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オロチン

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「ケンジさんもヤマトさんも落ち着いてください!二人とも何をやってるんですか!!」

レイバンさんの声が部屋に響くと2人の睨み合いにより震えていた部屋の揺れが収まり2人はバツが悪そうに顔を背けた。

「...わりぃー。」

「...悪かった。」

「僕の方こそ大きな声を出してすいませんでした。」

ケンジとヤマトさんが一言謝るとレイバンさんはそう言った。

「あっそういえばレイバンさんはなんでここに来たんですか?」

僕は空気を変えようと先程不思議に思ったことをレイバンさんに尋ねるとレイバンさんはこう答えた。

「ともやさんとヤマトさんに伝えておきたいことがあってきたんです。実はともやさんが怪我をした原因は僕なんです。」

「えっ?」

驚いてレイバンさんの顔をじっと見つめると彼は申し訳なさそうな顔をしながらそのまま話し続けた。

「実はクロノ先生の指示で僕はともやさんのことを観察していたんです。元々一緒に行くことは決まっていたのでホントは僕が隣に居ながらともやさんの戦闘力や思考を分析するはずだったんですが急遽ヤマトさんが一緒に行くことになってしまったのでこの建物から色々と幻覚を見せたりモンスターに遭遇させたりしてともやさんの戦いっぶりや行動を観察してたんです。」

そう申し訳なさそうな顔をするレイバンさんをみていたがふとヤマトさんの方を見てみると苦虫を潰したような険しい表情をしていた。

「そのせいで予想外の事態にすぐ対処出来ずに2人にご迷惑をおかけすることになってほんとうにすいませんでした。」

「あのオロチの毒では死ぬこともあるんだぞ。」

そういいながら頭を下げるレイバンさんに対して怒りに声を震わせながらヤマトさんはそう言った。

「それは違います。アレはオロチを改良したモンスターで貴族達の間でブームになっているオロチンってモンスターなんです。オロチンに噛まれると一時的に性的興奮を覚えて体が敏感になりますが体に害はなくヤマトさんを襲わせるならオロチでも大丈夫だと思ったんですが念の為オロチンにしておいたんです。それでも僕の判断のせいで2人に迷惑をかけてしまってホントにすいませんでした。」

「俺はいいだがともやにちゃんと謝れ。」

「はいヤマトさん。ともやさんまさかともやさんがヤマトさんの代わりに戦って噛まれるなんてしかもここまで毒に対する耐性がないなんて考えてもいませんでした。そのせいでこんな目に遭わせてしまい本当にすいませんでした。」

「そんな僕は大丈夫なんでそんな何度も謝らないで下さいよ。」

僕がそう言ってもレイバンさんは何度も何度も僕やヤマトさんに謝り頭を下げ続けた。

「それでよ。観察した結果とやらはどうなったんだよ。」

「それは...。」

「それは僕の方から説明するよ。」

「クロノ先生!」

ケンジの問い掛けにレイバンさんが応えようとした時にクロノ先生が現れた。そして名前を呼んだレイバンさんに笑顔を向けると僕達のこと見ながら話し始めた。

「結論から言うとまだ保留かな。今回は色々と予想外のことばっか起こっちゃったしね。それで今回の件を王様に報告したらお兄ちゃんの実戦投入の保留が決定したんだ。」

「それはどういうことなの?」

保留と言われてもピンとこずにそう尋ねると

「簡単に言うとお兄ちゃんが魔物に勝てるようになるまでここカロン王国で鍛えて勝てるようになるまでは魔物の戦ったらダメってことだよ。だからこれからはお兄ちゃんのことみんなで鍛えるから死なないように気をつけてね?」
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