ダンジョンフォーミング

美山 毛先

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低階層 編

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 色々と夢を見ているのがわかる。一人何もないダンジョンに放り込まれ、誰も助けてくれず、それでも何とか十五階までたどり着いた。
 そこにいたるまでに傷を負い、戦った事などないのでただただ苦労してたどり着きそして十五階のボス部屋で矢を捌ききれず致命傷を負った。その時、体の奥底から何かが弾けたがそれを制御することも出来ず、クリスタルに飲み込まれていく過程でボスを倒しているところで意識は無くなった。

「という夢を見たんだ」

 現在はホームでシェリーとヨイチと食事中だ。ヨイチが森や湖でとってきた食材で随分と食事情が改善されているのは嬉しい限りだ。あの時倒れた俺をシェリーはホームに運んでくれたらしい。ベッドで意識を取り戻し、倒れてからの経過を聞いた後はシェリーとヨイチに夢の話を語っていた。

「あるじさま、それはそのくりすたるのおとこのきおくですか?」

 ヨイチが魚を器用に捌きながら聞いてくる。ヨイチは同じテーブルで食べることを畏れ多いと言ってきかなかったのが、無理やり食べさせている。

「本来であれば半分が迷宮に、半分がその場にいる人に吸収されるはずの生命の粒子が主人様お一人に吸収されておりました。それはやはりあのクリスタルの人が主人様と同じ種類の人だからでしょうか?」

シェリーは器用にパンに野菜と魚を挟みながら食べ始める。

「シェリーの言う通りやはりあの人は俺と同じ種類だと思う。名前も知らないやつだがなんか俺の中にあるんだよ。あいつの持ってたスキル?みたいなのが。」

  バクバク肉を食いながらそういうと、うーんなんだろうこのスキル?こうか?こうかな?と食いながらせわしなく手を動かしている。

「あるじさま、だいじょうぶなのですか?」
「主人様、スキルとはどのような?」

 ヨイチは驚きながら、シェリーはサンドイッチを頬張りながら聞いてきた。

 「あぁ全然大丈夫大丈夫。その辺はまた試すよ。それより階層突破のホーム改変はどうする?選択肢は山と川と畑と家の改装だと」

 スキルに関してはなんとなく使い方が頭に入っているので心配はしていなかった。

 食事事情がヨイチのおかげで改善しているので、山と家かなぁなどと考えていると二人から返事が返ってきた。

「あるじさまののぞみのとおりに」
「少し考えがあるので、川をお願いいたします。」

 ヨイチは本当にいい家臣だなぁ。それに引き換えうちの最強戦力さんの遠慮のなさには清々しささえ漂っている。

 そしてシェリーはまたもやいい笑顔で言ったあと、もはやその場におらず外に出てキョロキョロと周りを見回していた。そこまでホーム改変の瞬間を見たいのかと残された俺たちは二人して苦笑いしかでなかった。
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