猫の国(オッサンが異世界転生したら、そこは猫の国でした)

楠乃小玉

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四十話 ヴァンパイア

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 パロ・ドゥアロ キャニオンの近くに行くと、コヨーテの集団が野営していた
 彼らは野営しながらミノタウロスを狩って生活しているようだった。

 吸血鬼について聞いてみた。

 「吸血鬼なら灯台城にいるよ。あいつ、そんなに悪い奴だとは思えないんだけど。

 吸血鬼のシモベになったら魔法攻受けても死なない不思議な力を与えてくれるって言ってた。
 
 ここに定住するのがイヤだから断ったけどさ。断っても別に何もしてこなかったよ」

 彼らは気さくで、そんな情報を教えてくれた。

 情報を提供してくれたお礼に食べ物と水をあげようとするとコヨーテは断った。

 「君らこれからもっと旅をするんだろ。途中で食べるものが無くなったらいけないから、いらない」

 自分達より俺たちの事を考えてくれる。

 俺はちょっとウルッときた。

 灯台城までの道は、わりと整備されていて、近くまで幌馬車で行くことができた。

 灯台城がすぐ近くに見える場所で幌馬車で行って、
 そこから小高い丘を歩いて登っていく。

 城の前まで来ると、コウモリがパタパタと俺たちも周囲を飛び回り、城の中に入っていった。

 そして、城の城門が開く。

 俺たちはその中に入っていく。

 別に何かモンスターが攻撃してくるわけではない。

 ただ、コウモリが俺たちにまとわりつき、俺たちのすぐ前を飛び回っている。

 どうやら導いているようだった。

 コウモリについていくと、城の奥の王座にバンパイアが座っていた。

 「ようこそ我が城へ。今日は何の御用かな。私のシモベになるなら頼もしいことだ。

 永遠の命を与えよう」

 「悪いね、仕事を請け負ってね、ここを立ち退いてくれないか」

 「人の所有物の城に乗り込んできて、いったい何の権利があって立ち退けというのかね。
 立ち退いたとして、新しく住むところを斡旋してくれるのかね。この城は買い取ってくれるのか」

 「それはできない。お前はかなり村人たちから嫌われているよ、よほど悪いことをしたんだろうね」

 「何もしていないさ、ただ、永遠の命を与えて人々を幸せにしてやっただけさ。
  君たちも永遠の命をあげようか。ほしいならいくらでもあげるよ」

 「いらないね、きっと何か裏があるにちがいないし」

 「やれやれ、物わかりの悪い人達だ。そういう用件ならすぐに帰ってくれ」

 「イヤだと言ったら? 」

 「ふふふ……ならば死ね! 」
 
 そう言ってバンパイアが両手を広げると城の奥から大勢のゾンビが這い出してきた。

 コヨーテやワイルドキャット、ゴリラ、リザードマンなどの半分腐敗したゾンビが
 悪臭を放ちながらノソノソとこちらに歩いてくる。

 「うわっ、こいつらを殴ったらウイルスが感染するから殴れないよ、どうしよう」

 チカンちゃんが言った。

 「チカンちゃんとドカンちゃんは下がっていて。

  ボクとクーガーでなんとかする」

 「おい、タケ、お前の背中に背負ってる長物のピースメーカーを貸してくれねえか。
 手で殴るとヤバイんでな、棒で殴るよ。どうせ使わないだろ」

 「いいよ」

 俺は背中に担いでいる魔法増幅棒のピースメーカーをクーガーに投げ渡した。

 「ドラゴンブレス」

 手始めに俺は炎を吐いてゾンビたちを焼き払う。

 しかし、ゾンビは熱さを感じないのか、燃えながらこちらに進んでくる。

 まずいな、魔法で対処できない。

 「うおおおおおー!」

 クーガーが前に進んでゾンビの頭を一つずつ殴り倒す。
 
 頭を殴られて吹き飛ばされると、ゾンビはその場に倒れた。

 「これが永遠の命ってやつか、ぞっとしないね」

 俺は言った。

 「褒めていただいてありがとう」

 ヴァンパイアはニヤリと笑う。

 それにしてもクーガーが居てくれて助かった。
 
 クーガーは次々とゾンビを倒していく。

 いずれゾンビの手駒の居なくなる。


 「ふふふ、それで勝ったつもりかね、君たちは私達の幸福な生活を乱しに来た。

 それは、君たちも同じ目にあってもしかたないということだ。

 君たちに最高の絶望を与えるとしよう」

 ヴァンパイアはそういうと背中からコウモリの翼を出し、空に飛び立った。

 そして、一直線にドカンちゃんに突進してくる。

 「そこのガキ二匹をゾンビにしてやろう」

 ドカンちゃんは立ち止まったまま、背中のランドセルから竹定規を引き抜く。

 そのままドカンちゃんは微動だにしない。

 「どうした、恐ろしくてうごけないのかね」

 ヴァンパイアはドカンちゃんに襲いかかる。

 「円月斬! 」
 
 ドカンちゃんは叫びながら竹定規を降る。
 
 ヴァンパイアの首が吹っ飛ぶ。

 「ははははは、これで私を倒したとでも思っているのかい。
 私は不死の存在。いくらでも戦える、お前らの体力が尽きるまで
 戦いつづけてやるさ」

 切り飛ばされたヴァンパイアの首は笑った。
 
 その髪の毛をクーガーがムンズと掴む。

 そして、思いっきり城の外にブウンと投げ飛ばした。

 「う、あ、ちょっと、やめろおおおおおー!」

 ヴァンパイアの首は遠くに飛ばされていった。

 「さて、首が帰ってくる前にヴァンパイアの宝物をあらかた取っていこうぜ」

 俺はみんなに言った。

 「えーそんな事していいんですか?」

 ドカンちゃんが不審そうな顔をする。

 「いいんだよ、どうせ村人から奪ったものなんだから、持って帰って、返さないと」

 「あ、そうか、そうですね」

 俺たちは灯台城の宝物をあらかた持ち出して幌馬車に積み込んだ。

 中でも一番の掘り出し物はUVカットのヴァンパイアマントだった。

 「うお、これいい!直射日光を遮断して涼しいぞ。このテキサコじゃ、重宝するよ! 」

 俺は嬉しい宝物を手に入れてテンションがあがった。

 俺たちは灯台城を出て、かなり距離の距離離れる。
 
 その時、ごま粒みたいに小さく、ヴァンパイアの首が城に飛んで帰ってくるのが見えた。

 「よし、今まで使いたかったけど使えなかったやつを使おう」

 俺は灯台城に向かって手をかざす。


 「メテオクラッシャー! 」

 キュイーン

 空から甲高い音がする。

 灼熱の炎に焦がされながら隕石が落ちてくる。

 かなり手加減したから大きさにしてスイカくらいの隕石だ。

 ズッドーン!

 隕石は灯台城に激突して地響きが鳴り響く。
 
 灯台城はヴァンパイアとともに粉々に砕け散った。

 たぶん、ヴァンパイアは粉末になっているだろう。

 ちょっとやり過ぎた。

 シルバートーンのギルドに帰り、ヴァンパイアの城で手に入れた宝物を
 ギルドに渡した。

 ゴリラはまさか勝てると思っていなかったのか、唖然としていた。

 「じつは……報酬はここには無いんだ」

 ゴリラは言った。

 「えーっ!」

 「約束手形を発行するので、近隣の大都市アマリロの銀行で換金できる」
 
 それか、首都オースティンまで来てくれれば、英雄として名誉勲章とミスリルプレイとを差し上げよう。」

 「え~、そんな遠くまで行くのダルいからいいです」

 「それは、ちょっと困ったことがある」

 「何ですか?」

 「ここのギルドで発行できるのはウーツプレートまでなんだ。そんな大手柄を立てる者が
 来るとは想定していなくてね。今まででもウーツプレートをここで取った者は誰もいない。
 君たちが初めてになる」

 「いいですよウーツで。ウーツプレートは波状のウネウネした模様が入っていて格好いいからスキだし」

 「わかった、君たち四人分のウーツプレートを用意しよう」

 「ありがとうございます」

 これで、俺たちは、今までよりちょっと上のクラスの依頼を受けられるようになった。

 賞金はたんまり入ったのでこれからお金で苦労することはない。

 まさにウハウハだ。

 このまま大金を手にして田舎でスローライフもいいかな~などと漠然と考える俺だった。
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