ねこのフレンズ

楠乃小玉

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第二章

二十五話 シアンちゃんは鼻息を荒くした。

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 椎之宮様の石段の左右には巨大の丸に
 違い鷹の羽の紋章が刻印された石が左右二つ並んでいた。
 
 リィーマァォに案内されてドカンちゃんたちは石段を登る。

 「ここの神様は何の神様なんですか」
 「お菓子の神様だたぬ」
 リィーマァォが答えた。
 「うわ~素敵ですね」
 ドカンちゃんが微笑んだ。

 本殿にお参りしたあと、
 リィーマァォはドカンちゃんたちを神社の裏手に案内する。

 「ここがとても重要だたぬ」
 
 そこには小さな祠があった。

 「ここは勇大明神をはじめ徳島で名をはせた
 お狸様の祠があるたぬ。霊験あらたかなお狸様の祠たぬよ」

 「へ~四国でお狸様が有名なのは知っていましたが、
 こんなところにあるとは知りませんでした。

 「ここは……何かを一歩踏み出そうとしても怖くて踏み出せない人に
 一歩踏み出す勇気をくれる神社たぬ」

 その言葉を聞いてドカンちゃんはハッと目を見張った。
 「……それは……ボクのことです……」
 
 「それはよかったたぬね。下にある青龍水をくんで帰ってお家で飲みなさいたぬ」
 「はい、ありがとうございます!」
 
 ドカンちゃんは近くのお店で水筒を買って、清龍水をくんだ。
 
 「それでは、私は使命をはたした。ここでお別れだたぬ。
 君たちの水の旅もここでおしまいだたぬ。あとは自由に帰りなさいたぬ」
 そう言ってリィーマァォは神社の前で手を振った。

 「ありがとうございます」
 「ばいば~い」
 「ふん、今回ばかりは感謝してあげるわ」
 「ばはは~い!」

 ドカンちゃん、チカンちゃん、シアンちゃん、サバンちゃんはそれぞれ挨拶して
 その場を離れた。
 
 蔵本から電車に乗って徳島に到着した。

 徳島から自転車に乗って、さて、どこに行くか。

 「さて、どうしましょうか~。このままお船で和歌山まで行ってもいいし、
 高松まで行ってもいいし」

 「あなたたち、ここに来るのに、大阪から和歌山経由で来たんでしょ、どうせ」
 「あ、はい、そうです」

 「また同じ道を通るのは退屈でしょ。だったらここから高松まで自転車でいって
 そこから神戸までフェリーで帰りましょうよ」
 シアンちゃんが言った。

 「シアンちゃんの心遣い素敵だな~」
 
 サバンちゃんが目をキラキラさせた。

 「ふ、ふん、この程度の心遣い、あたりまえよ」
 シアンちゃんは鼻息を荒くした。

 
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