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第二章
二十話 中村
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大文字から中村市街に向かう道すがら、
ラグドールはずっとドカンちゃんの背中にしがみついていた。
しがみつきながらも、爪は立てず、握力だけで我慢して
しがみついていたので、心の優しい子だということは分かった。
ラグドールは中村の駅を紹介してくれた。
駅の中には観光案内所があってその日に泊まる旅館をさがしてくれる。
旅館が決まったのでドカンちゃんがそちらに向かうとラグドールもポテポテ
歩きながら後をついてくる。
「ラグドールさんも泊まりますか?」
ドカンちゃんがニッコリ笑う。
「いいえ、女将さんにひとこと言うとことおもてね。
あんさんら、何か目的があってここに来はったんですやろ」
「ええ、どうして分かったんですか?」
「観光やったら、まず、ここの名所とか聞きますもんね、
それに、ちょっと辛そうなのに、我慢して先を急いではる感じやったし」
「え!?ドカンちゃん辛いの!?」
チカンちゃんが目を丸くして驚く。
「い、いや、たいした事じゃないよ」
ドカンちゃんが顔をカーッと真っ赤にする。
「まあ、とにかく旅館に行ってやすみなはれ」
「そうですね」
「誰か追ってはるんですか?」
「はい、ラグドールさんみたいなネコ耳が生えた地霊さんです」
「そうですか、では女将に聞いてみますわ」
旅館に行くと、女将さんがでてきた。
「まあ、一條はんとこの猫ちゃんやないの、どうされたん」
「じつはな、この子ら地霊をさがしとるそうなんやけど、
ここらへん、ネコ耳の子がとおらんかったやろか」
「ああ、知っちゅうよ、お腹減ったいう駅前でてひさにすわりこんどったから
焼鮎あげたら喜んで食べとったよ。なんか土佐清水に行く言うとったね」
ドカンちゃんとチカンちゃんは顔を見合わせた。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして」
女将さんはニッコリわらった。
宿泊費は八千円だったが、天然鮎と天然ウナギを食べさせてくれるという。
部屋に入るとこぎれいでさぱりした部屋だった。
部屋にあるクーラーとテレビには料金箱がついていて百円入れると一時間つく仕組みになっていた。
「おもしろーいこれ!」
チカンちゃんが料金式のテレビとクーラーを見て喜んだ。
「ところでドカンちゃん、何が辛いの?正直に言って!」
チカンちゃんが真剣な顔でドカンちゃんを見る。
「じつは……」
ドカンちゃんは自分の吊りズボンを脱いで、内股を見せる。
内股には赤い発疹が出てただれていた。
「何これ!?」
どうも、長い間自転車をこぎ続けたので、股ずれしたみたいです。
いままで、こんな長時間、自転車をこいだことがないので。
それから、あまり長い間自転車をこぎ続けると慣れるまで
肩も痛くなるんですね」
「そうなんだね!じゃあ、すぐに町の薬局に行こう!」
「わかりました」
ドカンちゃんは女将さんに薬局を聞いて、大きなデパートの一階にある
薬局に行った。
そこで皮膚の炎症をおさえる ヒルドイド軟膏と肩の痛みを抑えるインドメタシン配合薬をもらった。
お風呂に入って、内股と肩に薬を塗って寝たら、朝にはすっかりよくなった。
朝ご飯に鮎の塩焼きと天然ウナギが出たが、
天然ウナギは小さくて、しかも皮がゴムみたいに固くておいしくなった。
実はウナギというのは皮が厚くて、蒲焼きみたいに何度も焼いて
柔ら無くしないとあんまりおいしく食べられないものだったようだ。
鮎の塩焼きは頭から尻尾まで全部食べられて、とてもおいしかった。
「じゃあ、土佐清水に行こうか」
「うん!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは土佐清水に向かった。
ラグドールはずっとドカンちゃんの背中にしがみついていた。
しがみつきながらも、爪は立てず、握力だけで我慢して
しがみついていたので、心の優しい子だということは分かった。
ラグドールは中村の駅を紹介してくれた。
駅の中には観光案内所があってその日に泊まる旅館をさがしてくれる。
旅館が決まったのでドカンちゃんがそちらに向かうとラグドールもポテポテ
歩きながら後をついてくる。
「ラグドールさんも泊まりますか?」
ドカンちゃんがニッコリ笑う。
「いいえ、女将さんにひとこと言うとことおもてね。
あんさんら、何か目的があってここに来はったんですやろ」
「ええ、どうして分かったんですか?」
「観光やったら、まず、ここの名所とか聞きますもんね、
それに、ちょっと辛そうなのに、我慢して先を急いではる感じやったし」
「え!?ドカンちゃん辛いの!?」
チカンちゃんが目を丸くして驚く。
「い、いや、たいした事じゃないよ」
ドカンちゃんが顔をカーッと真っ赤にする。
「まあ、とにかく旅館に行ってやすみなはれ」
「そうですね」
「誰か追ってはるんですか?」
「はい、ラグドールさんみたいなネコ耳が生えた地霊さんです」
「そうですか、では女将に聞いてみますわ」
旅館に行くと、女将さんがでてきた。
「まあ、一條はんとこの猫ちゃんやないの、どうされたん」
「じつはな、この子ら地霊をさがしとるそうなんやけど、
ここらへん、ネコ耳の子がとおらんかったやろか」
「ああ、知っちゅうよ、お腹減ったいう駅前でてひさにすわりこんどったから
焼鮎あげたら喜んで食べとったよ。なんか土佐清水に行く言うとったね」
ドカンちゃんとチカンちゃんは顔を見合わせた。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして」
女将さんはニッコリわらった。
宿泊費は八千円だったが、天然鮎と天然ウナギを食べさせてくれるという。
部屋に入るとこぎれいでさぱりした部屋だった。
部屋にあるクーラーとテレビには料金箱がついていて百円入れると一時間つく仕組みになっていた。
「おもしろーいこれ!」
チカンちゃんが料金式のテレビとクーラーを見て喜んだ。
「ところでドカンちゃん、何が辛いの?正直に言って!」
チカンちゃんが真剣な顔でドカンちゃんを見る。
「じつは……」
ドカンちゃんは自分の吊りズボンを脱いで、内股を見せる。
内股には赤い発疹が出てただれていた。
「何これ!?」
どうも、長い間自転車をこぎ続けたので、股ずれしたみたいです。
いままで、こんな長時間、自転車をこいだことがないので。
それから、あまり長い間自転車をこぎ続けると慣れるまで
肩も痛くなるんですね」
「そうなんだね!じゃあ、すぐに町の薬局に行こう!」
「わかりました」
ドカンちゃんは女将さんに薬局を聞いて、大きなデパートの一階にある
薬局に行った。
そこで皮膚の炎症をおさえる ヒルドイド軟膏と肩の痛みを抑えるインドメタシン配合薬をもらった。
お風呂に入って、内股と肩に薬を塗って寝たら、朝にはすっかりよくなった。
朝ご飯に鮎の塩焼きと天然ウナギが出たが、
天然ウナギは小さくて、しかも皮がゴムみたいに固くておいしくなった。
実はウナギというのは皮が厚くて、蒲焼きみたいに何度も焼いて
柔ら無くしないとあんまりおいしく食べられないものだったようだ。
鮎の塩焼きは頭から尻尾まで全部食べられて、とてもおいしかった。
「じゃあ、土佐清水に行こうか」
「うん!」
ドカンちゃんとチカンちゃんは土佐清水に向かった。
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