平凡なサラリーマンのオレが異世界最強になってしまった件について

楠乃小玉

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25話 ミルセラ

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 馬車に乗ってシャンティーリーを迎えに行き、歩いてタッカークーラーのあぜ道を歩いている
 のを見つけ、スリーリングスの自宅に帰ってきた。

 家の前に体中に返り血を浴びたボンベイが座り込んでいた。

 「ああ、生きていてくれたか、ありがとう。家に鍵がかかってたんだね。すぐ開けるよ」

 「……」

 ボンベイは下を向いて何もしゃべらない。

 「申し訳ない。ボンベイを一人にしてしまった」

 「……また……怒り狂ってしまった。恥ずかしい、挑発されたとはいえ……心が苦しい」

 「大丈夫」

 「気軽に言うな!どれだけ苦しいか分かってるのか!」

 「ごめん」

 「いえ、すいません、私の責任です」

 「そうじゃない」

 「そうです」

 「とにかく家に洗って体を洗いなさい」

 「はい」

 オレはボンベイを家に入れた。

 家には風呂は一つしかないので、みんなに先に入るように言ったが、
 みんなはオレに先に入れと言った。

 それでも、俺はすこしボーっとしていたいんだと言って、
 とにかく無理矢理に女の子たちを先に風呂に入れさせた。

 「ふーっ」

 とりあえず、アメリカンカールと茶虎は命を取り留めたようでよかった。
 ミルセラの判断がよかった。

 あそこで長居させていたら、感染症で死んでいたかもしれない。

 ああ……ミルセラ。

 どうなっちまったのか。

 あんな、サラミみたいに刻み肉にされちまったら、誰が誰かわからない。

  だが、ミルセラほどの人物がそう簡単にやられたとは思えない。
 
 こちらに戻って来た女の子たちの精神状態を見つつ、もう一度、探索に行きたい。

 ただ、今森に行くと、伝染病を媒介する森の精が大量に湧いていることだろう。

 何らかの魔法防御がなければ森には入れない。

 こちらに戻ってきている女の子たちの精神的ケアもしっかりしておかないと。

 ボンベイがオレに対して怒鳴ってくれたことは、とても嬉しかった。

 オレに怒りをぶつけることで、少しでも心が楽になるなら、どんどんやってほしい。

 でも彼女は節度があるので、なかなかそこまでいかない。

 我慢して、我慢して自分を抑制してしまうから爆発してしまうのだ。

 彼女の怒りの歴史は、おそらく彼女に対する世間の侮蔑やイジメの蓄積だ。

 不条理にイジメる人間は常に集団である。

 自分は安全な場所に居て、匿名で集団で面白半分に立場の弱い人間を

 ネチネチイジメ続ける。

 そして、弱い側が抵抗すると、「自分たちは被害者だ」「あいつに攻撃された」

 とウソをいう。

 自分一人では何にもできないクズの集まり。

 イジメられる側は常に一人だ。

 集団になって集まって、イジメられたとか被害者だとか言ってる連中はたいがい、加害者なんだ。

 オレはそう思っている。

 だから、オレ一人でも汚い顔のない集団からボンベイを守ってあげなければならない。

 オレにだったら、どんな怒りも罵倒もぶつけてくれていいから。

 オレの実家で昔、猫を飼っていた。

 世間の人は猫はみんな気まぐれだと言うが、そんな事はない。

 気まぐれな子もいるし、内気な子もいる。親切な子もいるし、やさしい子もいる。

 それぞれ個性がある。

 そして、猫と暮らす場合は常に相手を見ていなければならない。

 こちらの感情の一方的押し付けになってはならない。

 よく猫が噛んだり、引っかいたりすることを、この子は猫でわがままだからだと
 失笑している人がいるけど、それは違う。

 噛んだり、引っかいたりする時の表情で、ただ単にイタズラしてる子、
 怒っている子、ストレスが溜まっている子の見極めをする必要がある。

 トイレは汚れていないか、寝ているのに起こしてないか、相手が

 嫌がっているのに触りすぎていないか。

 猫が耳を逆向きにしている時は、機嫌が悪い時だし、尻尾を下に垂らして
 振っているときはイライラしている時だ。

 そういう時はなぜ、そうさせてしまったか、飼い主が反省して
 原因を探らなければならない。

 そうしないと猫ちゃんはストレスが溜まって、その寿命を縮めてしまう。

 つねに相手を見、その反応を知り、話を聞く。

 相手にこちらの感情を押し付けるのではなく、

 相手の立場を優先する。

 相手を尊重する。

 そうしないと、大切な人生の相棒を早く失うこととなる。

 オレの実家で飼っていた子はすでに年老いて死んでいった。

 15年生きてくれた。

 オレがあちらの世界からいなくなる前に天国に行ってくれて助かった。

 オレがいなくなったら、あいつはきっと悲しんだだろう。

 猫は死ぬ間際姿を消すとよくいうけど、うちの子は
 俺の近くで眠るように死んでくれた。
 
 ここの女の子たちに対しても、

 常に相手の気持ちを考えて、相手の態度を観察しなければならない。

 オソロシアはすぐに抱き着いてくるので、抱っこしてあげてもいいが、
 距離を置いている子に気軽に触ってはならない。

 特に黒足猫は相手と一定の距離をおきたがるので、触ってはならない。

 こちらが愛情のつもりでも、向こうには過度のストレスになる。

 どこまで距離を詰めるか、相手が怒って来た時にどこまで言い返すか、

 頭をなでるか、肩に手をあてていいか、悪いか、

 相手をいたわるつもりで、相手にストレスを与えてはならない。

 相手の様子を見て、少しでも不快そうなら、さっと身を引く。

 常に、一人一人に気をくばっていかねばならない。

 女の子たちは、一人一人違うのだから。


 そうだ、オソロシアと黒足猫を探しにいかないと。

 森の精霊が湧く前に助け出さないといけない。

 オレが家を出ようとするとボンベイが前に立ちはだかった。

 「私も行きます」

 「ボンベイはまだ疲れているから休んでいなさい」

 「あなたはスリーリング方面からタキクラーに行く道を知らないでしょ。森で迷ったら
 腐った肉の近くに沸く森の精霊の餌食になる」


 「苦労を掛けて申し訳ない」

 オレは頭をさげた。

 「気にしないでください、私の義務です」

 「私も行く」

 シャンティーリーが部屋の奥から出てきた。

 「あ!」

 オレは驚いた。

 あんなに自慢にしていて彼女の誇りだった金髪をバッサリ切っていたのだ。


 「その髪の毛」

 「まあな」

 何故切ったかシャンティーリーは言わなかった。

 だから、オレもそれ以上詮索しなかった。

 「ボクもいくよ!」

 アメショが部屋の奥から飛び出してきた。

 「アメショはいい子だなあ」

 そう言うとアメショはトコトコとオレに付かづいてきて。

 オレの足の太ももに体をこすりつけた。

 これは子猫が親猫に甘える仕草だ。

 オレはアメショの頭をなでてあげた。

 「えへへ」

 アメショは喜んだ。

 ボンベイの案内で、イデラー池の横の狭い道を通り、ヒバラーチャーチの横を抜けてしばらく行くと、

 少し大きな道に出た。

 ボンベイについてきてもらってよかった。

 こんな脇道、オレだとわからなかった。

 この太い道は

 駅馬車のマキムク駅の前から続いているらしい。

 その道を道なりにずっと山の上まで登っていくと、
 カサヤマワイルドチャーチに出くわした。

 そこではシスターたちが負傷した兵士たちを看病していた。

 そこにそこでオソロシアは座り込んでいた。

 頭に包帯が巻かれており、血がにじんでいた。

 「おう!」

 オレを見つけるとオソロシアは気楽に手をあげた。

 「オソロシア!」

 オレはオソロシアに走り寄った。

 「帰りが遅くなって悪かったな、オレと黒足猫がシンガリを務めてたんだ」

 「そうだ、黒足猫は?」

 「近所のカフェテリアで蕎麦食ってる」

 「またかよ」

 「相変わらずだな、ははは」

 「ミルセラ様は?」

 「わからねえ」

 オソロシアは表情を曇らせ、クビを横に振った。

 そのあと、俺達は近所にある太陽の女神の元宮という小さなお宮にお参りしたあと、
 カフェテリアによって、苦労をかけた女の子たち全員に食事を御馳走した。

 そして黒足猫をひろって、みんなで家に帰ることにした。

 全員は馬車に乗れなかったので、オレが馬車を降りて、みんなで帰らせた。

 ボンベイとオソロシアは気をつかって、自分が降りると言ってきたが、
 オレは考え事をしながら歩いて帰りたいと言ったので、
 二人はそのまま馬車に乗って帰った。

 本当に大変な目に合わせたのだ、こんな時くらい、部下に少しでも楽をさせたい。

 オレは、まだ帰ってこない牛魔王女や耳梨送雀の事も気になっていた。

 赤羊主を死なせてしまったことは本当に申し訳ないと思っている。 

 アメリカンカールと茶虎が収容されている病院はチェリーブロッサムウイルの駅馬車駅がある場所の
 南西、アベー地域だった。

 病院はその地域に固まっているがミルセラは収容されていなかった。

 あちこち病院を探したがミルセラは居なかった。

 家に帰ると耳梨送雀がいた。

 「おお、生きてたか」

 「探したよ、ここに住んでたんだな」

 「ああ、牛魔王女は無事か」

 「なんとかね、負傷した瀕死のミルセラを担いでタキクラーから逃げてきた。
 剣をもった小さい金色のバケモノに襲われてな。酷い目にあったよ」

 「ミルセラ様は生きているのか!ぜひ会いたい。案内してくれ」

 いいよ。

 ミルセラが収容されているのはマキムクの北にある大きな病院だった。

 タキクラーから西に逃げてきて一番近い病院に収容したらしい。

 病室に案内されるとミルセラがベットの上で寝ていた。

 横に牛魔王女がいた。

 「おお、タケシか、赤羊主は?」

 「申し訳ない、戦死した」

 「そうか」

 牛魔王女は目を伏せた。

 「武家の習いだ。仕方がない」

 オレの後ろから送雀が言った。

 「ミルセラ様よく生きておられましたね。ヒーリングの薬をもらってきましょう」

 オレがそう言うとミルセラは悲し気にクビを横に振った。

 「無駄だ、もう一生治らない」

 「どういうことですか」

 「タケシは金色の剣を持った小さなバケモノを見たか」

 「はい見ました」

 「あれが持っている剣は恐ろしい。私は切られても一瞬で自己修復する自己回復機能の
 魔法を持っているが、あいつの剣は、一旦、私の体の中にある魔法の導線を寸断したあと、
 勝手に修復し、魔法導線を無茶苦茶につなぎあわせて、体の中で魔法が機能しないようにしてしまう。
 今、こうやって生きているのが不思議なくらいだ。
 ヒールの魔法をかけたら、おそらく、また傷口から血が噴き出す。

 糸で縫い合わせ、自然治癒するまで待つしかない。

 しかし、体が回復しても、もう私は軍には戻れない。
 魔法を使用すると、今度は体のどこから血を噴き出すかもわからないからだ。
 お前を誘い出しておいて、私だけ脱落してしまい、申し訳ない」

 「いいえ、祖国ヤマトのために戦えて光栄です」

 「ヤマトを祖国と言ってくれるか、ありがたい」

 「いえ、こちらこそ」

 「送雀ご苦労だった。あとのミルセラの看病はお前がやってくれ。私はタケシと一緒に
 戦線に復帰するよ」

 牛魔王女が言った。

 「うむ、龍公女と赤羊主の仇をとってくれ」

 送雀がいった。

 オレと牛魔王女は病院を出た。



 
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