魔王と姫君

空原 らいあ

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おまけ①

クロウの魔法教室 第1回 ~魔法と魔術~

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※「クロウの魔法教室」は本編に関係ないおまけです。読み飛ばして頂いてもなんら問題ありません。
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初めまして皆様。
私はクロウと申します。
新たな魔王であるラース様にお仕えしている従者でございます。

本日は皆様に魔法についての説明をさせていただきたく、この場を設けさせていただきました。
まずは本編中でも触れられている魔法と魔術の違いについて解説させていただきます。

そもそも魔法と魔術の違いは何でしょうか?
その違いから確認してみましょう。

<魔法とは>
・詠唱や陣などの発動は不要
・周囲の微精霊が発生させる事象
・発動させる為には無意識に体から漏れるほどの魔力が必要
・使用者の望んだ事象が発生するとは限らない
・毎回同じ結果とは限らない

<魔術とは>
・詠唱や陣などの準備が必要
・詠唱や陣を通して精霊などの力借りて術者が発生させる事象
・発動に必要な魔力は術や陣の規模や効果に依存する
・発生させる事象について細かな制御が可能
・一度完成された術は同じ効果を持つ

細々したものは他にもありますがおおよそこのような所になります。
注目すべきは二つ目です。
魔法は「周囲の微精霊が発生させる」に対して魔術は「術者が任意に発生させる」という点。

私は『魔法とは所作である』とラース様に説明しましたが、まさにその通りなのです。
例えば、
普通の人間でも手で扇げば風が起きます。
これが魔術で起こそうとするなら、詠唱や陣を用意し魔力を流し、その呪文や陣に合った形で精霊が風を吹かせるという事象を代行します。
魔法は魔術にある詠唱や陣~精霊事象の代行というプロセスを省略します。
つまり手で扇げば周囲の精霊が風が欲しいという意図を読み取り、その動作の発生させる事象の結果を増幅します。

魔術のような手順や精霊に代行を依頼する必要もありません。

ただし注意しなくてはいけないのは、魔法はあくまで周囲の精霊が勝手に手を貸しているだけ。ということです。

そのため必ず同じ結果が出るとは限りませんし、そもそも精霊の気が向かなければ魔法が発動しない可能性もあります。

この点については魔術が優れていると言わざるを得ないのですが、魔術は精霊を無理矢理使うからこその結果であるので私はあまり好きではありません。
彼等は基本的に気紛れですが大精霊を無理矢理などとなれば後が怖いですからね。

…少々脱線してしまいました。

また、使用する魔力量が大きく違います。
これは水路を思い浮かべていただければ解りやすいのですが、
ある場所に水を持ってくるために魔術はまず水路を引きます。
その水路を満たす水を流した上で初めて目的の場所に水が流れます。
一方魔法はいきなり目的の場所にポンと出現させることが出来ます。

違いがわかりますでしょうか?

同じ量の水を必要とした場合、魔術は水路を満たすための水が余計に必要になります。
これが魔術と魔法の使用する魔力量の違いです。

魔法と魔術の違いはご理解いただけましたでしょうか?

なお、ラース様達のいらっしゃるアジールニカ大陸では現在魔法を使える者はほとんどおりません。
理由は魔術具の普及と白竜帝国の台頭、そしてなにより先代様の引き籠もりのせいなのですが……こちらが語られる日はくるのでしょうか?
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