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三章
10話 美禄田
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高森の南にある急峻な坂道を登っていくと、
途中で道路がクルリと一周する謎ループがあった。
これは、何の意図でこうしているのか、本当に謎。
そうして、脂汗を流しながらやっと山を登り切った処にあったのは
軽食喫茶だった。
バラックの建物で
「みんなのお店花ちゃん」
という看板がかかっていた。
そこで四人でうどんを注文して食べて、
また先に進んだ。
そこを越えると、あとは下り坂。
楽々と町の中心部にあるバスの集積所までたどり着いた。
町を見渡すと、各所に東京ジーヤンズのロゴがある。
小料理屋さんでもジーヤンズのロゴや応援グッズが
沢山飾られている店があった。
九州に来て、ここまで明確にジーヤンズのファンが多いと
感じるの初めてだった。
さっきまでの熊本とは明かに雰囲気が違った。
この高千穂の人達は、熊本と比べて、
なにやらのんびりとした雰囲気があった。
あと、料理の味付けにトビウオを使う。
それからうどんに七味じゃなくて、ゆず胡椒というものを使っていた。
それがドカンちゃんにとってはすごく不思議だった。
ドカンちゃんは旅館を予約すると、まず
天野岩都神社に行った。
そこの神社は普通にお参りしているだけなら通り過ぎてしまうところだが、
神社の向かって右手に沢があり、そこに降りていく道がある。
神社の神主さんにお願いしてそこを降りていくと、
あった!
そこには天野岩戸がったのだ。
かつて、天照大神が弟の横暴に怒って岩戸に閉じこもってしまったという神話。
そして、その向こうに神々が困って相談したという天野安原があった。
大小沢山の石が積み上げられた洞穴ですごく神秘的だった。
そのあとドカンちゃんは気づいたのだが、この神社は
川を挟んで西宮と東宮がある。
神社に戻ると、神社のご神木、おがたまの木の苗が売っていた。
神社に行くと、金色の鈴が沢山ついた棒をシャンシャンと鳴らして
巫女様がお祓いしてくれるが、この金属の飾りの元となったのが
このおがたまの木らしい。
すごく縁起がよいものなので、どかんちゃんはその木を買って、
家に郵送した。
「あのね、チカンちゃん、何で天照大神の弟の素戔嗚尊は
お姉さんを怒らせるような事をしちゃったのかな」
「あれは、神話で素戔嗚尊が神聖な場所で脱糞した上に
動物の皮を剥ぎ、暴れたので、天照大神の女官が驚いて
股の間に木の棒を刺して死んでしまったから天照大神が
怒ってお隠れになったって神話だよね」
「うん、昔読んでいて意味が分からなかった」
「あれはね、素戔嗚尊が人糞を肥料として使うことを発見したって事なんだ。
素戔嗚尊は五十猛尊とともに農業開発をしていたからね。
動物の皮を剥いだというのはニカワを発明したってことさ」
「ニカワ?」
「動物の皮を煮詰めてノリにするの。それで、強靱な革の紐に塗って
ほどけなくする。
そうすることで、強靱な土木の梁を作ることができたんだ。
これで、坑木を作り、崖崩れしない強靱な坑道を作ることができたので、
素戔嗚尊は鉄鉱石を求めて、どんどん山を掘り進んだ。
でも、山を深く掘りすぎると、鉄砲水が出てくるんだ。
これで、山の穴から大量の水が噴き出して、大勢の人が死んだ。
また鉱毒が蔓延して多くの人が死んだ。
だから天照大神は怒ったんだ。
それ以降、土はあまり深く掘ったら危ないから
あまり深く掘っちゃだめって規則になって、それを犯土
っていうの」
「へーそれ、何処の本に書いてあるの?」
「書いて無い。頭の中にビビビビ!って電波を受信して発見したんだよ!」
そう言いながらチカンちゃんはピョンピョン跳ねた。
「ああ……チカンちゃんは時々どこまでが冗談でどこまでが本気かわからなくなるよ」
ドカンちゃんは苦笑いして頭をかいた。
ドカンちゃん達が神社を出ると、ふわっと暖かい風がドカンちゃんの顔をなでた。
空から天女の羽衣をまとったビキニ姿の長身のスレンダーな体格のお姉さんが舞い降りてきた。
ビキニはヒョウ柄の斑点で、髪の毛は茶髪。
「あら、ようこそ高千穂へ。短足ちゃんが何か適当な神話論ぶちかましていたから
ドカンちゃんが神話を誤解しないように私が案内するわ」
その女の人は右手に実がついたおがたまの木の枝をもっており、
その枝でふわりとドカンちゃんの頬をなでた。
「う、うわあ」
ドカンちゃんは不意打ちを食らって、おどといて飛び退いた。
「うふふ」
女の人はいたずらげに笑った。
「あ、あなたは誰ですか」
「私はアメノウズメ命のお使いで、チートーの地霊のチー子よ」
「そうなんですね」
「一緒に高千穂巡りをしましょ」
「はい!」
チー子がドカンちゃんたちを最初に連れてきたのは、町の南のはずれにある
トンネルの上にある小高い丘。
「ここが高天原よ」
「うわっ、せまっ!」
ドカンちゃんは思わず言ってしまってから、慌てて自分の口を手でおさえた。
「いいのよ、みんなそう言うから」
チー子は微笑した。
「正確には高天原遥拝所。ここから天の上にある高天原を拝んだのよ」
「でも木の鳥居がすごく新しいみたいですけど」
「昔は神社の建物なんて無かったのよ。本来は石や山がご神体なの。
建物を建てるようになったのは仏教の影響よ」
「そうなんですね」
「次行くわよ。」
「はい」
次にチー子が案内したのは天の真名井というわき水だった。
ここは、地上に降臨した天孫が地上に水がないということで、
初めてこの地に天界から水の種を移してわき水を作らせたという
日本の水のルーツとなる場所だった。
「う、うわー!ここすごいよ!すごい霊力だよ、力がわいてくるよ!
ぼくたちの故郷だからね!」
サバンちゃんがすごく興奮して言った。
「きてよかったー」
サバンちゃんがニコニコしていいる。
その姿を見てシアンちゃんもニコニコしている。
その次が高千穂神社。
とても大きな杉の木が植わっている。
娚杉といって二本そびえたっていた。
友達や恋人と時計回りに三回まわると絆が深まるという。
サバンちゃんとシアンちゃんは右手を繋ぎ、
チカンちゃんとドカンちゃんは左手をつないで三回まわった。
チカンちゃんは大満足でニコニコしていたが、ドカンちゃんは
右手をつなげなかったことが、少しさびしかった。
「さて、これで、だいたい見所は回ったね!」
チカンちゃんがそういった。
「そう思うじゃん!」
チー子が言った。
「え?」
チカンちゃんは驚いてチー子を見る。
「お楽しみはこれからだ!」
そう言ってチー子は高千穂神社の横の森の中を指さした。
「えー、こんな森の中に入るの?なんか何も無さそうなんだけど」
チカンちゃんは嫌そうな顔をした。
「だいじょうぶい!」
ヂー子がブイサインをする。
「行って見ましょう」
ドカンちゃんが笑顔で言った。
その森に入っていくと、そこは一面の雑木林。
ただただ雑木林の密林が続く。
ドカンちゃんは少しだけ後悔しはじめていた。
が、急に視界が開けた。
そこには川が流れていて、岸壁はまるで彫刻刀で彫り込んだような
長方形の岩の柱が無数に並んでいた。
「すごい!これ、全部人の手で掘ったんですか!」
ドカンちゃんは目を輝かせた。
「違うよ、自然にこうなったんだ」
「えー!こんなのみたことないです!すごいです!」
ドカンちゃんはすごく興奮した。
「ははは、喜んでもらってなによりだよ」
「それにしてもこの高千穂は何もかも小さいし、土地も狭いですね。
どうやって、こんな狭い土地の人達が東征して日本全土を征服することができたんだろう」
ドカンちゃんはなんとなくつぶやいた。
「あっちを見て」
チー子が指さす方を見たが普通の湿地だった。
「何かあるんですか?」
「あそこは美禄田といって、籾を蒔かなくても自然に稲が生えてくるんだ。
降臨した天孫が地上に最初に蒔いた稲が生え続けているとも言われている。
ここに稲が育った年は、豊作になるといわれているんだよ」
「へーそうなんですね」
「稲は一粒万倍といってね、ものすごく生産性がいい。でも、水田を
作るのには田を作り、灌漑で水を引き、莫大な土木工事を必要とする。
それを繰り返して、どんどん日本は豊かになってきたんだよ。
このお山には山幸彦様が居られた。
山幸彦様は土木工事をされ、水田を作って国を豊かにされた。
それに対して海幸彦様は何もしないでも海で魚が取れるものだから
せっかく収量が多い稲にも見向きもせず、灌漑も作らなかった。
よって、次第に勢力を拡大した山幸彦様の勢力に飲み込まれてしまったんだ」
「そうやって、全国に稲作が広がっていったんですね」
「そうだよ、種子は日本人の魂、日本の心だ。これをおろそかにしたとき、この国は滅びるだろう」
遠い目をしながらチー子は言った。
途中で道路がクルリと一周する謎ループがあった。
これは、何の意図でこうしているのか、本当に謎。
そうして、脂汗を流しながらやっと山を登り切った処にあったのは
軽食喫茶だった。
バラックの建物で
「みんなのお店花ちゃん」
という看板がかかっていた。
そこで四人でうどんを注文して食べて、
また先に進んだ。
そこを越えると、あとは下り坂。
楽々と町の中心部にあるバスの集積所までたどり着いた。
町を見渡すと、各所に東京ジーヤンズのロゴがある。
小料理屋さんでもジーヤンズのロゴや応援グッズが
沢山飾られている店があった。
九州に来て、ここまで明確にジーヤンズのファンが多いと
感じるの初めてだった。
さっきまでの熊本とは明かに雰囲気が違った。
この高千穂の人達は、熊本と比べて、
なにやらのんびりとした雰囲気があった。
あと、料理の味付けにトビウオを使う。
それからうどんに七味じゃなくて、ゆず胡椒というものを使っていた。
それがドカンちゃんにとってはすごく不思議だった。
ドカンちゃんは旅館を予約すると、まず
天野岩都神社に行った。
そこの神社は普通にお参りしているだけなら通り過ぎてしまうところだが、
神社の向かって右手に沢があり、そこに降りていく道がある。
神社の神主さんにお願いしてそこを降りていくと、
あった!
そこには天野岩戸がったのだ。
かつて、天照大神が弟の横暴に怒って岩戸に閉じこもってしまったという神話。
そして、その向こうに神々が困って相談したという天野安原があった。
大小沢山の石が積み上げられた洞穴ですごく神秘的だった。
そのあとドカンちゃんは気づいたのだが、この神社は
川を挟んで西宮と東宮がある。
神社に戻ると、神社のご神木、おがたまの木の苗が売っていた。
神社に行くと、金色の鈴が沢山ついた棒をシャンシャンと鳴らして
巫女様がお祓いしてくれるが、この金属の飾りの元となったのが
このおがたまの木らしい。
すごく縁起がよいものなので、どかんちゃんはその木を買って、
家に郵送した。
「あのね、チカンちゃん、何で天照大神の弟の素戔嗚尊は
お姉さんを怒らせるような事をしちゃったのかな」
「あれは、神話で素戔嗚尊が神聖な場所で脱糞した上に
動物の皮を剥ぎ、暴れたので、天照大神の女官が驚いて
股の間に木の棒を刺して死んでしまったから天照大神が
怒ってお隠れになったって神話だよね」
「うん、昔読んでいて意味が分からなかった」
「あれはね、素戔嗚尊が人糞を肥料として使うことを発見したって事なんだ。
素戔嗚尊は五十猛尊とともに農業開発をしていたからね。
動物の皮を剥いだというのはニカワを発明したってことさ」
「ニカワ?」
「動物の皮を煮詰めてノリにするの。それで、強靱な革の紐に塗って
ほどけなくする。
そうすることで、強靱な土木の梁を作ることができたんだ。
これで、坑木を作り、崖崩れしない強靱な坑道を作ることができたので、
素戔嗚尊は鉄鉱石を求めて、どんどん山を掘り進んだ。
でも、山を深く掘りすぎると、鉄砲水が出てくるんだ。
これで、山の穴から大量の水が噴き出して、大勢の人が死んだ。
また鉱毒が蔓延して多くの人が死んだ。
だから天照大神は怒ったんだ。
それ以降、土はあまり深く掘ったら危ないから
あまり深く掘っちゃだめって規則になって、それを犯土
っていうの」
「へーそれ、何処の本に書いてあるの?」
「書いて無い。頭の中にビビビビ!って電波を受信して発見したんだよ!」
そう言いながらチカンちゃんはピョンピョン跳ねた。
「ああ……チカンちゃんは時々どこまでが冗談でどこまでが本気かわからなくなるよ」
ドカンちゃんは苦笑いして頭をかいた。
ドカンちゃん達が神社を出ると、ふわっと暖かい風がドカンちゃんの顔をなでた。
空から天女の羽衣をまとったビキニ姿の長身のスレンダーな体格のお姉さんが舞い降りてきた。
ビキニはヒョウ柄の斑点で、髪の毛は茶髪。
「あら、ようこそ高千穂へ。短足ちゃんが何か適当な神話論ぶちかましていたから
ドカンちゃんが神話を誤解しないように私が案内するわ」
その女の人は右手に実がついたおがたまの木の枝をもっており、
その枝でふわりとドカンちゃんの頬をなでた。
「う、うわあ」
ドカンちゃんは不意打ちを食らって、おどといて飛び退いた。
「うふふ」
女の人はいたずらげに笑った。
「あ、あなたは誰ですか」
「私はアメノウズメ命のお使いで、チートーの地霊のチー子よ」
「そうなんですね」
「一緒に高千穂巡りをしましょ」
「はい!」
チー子がドカンちゃんたちを最初に連れてきたのは、町の南のはずれにある
トンネルの上にある小高い丘。
「ここが高天原よ」
「うわっ、せまっ!」
ドカンちゃんは思わず言ってしまってから、慌てて自分の口を手でおさえた。
「いいのよ、みんなそう言うから」
チー子は微笑した。
「正確には高天原遥拝所。ここから天の上にある高天原を拝んだのよ」
「でも木の鳥居がすごく新しいみたいですけど」
「昔は神社の建物なんて無かったのよ。本来は石や山がご神体なの。
建物を建てるようになったのは仏教の影響よ」
「そうなんですね」
「次行くわよ。」
「はい」
次にチー子が案内したのは天の真名井というわき水だった。
ここは、地上に降臨した天孫が地上に水がないということで、
初めてこの地に天界から水の種を移してわき水を作らせたという
日本の水のルーツとなる場所だった。
「う、うわー!ここすごいよ!すごい霊力だよ、力がわいてくるよ!
ぼくたちの故郷だからね!」
サバンちゃんがすごく興奮して言った。
「きてよかったー」
サバンちゃんがニコニコしていいる。
その姿を見てシアンちゃんもニコニコしている。
その次が高千穂神社。
とても大きな杉の木が植わっている。
娚杉といって二本そびえたっていた。
友達や恋人と時計回りに三回まわると絆が深まるという。
サバンちゃんとシアンちゃんは右手を繋ぎ、
チカンちゃんとドカンちゃんは左手をつないで三回まわった。
チカンちゃんは大満足でニコニコしていたが、ドカンちゃんは
右手をつなげなかったことが、少しさびしかった。
「さて、これで、だいたい見所は回ったね!」
チカンちゃんがそういった。
「そう思うじゃん!」
チー子が言った。
「え?」
チカンちゃんは驚いてチー子を見る。
「お楽しみはこれからだ!」
そう言ってチー子は高千穂神社の横の森の中を指さした。
「えー、こんな森の中に入るの?なんか何も無さそうなんだけど」
チカンちゃんは嫌そうな顔をした。
「だいじょうぶい!」
ヂー子がブイサインをする。
「行って見ましょう」
ドカンちゃんが笑顔で言った。
その森に入っていくと、そこは一面の雑木林。
ただただ雑木林の密林が続く。
ドカンちゃんは少しだけ後悔しはじめていた。
が、急に視界が開けた。
そこには川が流れていて、岸壁はまるで彫刻刀で彫り込んだような
長方形の岩の柱が無数に並んでいた。
「すごい!これ、全部人の手で掘ったんですか!」
ドカンちゃんは目を輝かせた。
「違うよ、自然にこうなったんだ」
「えー!こんなのみたことないです!すごいです!」
ドカンちゃんはすごく興奮した。
「ははは、喜んでもらってなによりだよ」
「それにしてもこの高千穂は何もかも小さいし、土地も狭いですね。
どうやって、こんな狭い土地の人達が東征して日本全土を征服することができたんだろう」
ドカンちゃんはなんとなくつぶやいた。
「あっちを見て」
チー子が指さす方を見たが普通の湿地だった。
「何かあるんですか?」
「あそこは美禄田といって、籾を蒔かなくても自然に稲が生えてくるんだ。
降臨した天孫が地上に最初に蒔いた稲が生え続けているとも言われている。
ここに稲が育った年は、豊作になるといわれているんだよ」
「へーそうなんですね」
「稲は一粒万倍といってね、ものすごく生産性がいい。でも、水田を
作るのには田を作り、灌漑で水を引き、莫大な土木工事を必要とする。
それを繰り返して、どんどん日本は豊かになってきたんだよ。
このお山には山幸彦様が居られた。
山幸彦様は土木工事をされ、水田を作って国を豊かにされた。
それに対して海幸彦様は何もしないでも海で魚が取れるものだから
せっかく収量が多い稲にも見向きもせず、灌漑も作らなかった。
よって、次第に勢力を拡大した山幸彦様の勢力に飲み込まれてしまったんだ」
「そうやって、全国に稲作が広がっていったんですね」
「そうだよ、種子は日本人の魂、日本の心だ。これをおろそかにしたとき、この国は滅びるだろう」
遠い目をしながらチー子は言った。
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