ねこのフレンズ

楠乃小玉

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三章

二十五話 猫塚

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 熊本から炭鉱の街三池を超え、有田を目指した。

 中学校の修学旅行が長崎だった。
 ドカンちゃんは引きこもりで不登校だったので、この旅行に行けなかった。
 そのコースで友達が有田で絵付けをした話しをラインに書き込んでいたので、
 自分も絵付けがしたいと思っていたのだ。

 三池から進路を南にとる。

 しばらく行くうちに、白石町というところを通った。

 すると、背後からボワッと黒い影がドカンちゃんに覆い被さってきた。

 驚いてドカンちゃんは振り返る。

 「誰!?また腕試しなの?」

 「おのれ~大勢幼女を引き連れおって~!
 このロリコンめ~」
 
 黒い陰はグルグルと渦を巻き、その真ん中に一つ目がカッと開いた。
 「このロリコンめ~」

 「正体見たり!ビビビビビビビ!」

 チカンちゃんが目から光線を発射する。
 すると、一瞬で黒くもは消え失せ、だぼだぼの灰色の作業服を着た骨太の
 女の子がビターンと地面に落ちた。
 
 髪の毛が灰色で頭にネコ耳が生えている。

 「あなたは誰ですか?」
 ドカンちゃんがたずねた。

 「おのれ~鍋島め~、ゆるさんぞ~このロリコンめ~」
 
 その猫娘はドカンちゃんをにらんで呻いた。

 「ボクは鍋島じゃありません。ドカンです」

 「そうだよ、この子はドカンちゃんだよ!」

 チカンちゃんがピョンピョン跳ねながら叫んだ。

 「え? ロリコンエロオヤジの鍋島じゃないの?」

 「ちがいます」

 「あ、ごめ~ん」

 女の子は急にフレンドリーになった。

 「あなたは誰ですか?」

 「わたしはマヌル猫の地霊、マヌルだよ」

 「どうして鍋島さんが嫌いなんですか?」

 「鍋島は私のご主人様のクマさんの土地を奪ったんだよ!」

 「それは大変ですね。ボクも知り合いに悪い奴に土地を奪われそうに
 なっている人を知っているから同情します」

 「私はご主人様の敵討ちをしようとしただけなのに、世間から
 化け物扱いされて納得いかないよ!だから、時々化けて出てるんだよ!」
 
 「そうなんですね、それはお気の毒に」

 「どうか、私のお墓にお参りに来てよ」

 「わかりました」

 ドカンちゃんたちは、マヌルに案内されて、白石町役場の近くにあるお寺に来た。

 そこには猫塚があった。

 「こんな所に封じ込められて、世間からも忘れらされているんだ」

 マヌルはブツブツ言いながら猫塚の前まで来た。

 「あ!?」
 マヌルは目を見開いた。

 その猫塚の前にはお皿に入れたキャットフードが供えてあった。

 「あああああ……ずっと塚の周囲を徘徊してしばらく帰ってないうちに、
 お供え物がしてある……」

 「よかったですね、マヌルさん愛されているんですよ」

 「ああ、そうだったんだね、私はてっきり、みんな私を悪い妖怪だって思ってるって
 思い込んでたよ。ありがたや、ありがたや、これで成仏できる」

 マヌルは手を合わせた。
 すると、マヌルの体は白い雲になって雲散霧消して消えてしまった。

 「よかったですね、マヌルさん」

 ドカンちゃんは猫塚に手を合わせた。
 チカンちゃん、シアンちゃん、サバンちゃんの手を合わせた。

 猫塚は鉄道の長崎本線の近くにあったので、ドカンちゃんはその鉄道沿いに北上し、
 途中で佐世保線に合流したので、
 今度はその佐世保線沿いに自転車を走らせて有田まで行った。
 
 
 有田の駅前の観光案内で民宿を紹介してもらい、荷物を置いて街を散策する。
 街の中に川がながれていて、その欄干の上に陶器の極彩色の壺が設置してある。
 さすが陶器の町だとドカンちゃんは思った。

 その橋を越えてまっすぐいくと突き当たりになっていて道が左右に分かれる。
 左側にまがってすぐのところにコインランドリーがあったので、そこでお洋服を洗濯した。

 注意※
 現在ではコインランドリーは閉店しているようです。

 民宿に帰ってきて、近所の陶器店の場所を聞いて行って見る。

 ちょうど、自分で陶器の色つけをできるコーナーがあったので
 お父さんとお母さんのために
 「お父さんいつまでも元気でね。お母さんいつまでも元気でね」とコーヒーカップに
 書いて焼いてもらうことにした。

 実際に本格的に陶器を売っているところは、有田の駅から少し離れた場所にあって、
 次の日自転車で行った。
 有田の陶器はとても純朴で値段も安くて、ドカンちゃんは有田の陶器が大好きになった。

 

 
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