ねこのフレンズ

楠乃小玉

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三章

二十七話 千仏堂大開戦(前編)

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 ドカンちゃんは太宰府でお参りしたあと、まっすぐ東に向かった。
 福岡県の霊山、英彦山にぜひとも登りたいとも思った。
 東へ東へ進み、やっと英彦山の麓までたどりつた時だった。

 「大変しょ!大変っしょ!」

 目の前からアメリカンショートヘアーのアメショが走ってきた。

 「え! いったいどうしたんですか!? 」
 元々神戸にいるはずのアメショがこんなところにいたので、ドカンちゃんは驚いた。

 「ドカンちゃんたちが心配で、フェリーに乗って小倉まで来たっしょ!
 そうしたら、宮崎県のピクシーというお猫が、助けを求めに来たっしょ!
 ガラマフィンのガラが、妖魔と和解しようとして酒持って話し合いに行ったら
 捕まってしまったしょ!ドカンちゃんを差し出さないと、ガラを八つ裂きにするって
 妖魔が言ってるっしょ!」

 「えー!そうだったんですか?それでピクシーさんは?他のお猫たちに助けを
 求めにいっているっしょ!」

 「分かりました!それで、ガラさんはどこに居るんですか? 」

 「平尾台に千仏堂っていう霊が集まる場所があるっしょ。そこに居るっしょ!」

 「わかりました。一緒に行きましょう」
 
 ドカンちゃんは英彦山に登るのを断念して先に進んだ。

 少しでも最短距離を通ろうと、狭い県道32号線の峠道に入っていった。

 途中で、「不法投棄禁止」と黄色い看板に赤い字で書かれた看板がある場所で
 道が二手に分かれた。

 「どっちかなあ」
 ドカンちゃんが迷っていると、右手のほうから白い白骨の腕が出てきて、
 手招きをする。

 「こっち、こっち」

 「どうみても怪しいよ!」
 チカンちゃんが叫んだ。
 「よし、反対側に行きましょう」

 ドカンちゃんんが反対側に行こうとすると、右手の道の周辺から大量の白骨が這い出してきた。

 「お前は播磨から来たな~」 「播磨憎し、播磨憎し」

 白骨は口々にそう言ってドカンちゃんに襲いかかってくる。

 「ここはアメショに任すっしょ!みんなは先に行くっしょ! 」

 アメショが叫ぶ。

 「だめだよ!一人だけ置いていけないよ、みんなで戦おう!」

 ドカンちゃんがそう言った時である。
 左方の道から水にずぶ濡れになったデクノ坊が大量に走ってきた。

 「ぎゃーっ!」
 シアンちゃんが叫ぶ」

 「もうだめだー!」
 サバンちゃんが叫ぶ。

 「ダメでも諦めない! 最後まで戦うんです! いくよチカンちゃん!」
 
 そう言ってドカンちゃんは混紡をふりかざしたデクノ坊に突進していった。
 
 デクノ坊たちもまっすぐにドカンちゃんに向かって突進する。

 「よし、友情の……」
 ドカンちゃんとチカンちゃんが拳を振り上げた時、
 デクノ坊たちはドカンちゃんたちの横を通り過ぎて、大量の骸骨の群れに突進していき、
 混紡で骸骨たちを叩き割りはじめた。

 「え? え?」
 ドカンちゃんは驚いて周囲を見回す。

 「雨の代わりに天から槍が降ってくるよ」

 叫び声が聞こえると、天空から無数の槍が降ってきて、ドカンちゃんたちを追おうとする
 骸骨たちの前にザクザクザクッと刺さって道をふさいだ。

 「矢継ぎ早」

 声とともに横合いから無数の矢が飛んできて骸骨を突き刺す。

 「これはいったい!?」

 「ははははは! 霧山神宮の崇敬者とあらば、助けぬわけにはいくまい。
 我は天狐なり」
 
 すーっと天空から赤狐が降りてくる。

 「赤狐さん! 」
 ドカンちゃんは叫ぶ。

 「ここは我に任せてお前らは先に行け! 」

 「ありがとうございます!」

 ドカンちゃんたちは先に進んだ。
 山中で骸骨に襲われて懲りたドカンちゃんはそこから先は
 海沿いを目指した。
 国道10号線まで出て、そこから北上して小倉を目指す。
 そして、城井川にかかる橋を渡った時である。

 城井川の水が真っ赤に染まる。そいて鳴り響くホラ貝の音。

 真っ赤な池から何本もの赤い旗がせりだしてきた。
 川の中から赤い旗をもって甲冑を着たカッパが何匹も這い出してくる。
 
 「いずこの御家中か! 」

 鎧を着たカッパが叫ぶ。

 「あなたは誰ですか? 」

 「我ら海御前の家中なり」

 「え、ボクは家中とかないですけど、兵庫県の明石から来ました」

 「明石だと!越前松平の系譜だな! 松平は新田源氏の末裔! 許すマジ、源氏!」

 目を血走らせてカッパが叫ぶ。

 「マジ卍!」
 サバンちゃんが言い返す。

 「あんたは黙ってなさい!」
 シアンちゃんが突っ込みを入れる。

 「皆殺しだー!」

 一斉に鎧を着たカッパが襲いかかってくる。

 ガツン!
 
 鋭い音と共に数匹のカッパが吹っ飛ぶ。

 「ここはアタイに任せな!」

 出てきたのは精神注入棒を持った薩摩黒足だった。

 「アメショもここで戦うっしょ!」

 アメショが叫んでドカンちゃんの自転車の買い物かごから飛び降りる。

 「出でよ、神の軍隊! 」

 アメショが叫ぶと地面の中から鎧を着た骸骨がワラワらと這い出してきた。

 「我ら大友の軍なり! 我らは神と共に! 」
 骸骨たちは大友の旗印をかかげてカッパたちに襲いかかった。

 「薩摩黒足がいたら、ここは大丈夫っしょ!ドカンちゃんたちは先を急ぐっしょ! 」

 アメショが叫んだ。

 「うん、わかったよ! 」

 ドカンちゃんは先を急いだ。
 
 しかし、美夜古泉まで来たところで、いくらこいでも自転車が前に進まない。
 「いったいどうしたんだ! 」
 ドカンちゃんが叫ぶ。
 
 「こいつはぬりかべだ~」

 そう良いながらドカンちゃんの横を小さなシンガプーラの地霊、シンガがすりぬけていく。

 背中に担いだ長刀、蛍丸をツバのまま降ろし。小さな体で低い体制で、
 地表すれすれの場所で横ナギに振り抜いた。

 バシーン!

 何かに当たった音がした。

 「塗り壁は棒で足をなぎはらわなきゃ消えない。ここは私が露払いするから、
 ドカンちゃんたちは先に行くっちゃよ」

 そう良いながらシンガがドカンちゃんたちの先に進んで、
 蛍丸を横ナギにして、バシン! バシン!と
 目に見えない塗り壁を消していった。

 「ありがとうございます!ありがとうございます!
 こうやって、皆さんが助けてくれるおかげで、ボクは前に進めます! みんな大好きです!!!」

 そう言ってドカンちゃんは前に進んでいった。

 



 
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