ねこのフレンズ

楠乃小玉

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十六話 いまから銀行に火をつけて皆殺しにしてくる

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 「あんた、うちの銀行なめてんの?」
 「いえ、そんな事は……」
 
 ドカンちゃんが木戸さんの家の前まで行くと、木戸さんが
 ペコペコと若いサラリーマンに頭をさげていた。
 サラリーマンは小馬鹿にしたような表情で上から目線で、
 自分よりずっと年上の木戸さんを罵倒し続けていた。

 「だって、あんた、あんたの親の計画の時、
 もう契約書にサインしているのに、邪魔しようとしただろ」
 「でも、借金の金額は5千万、それに対して退職金2千万現金、
 建てる場所の土地6千万、もう一つの土地7千万、自宅の土地7千万を
 全て担保に入れるなんておかしいでしょ」
 「あんたの親が土下座して、全部担保にいれてくれっていったんだよ
 こっちは行政書士も同行して承認もいる、
 なんなら、裁判でもするか、
 お前らみたいな一般人のゴミが、俺ら大企業に勝てるとおもってんの?
 俺は一流大学出たエリートだよ、わかってんのかおい」
 銀行員は小馬鹿にしたように木戸さんを嘲笑した。
 「なとか自宅の担保だけでも外してもらえませんか」
 「無理、てえか、お前ら生意気だから潰すから、
 お前さ、親父の借金、会社法人にしたよね、会社法人では
 相続税対策できねえから」
 「え?それじゃ」
 「そうだよ、お前の親父が死んだら、お前の家も財産も貯金も、ぜーんぶ、
 うちの銀行のものなんだよ、最初からそれを狙って、わざと法人にしたから、ぶげら」
 「そんあ、そんなの犯罪じゃないですか!」
 「犯罪じゃないね、だって、同意の判子押したんだから」
 「でも法人にしたら相続税対策にならないなんて、
 聞いてません」
 「聞かせるわけねえじゃん、最初からお前ら皆殺しにするつもりだったんだからよお、
 ゲラゲラ」


 注意※
 <ここの項目、全力で拡散希望>

 賃貸マンションを建てる理由の第一が相続税対策だそうです。
 このとき、悪徳銀行は、借金を法人でやったほうが節税効果があるとウソを
 いってきます。
 しかし、法人にすると、相続税対象とならず、相続税を払いきれなくなって、
 土地建物、実家はすべて銀行の担保に取られていて、全財産を
 失うことになります。
 だから、絶対、私の父のように借金を法人でやってはいけません。
 あと、アパートを建てるかどうかの会社選びの基準は
 外壁を30年間メンテナンスしなくでいいかどうか。
 それをまず聞いてください。
 あと、ローンを三十年で組めるかどうか。
 三十年で組んだとき、三十年間
 一括かりあげかどうか。
 この条件をクリアしなければ、絶対賃貸住宅の契約は結んではなりません。
 すべての財産を銀行に奪われます。


 「死ね、ゴミが!ペッ」
 銀行員は木戸さんにツバを吐きかけて去っていった。
 木戸さんはワナワナと震えながら家に入っていった。
 
 木戸さんが灯油の缶をもって家から出てくる。
 「ちょ!何するつもりですか、木戸さん!!!」
 
 ドカンちゃんは慌てて木戸さんに走り寄る。
 「いまから銀行に火をつけて皆殺しにしてくる」
 「そんな事したら、木戸さん死刑になっちゃいますよ!」
 「死刑になってもいい、これ以上、善良な人達が犠牲にならないなら……」
 木戸さんはその場に崩れ落ちて、ポロポロと涙を流した。
  ドカンちゃんは周囲を見回す。
 「あ、チカンちゃん、どうしたらいい?」
 「わかんないけど、とにかく知恵の神様に聞いてみようよ」
 「知恵の神様?」
 「うん、三行電車の南側に天神様があるでしょ、あそのこ神様に
 きいてみよう!」
 「うん、そうだね、一緒にいこう、ね、行きましょう、木戸さん
 放火するのはそれからもでいいから」
 「はい……」
 木戸さんは足をガクガクふるわせながら、必死に立ち上がった。
 天神様に行くと、チカンちゃんは神社のご本殿ではなく、
 その向かって右側の石垣で入れないところに行った。
 「ねえ出てきてよ、こまってるんだよ!」
 チカンちゃんが叫ぶ。
 社殿の向かって右側に長細い石がある。
 その裏から真っ黒い猫がのっそりと出てきた。
 すごくスマートな真っ黒い猫だ。
 「なんだね?」
 「木戸さんが銀行に騙されて、破滅させられるから
 今から銀行にガソリンを撒いて放火しに行くんだって!」
  
 「……そんな事をしてはならぬ」

 「じゃあ、どうしたらいいの?」 

 「木戸にはまだ余力がある。自分名義の土地があるだろう」

 「でも、銀行が意地悪してお金を貸してくれないし、
 頭金の200万がなきと、ねこのフレンズのマンションが
 たてられないんだ」
 
 「冷静になりなさい。放火とか
 愚かな事はするな、巻き添えで無実の人が死ぬ」
 
 「どうすればいいの?」

 「一番良い方法は、ねこのフレンズを諦めることだ。
 人間は追い詰められた時ほど大ばくちに出ようとする。
 かつて武田信玄の資産を受け継いだ武田勝頼は、大ばくちに出て
 織田信長に戦いを挑んだ。そして大敗したあと、何度も信長に
 詫びを入れ、救いを請うた。しかし雌雄を決してからではダメなのだ。
 信長と戦う前に信長の配下になっていればよかった。ならば、
 桶狭間の合戦後、信長の配下になった徳川家康のように生き延びる手もあった。
 今なら、木戸の自宅や資産を売って、借金を返すこともできよう」

 「そんな事できないよ!ねこのフレンズはみんなの夢なんだよ!」
 チカンちゃんはピョンピョン跳ねながら叫んだ。

 「ならば好きにするがよい」
 そう言って黒い猫は霧のように消えた。
 
 黒い猫の言葉を聞いたチカンちゃんはそれを木戸さんに伝えた。
 木戸さんは目からポロポロ涙を流した。
 「うん、がんばってみるよ」
 木戸さんはそう言った。
 「放火はしないですよね!約束してください」
 ドカンちゃんが木戸さんをなだめた。
 
 「うん……これからも銀行員に嫌がらせされるかもしれないけど
 できるかぎり我慢するよ」
 木戸さんは体を小刻みに震わせながらそう答えた。


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