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絶対絶命
しおりを挟む「すぐに終わらせるからな。待ってろ。」
後ろを振り返りいつも通り明るく僕に声をかけてくれたケンジは前に向き直るとアルのお兄さんを鋭い目つきで睨みつけた。
「おい。テメェともやに何してくれてんだ。」
「誰だお前。」
「そんなことより俺のダチに何してんだって聞いてんだよ!!」
「ただ殺そうとしただけだ。お前には関係ない。」
「関係ないことあるか!コイツは俺のダチだ!」
「邪魔するならお前も殺す。」
「そんなこと絶対させねぇ!!」
睨み合う2人のうち先に動いたのはケンジだった。懐からダガーナイフを取り出すと瞬時に間合いを詰めアルのお兄さんに斬りかかった。それを難なくよけたアルのお兄さんはケンジに牽制の蹴りを入れたあと素早く後ろに飛び退き先程僕に打ってきたものと同じ車のタイヤ程の水の塊を先程よりも数倍ほど多く自分の周りに出現させた。
「これでも喰らえ。」
そう彼が言うやいなや次々とケンジに向かってそれはうちだされた。
「ケンジ逃げて!」
「大丈夫だって。」
その威力を知らないが故に避けようともせずに平然とそれを受けとめようとダガーナイフを構えるケンジに慌てて声をかけた。
声をかけられた頃には既に目前に迫っていた水の塊をケンジは炎の剣で斬りつけると返す刃でさらに切り付けそのまま自分に迫ってくる水の玉を全て切り伏せた。
「それは...?」
「ああこれか?これはダガーナイフの延長線上に炎で剣の刃の部分を作り出してるんだ。結構使い勝手が良くていいんだぜ?これが終わったらともやにもやり方教えてやるよ。」
「ありが...ケンジ前!!!」
「おっと。」
ケンジは余裕そうに軽口を叩きそれに対してお礼を言っている間もアルのお兄さんが待ってくれる訳もなく新たに生み出した水の塊を次々と打ち出してきた。
だが、ケンジはそれを全てダガーナイフを基盤に作り出した炎の剣で危なげなく切り付け無力化していた。
「へっ。これで終わりかよ。」
余裕そうに剣を肩に置いて笑うケンジを他所にアルのお兄さんは息が上がっていた。
「なら、たっぷりともやを襲った理由を聞かせてもらおうか。...ッ!!!」
「ケンジ!!!」
「来るな!」
ケンジが一歩踏み出しアルのお兄さんの元に寄ろうとした瞬間ケンジの両膝は何か小さいモノで撃ち抜かれケンジは地面に両膝をついた。心配でボロボロの体で駆け寄ろうとする僕をケンジは大声で止めた。
「これは疲れるからあまりしたくなかったんだがな。」
「くっ…!!てめぇ何を...。」
「何って俺の魔法以外になにがあるんだよ。」
「うそつけ。お前は発動の素振りを見せてなかっただろうが。」
「確かに俺はさっきのを1から作り出したわけじゃない。元々あったものを利用しただけだ。」
「バカな、んなもん...まさかお前...。」
「そうだ。俺は空気中の水分を利用しただけだ。」
「バカな。そんなこと出来るわけねえ!」
「確かに普通ならな。けど、この部屋の空気中にはさっきお前が斬って蒸発させた水分も含まれてるんだ。」
「そうかお前自分が初めに使った魔法を基盤にしやがったな。」
「ああそうだ。もちろんそれでも膨大な魔力を使って疲れるから使いたくなかったがな。俺の邪魔をしてくれた礼だお前もきっちり殺してやる。」
そう言うと見えるか見えないか程度の小さな水がケンジ体を次々と貫いていった。初めは防ごうとしていたケンジもほとんど見えないものが剣で防げるわけもなくそのまま地面に倒れてしまった。
「もうやめてください!」
アルのお兄さんがケンジに再度手のひらを向けたのを見て急いで僕はボロボロで思うように動かない体を引きずって2人のあいだに割って入った。
「安心しろよ。お前ら2人は俺がきっちり殺してやる。」
そう言うと先程よりは少し大きなギリギリ目に見える程度の細く小さい無数の水が僕と僕が抱き抱えているケンジの周りを囲うように出現した。
「わりぃともや。お前のこと守れなかった...。」
「僕のことはいいからケンジだけでも逃げて!!」
「ダチを見捨てて逃げれっかよ。それにこの傷じゃ逃げれねえ...。」
「そんな...。」
「別れの挨拶はもう済んだろう。二人纏めて死ね!!!」
ケンジが死ぬ。僕のせいで。僕を守ろうとして。僕のせいで死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。ケンジが死ぬ。
世界がスローモーションになり全てが止まっているかのようにゆっくり動く中僕の心臓だけが素早くドクンドクンと脈を打ち続け僕の中でなにかが弾けた。
弾けたそれは光となって僕の体から飛び出し全ての攻撃を無にかえした
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