ねこのフレンズ

楠乃小玉

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三章

二十六話 ミッション終了!

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 有田から伊万里を越えて博多へ。
 佐賀県から福岡県にかけては平地が多く、
 あっという間に福岡県に到達した。
 福岡県に入ると、ホテルにチェックインして、そこから太宰府へ。
 
 いよいよ、太宰府だ。

 福岡県太宰府は昔来たことがある。

 父親の知り合いの結婚式で、旅館に泊めてもらって、
 晩ご飯のデザートに出た伊予柑があまりにも美味しくて驚いた記憶が残っている。
 あれは、デコポンというらしい。
 駅前の古本屋でマカロニグラタン荘という漫画を買ってもらい、
 結婚式の間中、ずっと夢中になってその本を読んでいた。

 そして、結婚式が終わったら、太宰府に観光に行った。
 父親は何を思ったのか、梅干しの種の芯にある仁をすりつぶして瓶詰めにしたものを
 買っていた。家にもって帰って食べたが、少なくとも子供にとっては苦くて
 美味しくなかった。
 でも、けっこう長い間家の中に残っていて、少しずつ、小さな匙ですくってたべていたら
 ちょっと癖になってしまった記憶がある。
 太宰府に到着すると、近隣の売店でさがしたが、その仁をすりつぶした瓶詰めは
 見つからなかった。

 そのかわり、梅の枝餅はあった。
 焼きたての梅の枝餅をはふはふしながら食べるのがたまらない。

 子供の頃は、口の上の皮がヤケドしてベロリとはがれたほどだ。

 ドカンちゃんは今では、少しはうまく食べられるようになったが、
 チカンちゃんやシアンちゃん、サバンちゃんはうまく食べられないようだった。
 そうだ、猫は猫舌だったんだ。

 ドカンちゃんがフーフーしてあげて、冷ましてからチカンちゃんにあげた。

 「私もフーフーして」
 サバンちゃんちゃんがお餅を差し出す。

 「ボクも!ボクも!」
 シアンちゃんも屈託の無い笑顔でさしだす。

 ドカンちゃんにフーフーしてもらうと、
 サバンちゃんもシアンちゃんもものすごく嬉しそうな顔をした。

 太宰府満天社に入っていくと、
 凜々しい麒麟の銅像があった。

 「やあ、こんにちわ」

 穏やかな表情の黒髪の女性が声をかけてきた。

 頭には真っ黒なネコ耳がついている。
 その髪の毛は艶々していて、日光に照り返して輝いている。

 丸めがねをかけていて、とてもインテリそうだった。

 「あなたは誰ですか?」
 「私かい? 私はボンベイの地霊、ボンだ」

 「ボンサンがヘをこいた!」
 サバンちゃんが大声で叫ぶ。
 シアンちゃんがサバンちゃんの後頭部を無言でペシッと叩く。

 ボンベイはそれは無視してドカンちゃんに話しかける。

 「お話は聞いているよ。猫用マンションの構造をしりたいんだね」

 ボンが右手を広げると、ボワッと白い煙が出て、そこに本が現れる。

 その中の頁をペラペラめくってボンは指をさす。
 「ほら、ここをご覧。猫用マンションにはキャットウオークをつけないと
 いけないのだけど、ただ一直線に長い板をつければいいってもんじゃないんだ。
 
 かならず、段差をつけなければならない。それは、長い板をつけると、
 そこを猫が走って、下に落ちたり、壁にぶつかったりするからなんだ。
 猫がいかにゆっくり歩くか、また途中で落下防止と下覗きのための穴も
 設置しなければならない」

 「うわ!すごい!ものすごく詳しくかいてますね!面白いです!」

 ドカンちゃんは興奮した。

 「これは君のものだ」
 
 ボンは本をドカンちゃんにさしだす。

 「え? でもこんな貴重なもの」

 「この本は、君が今まで九州を旅行して、戦って、考えて、苦悩して
 成長したエネルギーで書かれているんだ。だからこれはみんな君のものだよ」

 「え……そうなんですか……ボクは、ちびっ子で
 何があっても全然成長しないと思ってました」

 「人の成長とは自分では見えないものだよ。君は実は、
 ものすごく成長しているんだ。だから自信をもって」
 
 そう言ってボンは微笑んだ。

 ドカンちゃんは猫マンションの参考書を手に入れた。
 ミッション終了!


 「おめでとう! よくやったぞ! 」
 ボンが褒めてくれた。

 「すごいよ! やっぱりドカンちゃんはすっごいんだね! 」
 ドカンちゃんが褒めてくれた。

 「まあ、今回ばかりは認めてあげる。さしが私が見込んだ子だわ。
 おめでとう、ドカンちゃん」
 
 シアンちゃんがニッコリと笑って褒めてくれた。

 「やったー!すごいぞー!ドカンちゃんすごーい!」
 サバンちゃんが大声で褒めた。

 「え~っ、恥ずかしいなあ」
 ドカンちゃんは顔を真っ赤にした。
 
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