ねこのフレンズ

楠乃小玉

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十一話 二人は友達とっても仲良し

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 「どうしよう」
 ドカンちゃんは家に帰ってきて思った。
 とにかく、今月貰った三万円は大事に使ってお花を買おう。
 でも、インターネットだと送料がかかってすぐ無くなってしまう。
 
 ドカンちゃんは今まで自分が楽をしてきたと思った。
 もっと、少しでも、安い値段でお花が買えるようにしないと、
 木戸さんの大切なお金なのだ。

 それにしても、少しでも早く、猫専用マンション、ねこのフレンズが
 完成するよう知恵を絞りたい。

 「二百万……うーん二百万……ドカンちゃんにとっては途方もない金額だ」
 スマホを取り出すドカンちゃん。
 なにか、適当に検索してみる。
 クラウドファウンディングっていうのが出てきた。でも、これはもっと
 本格的な大人がやるもので、ドカンちゃんが意見を送っても相手に
 されないようにも思った。
 「まあ、いいや」
 ドカンちゃんはクラウドファウンディングのスタッフに自分の現状、相談する
 内容を送った。
 
 ダメで元々、ダメならそれでいい。

 「さて、お花が売っているお店を回って安くてかわいいお花を探すぞ!」
 ドカンちゃんは決意を決めて自転車で家を出た。
 「ちょっと待ちな相棒!オイラを忘れちゃいけねえぜ!」
 外ではチカンちゃんが待っていた。
 「うわっ、一緒に行ってくれるの?」
 「もちのロンだぜ!」
 チカンちゃんはグッドサインをした。
 
 ドカンちゃんは自転車の前カゴの中にチカンちゃんを入れて
 自転車をこぐ。
 
 急に心の中に黒い雲がわきあがってくる。

 「このゴミどもめ、お前らお人好しを騙して
 骨の髄までしゃぶってなぶり殺しにしてやるぜ!」

 頭の中にどす黒い銀行員の嘲笑する姿が浮かんだ。

 「だめだ!だめだ!だめだ!」

 ドカンちゃんは心の闇を払拭するように強くペダルを踏む。

 「ドカンちゃん!楽しい事を考えるんだよ!
 チャンネルを変えるのだ!悪魔とチャンネルをあわせちゃだめ!」
 チカンちゃんが叫んだ。
 
 「分かった!」
 ドカンちゃんが頷く。

 「うんちゃら、うちゃうちゃ、うんちゃらうちゃうちゃ、二人ニニン
 がチカン、うんちゃらうちゃうちゃ、うんちゃらうちゃうちゃニシンがドカンちゃん!」
  チカンちゃんが歌いだした。
 
 「西へ~行くんだうちゃらうちゃうちゃうー!西にーはあるんだ花園が~」
 ドカンちゃんも歌い出した。
 「ごー!ごー!ウエスト!うんちゃらうちゃうちゃうー!二人は友達とっても仲良し、
 西へ~むかうぞ、うんちゃらうちゃうちゃうー!」
 二人は声を合わせて歌った。

 ドカンちゃんの心がどんどん晴れていった。
 「やったー!きもっちいー!」
 ドカンちゃんは叫んだ。
 「その調子だよー!」
 自転車の前カゴを掴んでチカンちゃんがゆっさゆっさ揺すった。
 ずっと国道二号線を自転車で走っていると、明石川が見える。
 「明石川を越えてゆけー!」
 チカンちゃんが叫ぶ。
 「いっくよー!ドカドカナース!ドカドカナース!姐さん六角ドカ、ドカナース!」
 叫びながら活きよいよくペダルをこぐドカンちゃん。
 明石川の大観橋を越えていくと川の中に黒い鯉が泳いでいた。
 「うわー、おっきい鯉!」
 ドカンちゃんは喜んで声をあげた。
 「おっきいね!おっきいね!」
 チカンちゃんが喜んで自転車のカゴの中でぴょんぴょん跳ねた。
 川の中の景色に気付いたのはいつ以来だろう。
 いままでずっと、川を見ても、飛び込みたいとしか思わなかった。
 その気持ちを必死で抑えるので精一杯だった。
 電車でも、いつも、発作的に自分が飛び込まないよう
 自分の気持ちを抑えるので必死だった。
 だから、電車は嫌いだった。
 それが、こんなに水面が美しいなんて。
 川の中にこんな大きな黒い鯉が居ただなんて、知らなかった。
 ドカンちゃんは嬉しくなった。

 
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