして冒険者の身体をクリスタルごと叩き斬った。

 衝撃に耐えれなかったか剣が折れてしまったのを視界に収めながら、冒険者がクリスタルごと光の粒子に変わるのを見ていた。
 普段なら半分はダンジョンに吸収されるはずの光が全て俺のところに集まってくる。そして、全ての光を吸収した俺は猛烈な頭痛に襲われ意識を保っていられなかった。
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