111 / 113
三章
二十七話 千仏堂大開戦(前編)
しおりを挟む
ドカンちゃんは太宰府でお参りしたあと、まっすぐ東に向かった。
福岡県の霊山、英彦山にぜひとも登りたいとも思った。
東へ東へ進み、やっと英彦山の麓までたどりつた時だった。
「大変しょ!大変っしょ!」
目の前からアメリカンショートヘアーのアメショが走ってきた。
「え! いったいどうしたんですか!? 」
元々神戸にいるはずのアメショがこんなところにいたので、ドカンちゃんは驚いた。
「ドカンちゃんたちが心配で、フェリーに乗って小倉まで来たっしょ!
そうしたら、宮崎県のピクシーというお猫が、助けを求めに来たっしょ!
ガラマフィンのガラが、妖魔と和解しようとして酒持って話し合いに行ったら
捕まってしまったしょ!ドカンちゃんを差し出さないと、ガラを八つ裂きにするって
妖魔が言ってるっしょ!」
「えー!そうだったんですか?それでピクシーさんは?他のお猫たちに助けを
求めにいっているっしょ!」
「分かりました!それで、ガラさんはどこに居るんですか? 」
「平尾台に千仏堂っていう霊が集まる場所があるっしょ。そこに居るっしょ!」
「わかりました。一緒に行きましょう」
ドカンちゃんは英彦山に登るのを断念して先に進んだ。
少しでも最短距離を通ろうと、狭い県道32号線の峠道に入っていった。
途中で、「不法投棄禁止」と黄色い看板に赤い字で書かれた看板がある場所で
道が二手に分かれた。
「どっちかなあ」
ドカンちゃんが迷っていると、右手のほうから白い白骨の腕が出てきて、
手招きをする。
「こっち、こっち」
「どうみても怪しいよ!」
チカンちゃんが叫んだ。
「よし、反対側に行きましょう」
ドカンちゃんんが反対側に行こうとすると、右手の道の周辺から大量の白骨が這い出してきた。
「お前は播磨から来たな~」 「播磨憎し、播磨憎し」
白骨は口々にそう言ってドカンちゃんに襲いかかってくる。
「ここはアメショに任すっしょ!みんなは先に行くっしょ! 」
アメショが叫ぶ。
「だめだよ!一人だけ置いていけないよ、みんなで戦おう!」
ドカンちゃんがそう言った時である。
左方の道から水にずぶ濡れになったデクノ坊が大量に走ってきた。
「ぎゃーっ!」
シアンちゃんが叫ぶ」
「もうだめだー!」
サバンちゃんが叫ぶ。
「ダメでも諦めない! 最後まで戦うんです! いくよチカンちゃん!」
そう言ってドカンちゃんは混紡をふりかざしたデクノ坊に突進していった。
デクノ坊たちもまっすぐにドカンちゃんに向かって突進する。
「よし、友情の……」
ドカンちゃんとチカンちゃんが拳を振り上げた時、
デクノ坊たちはドカンちゃんたちの横を通り過ぎて、大量の骸骨の群れに突進していき、
混紡で骸骨たちを叩き割りはじめた。
「え? え?」
ドカンちゃんは驚いて周囲を見回す。
「雨の代わりに天から槍が降ってくるよ」
叫び声が聞こえると、天空から無数の槍が降ってきて、ドカンちゃんたちを追おうとする
骸骨たちの前にザクザクザクッと刺さって道をふさいだ。
「矢継ぎ早」
声とともに横合いから無数の矢が飛んできて骸骨を突き刺す。
「これはいったい!?」
「ははははは! 霧山神宮の崇敬者とあらば、助けぬわけにはいくまい。
我は天狐なり」
すーっと天空から赤狐が降りてくる。
「赤狐さん! 」
ドカンちゃんは叫ぶ。
「ここは我に任せてお前らは先に行け! 」
「ありがとうございます!」
ドカンちゃんたちは先に進んだ。
山中で骸骨に襲われて懲りたドカンちゃんはそこから先は
海沿いを目指した。
国道10号線まで出て、そこから北上して小倉を目指す。
そして、城井川にかかる橋を渡った時である。
城井川の水が真っ赤に染まる。そいて鳴り響くホラ貝の音。
真っ赤な池から何本もの赤い旗がせりだしてきた。
川の中から赤い旗をもって甲冑を着たカッパが何匹も這い出してくる。
「いずこの御家中か! 」
鎧を着たカッパが叫ぶ。
「あなたは誰ですか? 」
「我ら海御前の家中なり」
「え、ボクは家中とかないですけど、兵庫県の明石から来ました」
「明石だと!越前松平の系譜だな! 松平は新田源氏の末裔! 許すマジ、源氏!」
目を血走らせてカッパが叫ぶ。
「マジ卍!」
サバンちゃんが言い返す。
「あんたは黙ってなさい!」
シアンちゃんが突っ込みを入れる。
「皆殺しだー!」
一斉に鎧を着たカッパが襲いかかってくる。
ガツン!
鋭い音と共に数匹のカッパが吹っ飛ぶ。
「ここはアタイに任せな!」
出てきたのは精神注入棒を持った薩摩黒足だった。
「アメショもここで戦うっしょ!」
アメショが叫んでドカンちゃんの自転車の買い物かごから飛び降りる。
「出でよ、神の軍隊! 」
アメショが叫ぶと地面の中から鎧を着た骸骨がワラワらと這い出してきた。
「我ら大友の軍なり! 我らは神と共に! 」
骸骨たちは大友の旗印をかかげてカッパたちに襲いかかった。
「薩摩黒足がいたら、ここは大丈夫っしょ!ドカンちゃんたちは先を急ぐっしょ! 」
アメショが叫んだ。
「うん、わかったよ! 」
ドカンちゃんは先を急いだ。
しかし、美夜古泉まで来たところで、いくらこいでも自転車が前に進まない。
「いったいどうしたんだ! 」
ドカンちゃんが叫ぶ。
「こいつはぬりかべだ~」
そう良いながらドカンちゃんの横を小さなシンガプーラの地霊、シンガがすりぬけていく。
背中に担いだ長刀、蛍丸をツバのまま降ろし。小さな体で低い体制で、
地表すれすれの場所で横ナギに振り抜いた。
バシーン!
何かに当たった音がした。
「塗り壁は棒で足をなぎはらわなきゃ消えない。ここは私が露払いするから、
ドカンちゃんたちは先に行くっちゃよ」
そう良いながらシンガがドカンちゃんたちの先に進んで、
蛍丸を横ナギにして、バシン! バシン!と
目に見えない塗り壁を消していった。
「ありがとうございます!ありがとうございます!
こうやって、皆さんが助けてくれるおかげで、ボクは前に進めます! みんな大好きです!!!」
そう言ってドカンちゃんは前に進んでいった。
福岡県の霊山、英彦山にぜひとも登りたいとも思った。
東へ東へ進み、やっと英彦山の麓までたどりつた時だった。
「大変しょ!大変っしょ!」
目の前からアメリカンショートヘアーのアメショが走ってきた。
「え! いったいどうしたんですか!? 」
元々神戸にいるはずのアメショがこんなところにいたので、ドカンちゃんは驚いた。
「ドカンちゃんたちが心配で、フェリーに乗って小倉まで来たっしょ!
そうしたら、宮崎県のピクシーというお猫が、助けを求めに来たっしょ!
ガラマフィンのガラが、妖魔と和解しようとして酒持って話し合いに行ったら
捕まってしまったしょ!ドカンちゃんを差し出さないと、ガラを八つ裂きにするって
妖魔が言ってるっしょ!」
「えー!そうだったんですか?それでピクシーさんは?他のお猫たちに助けを
求めにいっているっしょ!」
「分かりました!それで、ガラさんはどこに居るんですか? 」
「平尾台に千仏堂っていう霊が集まる場所があるっしょ。そこに居るっしょ!」
「わかりました。一緒に行きましょう」
ドカンちゃんは英彦山に登るのを断念して先に進んだ。
少しでも最短距離を通ろうと、狭い県道32号線の峠道に入っていった。
途中で、「不法投棄禁止」と黄色い看板に赤い字で書かれた看板がある場所で
道が二手に分かれた。
「どっちかなあ」
ドカンちゃんが迷っていると、右手のほうから白い白骨の腕が出てきて、
手招きをする。
「こっち、こっち」
「どうみても怪しいよ!」
チカンちゃんが叫んだ。
「よし、反対側に行きましょう」
ドカンちゃんんが反対側に行こうとすると、右手の道の周辺から大量の白骨が這い出してきた。
「お前は播磨から来たな~」 「播磨憎し、播磨憎し」
白骨は口々にそう言ってドカンちゃんに襲いかかってくる。
「ここはアメショに任すっしょ!みんなは先に行くっしょ! 」
アメショが叫ぶ。
「だめだよ!一人だけ置いていけないよ、みんなで戦おう!」
ドカンちゃんがそう言った時である。
左方の道から水にずぶ濡れになったデクノ坊が大量に走ってきた。
「ぎゃーっ!」
シアンちゃんが叫ぶ」
「もうだめだー!」
サバンちゃんが叫ぶ。
「ダメでも諦めない! 最後まで戦うんです! いくよチカンちゃん!」
そう言ってドカンちゃんは混紡をふりかざしたデクノ坊に突進していった。
デクノ坊たちもまっすぐにドカンちゃんに向かって突進する。
「よし、友情の……」
ドカンちゃんとチカンちゃんが拳を振り上げた時、
デクノ坊たちはドカンちゃんたちの横を通り過ぎて、大量の骸骨の群れに突進していき、
混紡で骸骨たちを叩き割りはじめた。
「え? え?」
ドカンちゃんは驚いて周囲を見回す。
「雨の代わりに天から槍が降ってくるよ」
叫び声が聞こえると、天空から無数の槍が降ってきて、ドカンちゃんたちを追おうとする
骸骨たちの前にザクザクザクッと刺さって道をふさいだ。
「矢継ぎ早」
声とともに横合いから無数の矢が飛んできて骸骨を突き刺す。
「これはいったい!?」
「ははははは! 霧山神宮の崇敬者とあらば、助けぬわけにはいくまい。
我は天狐なり」
すーっと天空から赤狐が降りてくる。
「赤狐さん! 」
ドカンちゃんは叫ぶ。
「ここは我に任せてお前らは先に行け! 」
「ありがとうございます!」
ドカンちゃんたちは先に進んだ。
山中で骸骨に襲われて懲りたドカンちゃんはそこから先は
海沿いを目指した。
国道10号線まで出て、そこから北上して小倉を目指す。
そして、城井川にかかる橋を渡った時である。
城井川の水が真っ赤に染まる。そいて鳴り響くホラ貝の音。
真っ赤な池から何本もの赤い旗がせりだしてきた。
川の中から赤い旗をもって甲冑を着たカッパが何匹も這い出してくる。
「いずこの御家中か! 」
鎧を着たカッパが叫ぶ。
「あなたは誰ですか? 」
「我ら海御前の家中なり」
「え、ボクは家中とかないですけど、兵庫県の明石から来ました」
「明石だと!越前松平の系譜だな! 松平は新田源氏の末裔! 許すマジ、源氏!」
目を血走らせてカッパが叫ぶ。
「マジ卍!」
サバンちゃんが言い返す。
「あんたは黙ってなさい!」
シアンちゃんが突っ込みを入れる。
「皆殺しだー!」
一斉に鎧を着たカッパが襲いかかってくる。
ガツン!
鋭い音と共に数匹のカッパが吹っ飛ぶ。
「ここはアタイに任せな!」
出てきたのは精神注入棒を持った薩摩黒足だった。
「アメショもここで戦うっしょ!」
アメショが叫んでドカンちゃんの自転車の買い物かごから飛び降りる。
「出でよ、神の軍隊! 」
アメショが叫ぶと地面の中から鎧を着た骸骨がワラワらと這い出してきた。
「我ら大友の軍なり! 我らは神と共に! 」
骸骨たちは大友の旗印をかかげてカッパたちに襲いかかった。
「薩摩黒足がいたら、ここは大丈夫っしょ!ドカンちゃんたちは先を急ぐっしょ! 」
アメショが叫んだ。
「うん、わかったよ! 」
ドカンちゃんは先を急いだ。
しかし、美夜古泉まで来たところで、いくらこいでも自転車が前に進まない。
「いったいどうしたんだ! 」
ドカンちゃんが叫ぶ。
「こいつはぬりかべだ~」
そう良いながらドカンちゃんの横を小さなシンガプーラの地霊、シンガがすりぬけていく。
背中に担いだ長刀、蛍丸をツバのまま降ろし。小さな体で低い体制で、
地表すれすれの場所で横ナギに振り抜いた。
バシーン!
何かに当たった音がした。
「塗り壁は棒で足をなぎはらわなきゃ消えない。ここは私が露払いするから、
ドカンちゃんたちは先に行くっちゃよ」
そう良いながらシンガがドカンちゃんたちの先に進んで、
蛍丸を横ナギにして、バシン! バシン!と
目に見えない塗り壁を消していった。
「ありがとうございます!ありがとうございます!
こうやって、皆さんが助けてくれるおかげで、ボクは前に進めます! みんな大好きです!!!」
そう言ってドカンちゃんは前に進んでいった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
火輪の花嫁 ~男装姫は孤高の王の夢をみる~
秦朱音|はたあかね
キャラ文芸
王を中心に五家が支配する、綺羅ノ国。
五家に覡(かんなぎ)として仕える十六夜家の娘、久遠(くおん)は、幼い頃から男として育てられてきた。
都では陽を司る日紫喜家の王が崩御し、素行の悪さで有名な新王・燦(さん)が即位する。燦の后選びに戦々恐々とする五家だったが、燦は十六夜家の才である「夢見」を聞いて后を選ぶと言い始めた。そして、その夢見を行う覡に、燦は男装した久遠を指名する。
見習いの僕がこの国の后を選ぶなんて、荷が重すぎる――!
久遠の苦悩を知ってか知らずか、燦は強引に久遠を寝室に呼んで夢見を命じる。しかし、初めて出会ったはずの久遠と燦の夢には、とある共通点があって――?
謎に包まれた過去を持ち身分を隠す男装姫と、孤独な王の恋と因縁を描く、和風王宮ファンタジー。
※カクヨムにも先行で投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる