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前期末考査 3
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フワッとした浮遊感の後に地面の感触がし転移が終了した。すぐさま辺りの様子を確認したが、周辺に敵は居なかった。
豪華な装飾が施されたその部屋は客間を思わせる様相で、ソファーやテーブルなどがあった。そのまま四人は周囲を警戒しながらもソファーへと腰掛け、一旦休憩をとる。
「魔物の強さは全然問題ないね。」
ケイトは自らの背囊から水筒を取り出し喉を潤わせていく。その横では各自がそれぞれ次の探索の準備をしていた。
「建物型の迷宮というのは私は初めてですわ。やはり城ですから謁見の間に主がいてるのでしょうか?」
「どうですかな?そんなにわかりやすくはないと思うがなぁ。」
シェリーとクーロはお互いにこの先の探索方針について相談を始めた。城であるから構造の想像はしやすい。宝物庫、食料庫、図書室などあるかわからないが通常の洞窟型の迷宮よりは楽しめる。
「…」
「起きて、アナー!起きてー!」
この短時間でも寝てしまったアナを起こそうとケイトは声をかける。
迷宮の踏破が目的ではあるがいつもの通りの緊張感の無さであった。
ドアを開けるとそこには幅の広い廊下が広がっていた。廊下の左右には複数の部屋がある。
クーロがドアに罠がしかけられていないかを確かめながら開けていく。そこには見事な調度品はあるが、持って帰るような宝は無く、また敵もいない。
「この階は安全地帯なのか?まったく敵の気配がない」
クーロが不思議そうに言いながら廊下の端までたどり着いた。
「む、皆の者。階下へと続く先には魔物の気配がある。」
階段を覗き込んだクーロが注意を促してきた。
「よし、じゃあ僕が先頭で行くね?次にクーロ、シェリー、殿はアナでお願い。」
ケイトから指示が飛び、ケイトはそのまま階段を下りながら短杖を握りしめ黄色い長剣を作り出す。
降りて行った先には再び廊下が広がっていた。建物を外側から見たときにはありえないと思えるほどの広さだ。これも迷宮特有の空間操作の影響だろう。
階段の側にいた鎧型の魔物がケイトに気づき金属音を鳴らしながら走り寄ってきた。手には槍と盾を構え、突き刺すつもりなのかかなりの速度で近づいてくる。
「あまいっよっ!」
ケイトは逆に飛び込むと槍の穂先を交わしながら長剣を三度振るう。槍を半ばで切断し、兜を跳ね飛ばし、最後に上半身を袈裟斬りにする。金属音とともにその場に崩れ落ちた魔物は二種類の煙となり、迷宮とケイト達に吸い込まれる。落ちていたのは拳大の魔石で、クーロが拾い上げ背囊に入れた。
更に廊下の奥からわらわらと複数体の鎧型の魔物が現れてくる。装備している武器にはバラツキがある。また、廊下の左右のドアが開き、其処からもメイド服を着た骸骨などが現れ始めた。
広い廊下を埋め尽くす勢いで現れる魔物に武器を作り変えようか考え始めたケイトの耳に声が届く。
「ケイト!どきなさい!」
シェリーの叫び声にバックステップで皆の位置まで下がると、手をぱんっ!と叩きあわせたシェリーが空中に浮いていた杖を両手で押す。
「極光砲!」
力ある言葉と共に杖を中心に複雑な魔法陣が展開し、前方へと巨大な光の奔流が走る。空中から杖がシェリーの手元に戻る頃には目の前には魔物は一匹も居なかった。
「…相変わらず非常識な威力ですな?これでは我の見せ場がないではないですか」
クーロがぼやきながら煙と魔石やドロップ品を回収していく。その際に、ケイトとアナは左右の部屋に魔物が残っていないかを調べていくが、ケイトとアナにしてみれば居ても物の数ではなかった。
そうこうしてるうちに近づいてきたシェリーは満面の笑顔で言い切った。
「すっきりしましたわ」
入り口からあまり見せ場がなかったのを不満に思っていたのであろうその言葉にケイトは苦笑いを返した。
豪華な装飾が施されたその部屋は客間を思わせる様相で、ソファーやテーブルなどがあった。そのまま四人は周囲を警戒しながらもソファーへと腰掛け、一旦休憩をとる。
「魔物の強さは全然問題ないね。」
ケイトは自らの背囊から水筒を取り出し喉を潤わせていく。その横では各自がそれぞれ次の探索の準備をしていた。
「建物型の迷宮というのは私は初めてですわ。やはり城ですから謁見の間に主がいてるのでしょうか?」
「どうですかな?そんなにわかりやすくはないと思うがなぁ。」
シェリーとクーロはお互いにこの先の探索方針について相談を始めた。城であるから構造の想像はしやすい。宝物庫、食料庫、図書室などあるかわからないが通常の洞窟型の迷宮よりは楽しめる。
「…」
「起きて、アナー!起きてー!」
この短時間でも寝てしまったアナを起こそうとケイトは声をかける。
迷宮の踏破が目的ではあるがいつもの通りの緊張感の無さであった。
ドアを開けるとそこには幅の広い廊下が広がっていた。廊下の左右には複数の部屋がある。
クーロがドアに罠がしかけられていないかを確かめながら開けていく。そこには見事な調度品はあるが、持って帰るような宝は無く、また敵もいない。
「この階は安全地帯なのか?まったく敵の気配がない」
クーロが不思議そうに言いながら廊下の端までたどり着いた。
「む、皆の者。階下へと続く先には魔物の気配がある。」
階段を覗き込んだクーロが注意を促してきた。
「よし、じゃあ僕が先頭で行くね?次にクーロ、シェリー、殿はアナでお願い。」
ケイトから指示が飛び、ケイトはそのまま階段を下りながら短杖を握りしめ黄色い長剣を作り出す。
降りて行った先には再び廊下が広がっていた。建物を外側から見たときにはありえないと思えるほどの広さだ。これも迷宮特有の空間操作の影響だろう。
階段の側にいた鎧型の魔物がケイトに気づき金属音を鳴らしながら走り寄ってきた。手には槍と盾を構え、突き刺すつもりなのかかなりの速度で近づいてくる。
「あまいっよっ!」
ケイトは逆に飛び込むと槍の穂先を交わしながら長剣を三度振るう。槍を半ばで切断し、兜を跳ね飛ばし、最後に上半身を袈裟斬りにする。金属音とともにその場に崩れ落ちた魔物は二種類の煙となり、迷宮とケイト達に吸い込まれる。落ちていたのは拳大の魔石で、クーロが拾い上げ背囊に入れた。
更に廊下の奥からわらわらと複数体の鎧型の魔物が現れてくる。装備している武器にはバラツキがある。また、廊下の左右のドアが開き、其処からもメイド服を着た骸骨などが現れ始めた。
広い廊下を埋め尽くす勢いで現れる魔物に武器を作り変えようか考え始めたケイトの耳に声が届く。
「ケイト!どきなさい!」
シェリーの叫び声にバックステップで皆の位置まで下がると、手をぱんっ!と叩きあわせたシェリーが空中に浮いていた杖を両手で押す。
「極光砲!」
力ある言葉と共に杖を中心に複雑な魔法陣が展開し、前方へと巨大な光の奔流が走る。空中から杖がシェリーの手元に戻る頃には目の前には魔物は一匹も居なかった。
「…相変わらず非常識な威力ですな?これでは我の見せ場がないではないですか」
クーロがぼやきながら煙と魔石やドロップ品を回収していく。その際に、ケイトとアナは左右の部屋に魔物が残っていないかを調べていくが、ケイトとアナにしてみれば居ても物の数ではなかった。
そうこうしてるうちに近づいてきたシェリーは満面の笑顔で言い切った。
「すっきりしましたわ」
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