社会の落ちこぼれから最強パーティーのリーダーになるお話

佐藤大芽

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終焉の予兆

第3-4話

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「ユイトさん! ようやく村が見えてきましたよ!」

俺と運転を交代したシスティーナは村が見えてくると竜車でのんびり外を眺めている俺とメイアーに向かって村が見えたと告げきた。

「お、やっと着いたか......」
「そのようね......」

村に入って一番に目に入ったのはなんといっても中央に佇む大きな塔である。

これ何の為にあるんだろ......

そんな事よりも、ここは村ではなく街の方が正しいのかもしれない。
なぜかと言うと、村の景観は小さくもレンガ造りの建物が並んでおり、少しだが人以外の種も見かける。
それに村にしては人が多すぎると言うことだ。

システィーナはそのまま村に入り少し入った先にあった、大きな木の根元に竜車を止めた。

「ようやく着きましたね......」

システィーナはそう言うとサファイアに着けていたハミを外し、頭をなでなでした後、大きな桶を出して魔法で水を汲んでやっている。

「にしても、この村、人多くないか?」

その問いかけにメイアーは宿屋に行く支度をしながら答えてくれた。

「ここ、村じゃなくてちゃんとした街だったみたいよ? それにさっきここに来る前に通った広場に大きな塔があったでしょ? 」

メイアーはそう言いながら街の中央を指を指す。
指された方を向くと、塔のてっぺんがかろうじて見えている。

「あの塔はね、この大陸を浮遊させるために必要な動力源を実体化したものなの」

全く理解できない事をメイアーは淡々と話していった。

「ちょちょちょ、待て待て。大陸が浮いている? 浮遊させるための動力源? そんな事初めて聞いたんだけど......」

俺はこの世界に来たばかりで知らないのは当たり前なんだろうけど、まさかのシスティーナまでポカンとしていた。

「メイアーさん......私そんな話初めて聞いたのですが......」

すると、メイアーは当然のように話を続ける。

「ユイト君は見たじゃない......実物を」

俺が見たことがある? 動力源を? いつ、どこでだ?

「ごめん、メイアー。俺は身に覚えがないんだけど......」
「マナ・クリスタルよ」

 マナ・クリスタル……? あぁ、確か土竜の穴倉の地下にあったあの大きな……

「マナ・クリスタルって言ったらあのフィンデルさんの店の……」

 話している最中にメイアーに言葉を遮られた。

「いいえ、確かに父さんの店の地下にあったものはマナ・クリスタル。けど、あれは前も言った通り『希望の雫』と言って大英雄シュタインズ=ヒルデが来る日のために神々の力を封印した別格のマナ・クリスタルなの。だから、種類は同じでも役割が全く違うわ」

 へえ~いろいろと凄いな……

「そういえば、俺たちが探すのもその『希望の雫』って言う凄いクリスタルなんだろ? そう簡単に見つかるとは思わないんだけど……」
「え? そうだったんですか? 私初耳なのですが……」

 そして少しの沈黙が生まれ、メイアーは突然街の中央部に歩き出す。

「私、今日泊まる宿探してくるわ! 二人はそこで待ってて!」

そそくさと歩くメイアーを捕まえて正座させた。

「なによ! 良いじゃない! 別に方法がなくたって!」
「メイアー! お前のそう言う適当なところは俺は駄目だと思うんだよ! 見つける方法が無かったら俺たちが『希望の雫』を全て見つける前に世界が滅んじまうからな!」

メイアーはシュンとしながらなくなく正座をしている。

「あ、あの......ユイトさん......メイアーさんも世界の為に頑張ろうとしてたんですからそこまで怒らなくても......」

その言葉で俺はハッとした。流石に女の子相手にグチグチ言うのはあまりにも情けない。

「メイアー、ごめん。少し言いすぎた......」
「......良いのよ、別に。悪いって思ってるならそれで良いのよ!」

俺が下手に出るとニヤリとし、調子に乗ったのかメイアーの口調がまたからかい口調に変わった。

コイツッ......‼︎

ここで話に乗せられたら終わらない......

「はぁ......まぁ、今はまだ分からないだけで今後分かるかもしれないから方法はいいとして......今日はこの街で止まって明日また出るからな」

「じゃあ、私宿取って来るから......」

メイアーはそう言い残すと街の方に歩いて行った。

「なぁ、システィーナ......」
「なんですか? ユイトさん」
「お腹空いたから何か食べ物買ってきてもいいかな......?」

そういうと、システィーナはクスッと笑い「行ってきていいですよ。サファイアとお喋りしておくので......」といって、行かせてくれた。


〈商業区〉にて。

この街の商業区は王都の所と比べるとやや小規模であるけれど、やはり王都に近い街だからなのか、品揃えはかなり良い。それに、王都では見かけなかった食べ物も沢山あった。

「この食べ物は......」
「お? お兄さん旅人かい? これはね、この街の特産品で『カルテラ』っていうのよ! 美味しいから旅のおやつにおひとついかがかしら?」

見覚えのある食べ物を見つけたのでそれを見ていると女店主はわざわざその食べ物の説明してくれた。

やっぱり......どう見ても『カステラ』だよなぁ......

あの黄色いスポンジに茶色に焼かれた上面の砂糖。それに下面にはカステラを噛んだ瞬間ジャリっとなりそこから一気にカステラの甘さを引き立てるザラメがあった。

甘いものなんかはあの二人も喜ぶよな......

「これを三箱下さい」
「はいよ、まいどー! 旅のお兄さん、気をつけて行きなよ!」
「はい! ありがとうございます!」

カルテラを三箱買って店を離れると、女店主は力強い声で旅の応援をしてくれた。
その言葉に俺はついつい嬉しくなり元気な声で返事を返す。

竜車に戻る道中『ペット用品』という、このファンタジックな世界には似合わない店があったので取り敢えずサファイアのためにも食べ物を買って竜車に向かった。

「ただいま~システィーナ、サファイア。良いもの買ってきたぞ~」
「あ、お帰りなさいです。ユイトさん見てください。メイアーさんが買ってきたのですがこのお菓子とても美味しいですよ!」

システィーナの言葉に同意しているのかサファイアも声を上げて喜んでいる。

え......? その黄色いの......

「お帰り、ユイト君。君にも買って来たから食べてよね」
「おう......」

って、そう言うこと言ってる場合じゃない。
まさか、メイアーもカルテラを買って来るなんて思ってもいなかった......これは出すべきなのか......

「どうしたんですか? 何か顔色が悪いですが......」

システィーナ、メイアー、サファイアは心配そうに見つめて来る。

やっぱり出したほうがいいよな......「これ、お土産......」違う違う、もっとこう普通に、「買いすぎちゃって食べきれないから一緒に食べよう!」ダメだ......これだと逆にどれだけお金を使ったのか聞かれて怒られる。「おお、メイアーもカルテラ買ってたのか。美味いよなそれ......実は俺も買ってきたんだけど......」これだ! これなら......

「コホン......メイアー偶然だったな! 俺も実はカルテラを買ってきたんだけど食わないか?」
「......」「......」「クワァァァァァ」

俺がカルテラの箱を見せるとシスティーナとメイアーは俺を見てポカンとしており、サファイアは興味無さそうにあくびをして眠り始めた。

なんかむちゃくちゃ恥ずかしんですけど......何か言わないと、この場の空気を変えないと......気まず過ぎる‼︎

「ユイトさん! 今日はお腹いっぱいなのでまた今度、旅の途中にでもお茶菓子にしましょう!」

すごい笑顔でシスティーナがフォローを入れてくれた。めちゃくちゃ優しいです......

システィーナマジで感謝します......

「そうね......私も流石にこれは甘過ぎるからあまり多くは食べれないわ。お茶菓子としてなら申し分ないわね」

良かった......メイアーもこう言ってくれて助かった。

サファイアの為に買っておいた食べ物は旅の最中にでもあげよう。

「あ、そう言えば。竜車を補完できる宿を確保できたので、そろそろ行きましょ!」

メイアーは宿をしっかり取れたみたいなので俺たちは今から宿に向かうことになった。
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