ねこのフレンズ

楠乃小玉

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第二章

十六話 今までのお話はすべてドカンちゃんが見た夢でした

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 「やあ 、
 ようこそ、じゃこ天ハウスへ。
 このじゃこ天はサービスだから、まず食べて落ち着いて欲しい。

 うん、「また」なんだ。済まない。
 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

 でも、このスレタイを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
 「恐怖と失望」みたいなものを感じてくれたと思う。
 殺伐とした世の中で、このタイトルが
 現実ではなかった安堵感と幸福な気持ちを忘れないで欲しい
 そう思って、このタイトルを書いたんだ。

 じゃあ、注文を聞こうか」
 
 宇和島駅の前のじゃこ天屋さんのお店の軒先、
 パソコンでカタカタと文字を打つ
 ノルウェージャンフォレストキャットの地霊フォレスト。
 
 ふあっ、とサラサラヘアーをかきあげる。

 「さて……」

 パコーン!
 
 チカンちゃんがフォレストの後頭部をシバキ倒した。

 「いた~い、何すんの~ん」

 「心臓が止まるかと思ったわ!何書いるんだよ!」

 「え、ただの小説ですが何か?
 小説ってみんな本当の事書いてると思った?
 小説って基本創作なんだよ、それが本当にあった事だって
 思うなんて、マジ、ウケるんですけど、マジ卍」

 「ややこしいことすんなよ!」
 チカンちゃんが激怒している。
 「まあ、まあ、チカンちゃん」
 ドカンちゃんがチカンちゃんをなだめる。

 「念押しで聞くけど、フォレストが書いたものが魔法で
 現実になるとか、そういうこと絶対ないよね」

 「は?中二病?」

 「こ~の~が~き~」
 
 激怒したチカンちゃんがフォレストにつかみかかろうとする。

 「まあまあ、ボクたちも無事こうして存在するわけですし」
 なだめるドカンちゃん。

 「じゃあ、お前の能力ってなんだよ」

 「私ですか?フッ、お見せしましょう。では」
 
 フォレストがそう言うと、ふわっと風が吹いて姿が消え、
 綠の若葉が数枚、その場に舞い散った。

 「これだけかーい!」

 チカンちゃんが壮大な突っ込みを入れた。

 「瞬間移動って十分にすごい能力だと思うのだけれど」
 そう良いながらフォレストが店の裏から出てきた。

 「あのさ、お前償いしろ」
 
 「何が?」
 
 「せめて、何か宇和島のいい所紹介するとかさ、誠意みせなよ!」

 「ああ、いいとこね、凸凹神社」

 すました顔でフォレストが言った。
 
 「は?何それ?」
 チカンちゃんの目が点になる。

 「きゃははっ、いまどき凸凹神社を知らないでいいのは中学生までだよねー
 はずかしー」

 「しばく!絶対しばく!」
 
 激怒して突進しようとするチカンちゃんをドカンちゃんがかかえあげて、
 自分の前かごに入れる。

 「それじゃ、昨日も今日も遊んでくださってありがとうございます。
 見に行くところは自分で探しますからいいですよ」

 「ふうっ」

 フォレストがため息をつく。

 「君は知らないのかい、なぜ、君の母親が君を旅行に出したかを!
 君は実は不治の病で、あと六ヶ月しか生きられないのだよ!!!!」

 フォレストはドカンちゃんにビシッと指をさした。

 「へーそうなんですか」
 ドカンちゃんはニコニコしている。

 フォレストの額からタラーリと冷や汗が流れる。

 「こ……これは十万人に一人と言われる特異体質、必殺天然ボケ殺し!」
 
 「やーい!やーい!おたんこなす~!べ~だ!」
 チカンちゃんはあっかんべーをした。

 「すごい!すごい才能だ!君こそは世界の演劇界を背負って立つ人材!
 私は君の才能に惚れ込んだ!君!ぜひ私の劇団に入って、一緒に世界を目指さないか!」

 「チケットは売りませんよ。チケット、何日までに十枚売ることとかノルマは一切うけつけません」

 「……」
 フォレストの目がチベット砂狐のように乾いた。

 「じゃ、いいや」
 
 「なんだお前はー!」
 チカンちゃんが激怒した。

 「それじゃ、楽しかったですよ、さよなら~!」
 ドカンちゃんが手を振る。
 「ははは、私の負けだよ」
 フォレストはシニカルな笑いを浮かべて手を振った。



 

 

                   
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