社会の落ちこぼれから最強パーティーのリーダーになるお話

佐藤大芽

文字の大きさ
5 / 17
チュートリアル

第1-4話

しおりを挟む
「なあ、ホントに良いのか?」

「気にしないでください。あなたと私は同じパーティーメンバーの仲間なんですよ? 遠慮何ていりませんよ。それに、ユイトさんにはちゃんとした装備を身に着けて欲しいですからね!」

 システィーナはなんだか嬉しそうに微笑んだ。


 俺たちは今、昨日来た武器屋に来ている。
 なんでも良いものを見つけたとか言って俺を無理やり引っ張ってここまで来たのだ。

「これってかなり上等な奴なんじゃねえのか?」

 システィーナが見せてきたのはRPGとかでよく見かける伝説の剣、エックスなんちゃらみたいな感じのとにかくすごそうな剣だった。


「なあ、やっぱりやめとこう! 絶対高いって! しかもなんか申し訳ないし……」
「よう! また来たのかお二人さん。 こんな物騒な空間でイチャイチャされちゃあちょっとおじさん困っちまうなぁ~」

 中年の男店主が大笑いで出てきた。

「お? 嬢ちゃん良いものに目ぇ付けたなぁ~……けど、こいつは売りもんじゃないんだよ」

 店主はシスティーナと俺が見ていた剣に目を向け売り物ではないということを教えてくれた。

「ってことはこれはレプリカなんですか?」

 俺は少し気になって聞いてみた。
 すると店主は違う違うというように大笑いする。

 何がおかしんだ……?

「お前さんさてはこの剣の価値を知らんようだな! この剣はだな、とあるお偉いさんから修理を頼まれていて、口には出せないがこいつは滅多にお目にかかることのできない超大業物だ。実際に俺もこの剣の構造からなんから全部見てみたが全く無駄がない。まさに、戦いの効率を上げるためだけに作られた世界中の剣の中の最高傑作だ」

 へえ……確かに言われてみればそこまで大きくはないけど、とても滑らかな形してるよな……

「店主さん! この剣が無理なのであればこれに匹敵するような剣は無いでしょうか?」

 おいおい、ちょっとシスティーナ。おじさん困ってるだろうが……

「がははは……それはちょっと無理な話だなぁ。けど、こいつには劣るがそれなりのものなら二日あれば打てるぞ。それでいいならやるが……うちは高いぞ?」

 笑っていた店主もやはり商売人だ。目がもう乗り気だ。

「お金ならたくさんあります!」

 システィーナは店主に向かって思いっきり言った。

「よっし! 分かった。こいつと同等のものを作れる保証はないが俺の人生最大の最高傑作を打ってやるよ。だが、これだけは覚えておけ。剣には俺たちみたいにちゃんとした意思を持っている。その意思はその剣の使い手の意思が大きいほど共鳴し合いさらなる力を引き出す。お前さんはそれだけ確かな信念を持っているか? もしそれだけの物を持っていないのならこの話はなかったことにした方がいい。それでもやるのか? やらないのか? 少年よ彼女の意思ではなく自分の意志で決めろ!」

 店主は俺を試すような目で言って来た。

 俺の意思……信念……野望

「俺の目標……いや、野望は、魔王を討伐して彼女と共に世界最強のパーティーになることです!」

 俺はそう言い切った。

「気に入った! 二日後の昼過ぎにここに来てくれ! 飛び切りの物を用意しててやる! そうと決まれば今すぐ店を閉めて作業に取り掛かるか……」

 店主は俺たちにそう言い残すと奥の部屋に行ってしまった。

「良かったですね! ユイトさん。これでまともな装備を作ってもらえますよ?」

 嬉しそうにシスティーナははしゃいだ。

 ほんと、システィーナのおかげだな……

「ありがとな……システィーナ」

 俺はシスティーナが聞こえないような声で言ったが俺の視線に気づいたのか振り返ると笑顔で微笑んだ。


 そして二日後の昼過ぎ。
 俺とシスティーナは武器屋に来ていた。

「ごめんくださーい!」

 中に入ると中には誰もいなく、奥の部屋から店主が返事をした。

「はーい、らっしゃい! ってお前さんか。そうだ、もう打ち終えたぞ? しかも今回は俺も久しぶりに本気を出した上物だ。多分そこらの剣なんてひと振りで刃折れするだろうよ。素材はダマスカス鋼でできているから重くはないだろうが、念のため身体強化魔法を使った方がいいかもな!」

 笑いながら店主は剣を俺に渡した。

 いや、普通に重いんだけど……

「お代は……」

 システィーナが値段を聞こうとすると、店主は再び奥の部屋に戻ろうとしていた。

「お代? んなもんいらねーよ。俺もこの鍛冶でたくさん学ばせてもらったしよ、それに男の野望ってやつの力になりてえんだ! だからその剣は俺からお前さんへの応援のしるしだ」

 店主はそう言い切ると奥の部屋へと姿を消していった。

「おじさん、ありがとうございます!いつか、まとまったお金が入ったら飲みにでも行きましょう!」

 こうして俺は店主から貰ったこの剣でようやく冒険者らしいクエストが受けれるようになり無事長かったチュートリアルは幕を閉じたのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...