社会の落ちこぼれから最強パーティーのリーダーになるお話

佐藤大芽

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終焉の予兆

第3-3話

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「ユイトさん! どうでしたか? 」

俺が竜車に戻ると大量の小枝とみかんのようなのようなオレンジ色の丸い物体がたくさん籠に入っていた。

「こっちはダメだったよ......めちゃくちゃ大きいサメを釣ったんだけど、目を離した隙に逃げられちゃった......」
「そうですか......それは残念ですね......」

システィーナはそう言いつつも何故かニコニコしていた。

システィーナは何で笑ってるんだ?

「ユイトさん、見てください!」

システィーナはそういうとさっき目に入ったみかんを見せてきた。

「おお、木の実か?」
「はい! オレンの実です!」

へぇーこれってオレンの実って言うんだ......

「この、オレンの実って食べれるのか?」
「はい! 正しい手順で調理すれば美味しく食べることができますよ?」

正しい手順......?

システィーナはそういうとオレンの実の皮を剥き、袋状の膜に包まれた果肉を取り出すと簡単に膜を剥がし美味しく食べ始めた。

「おいひいれすよおいしいですよユイトさん。ユイトさんも一粒いかがですか?」

システィーナは一粒食べ終わると俺に果肉を渡してきた。

やっぱり外見は普通のみかんだな......

俺はシスティーナがやった通り果肉を覆っている膜を綺麗に取り除くと、柑橘類のあの甘酸っぱい芳醇な香りが一気に放たれた。

うわっ——思っていた以上に甘酸っぱい香りだ......

俺はそんな果肉を口に入れると木の実の凄さに驚いてしまった。

「な......俺の知ってるみかんじゃない‼︎」
「ユイトさんこれはオレンの実ですよ! そのみかん? というものは知らないですが......」

この味には予想だにしてなかった。それにしてもあの甘酸っぱい香りから感じた酸味が程よいくらいに甘みとマッチしている。これを例えるなら——うーん......例える例が俺の肥えていない舌には無いな......

「ユイトさん! 今日はここまでにしてください! 私達だって食べたいですし、それに旅のおやつとして大切にとっておきたいのです」

俺はシスティーナに言われるまでずっと食べていたらしく、剥いた皮を見る限り五つ六つくらい食べ潰していた。

「そうよユイト君! 君は食べ過ぎよ! もっと私達にも......おいしい......食べさせなさい......うーん......よね?」

メイアーは竜車に座り、もぐもぐ食べながら俺を批判してくる。

「メイアーお前も食い過ぎだ!」
「何よ! 君だってたくさん食べてたじゃない! 私だってこんなにも美味しいオレンの実なんて初めて食べたんだから、ちょっとくらい食べ過ぎても良いじゃない!」

この日はオレンの実や王都を出る前に買い足していた食材を焼いたり調理したりして夕食を済ませた。

「よーっし! 二人とも寝るか!」
「そうですね......たくさん食べましたし」
「そうね。私もそろそろ眠たいし......」

俺たちは寝る準備を始めた。
メイアーとシスティーナは竜車で。俺とサファイアは火をつけていた枝の横で横になった。

「はぁ......今日も一日終わったぁ~~」

そういうことで冒険に出ての初日は何事もなく平和に過ぎたのであった。のか?


冒険二日目の朝。
俺はいつも通り起きると湖で顔を洗い、白色のハンカチで顔を拭く。そして、昨日メイアーとシスティーナがとってきたオレンの実を一つ手に取り湖の方を見ながら一人食べている。

「昨日は暗かったから分からなかったけど、この湖かなり綺麗だな~。ここは山とか森に囲まれていて、空気も美味しいし、近くにはこんなにも美味しい果実が実ってるし......こんなにも良い条件の場所ってなかなか見つからないよ」

そう言いながら一粒また一粒とオレンの実を美味しく食べている。

「はぁ~朝は食べ過ぎると気持ちが悪くなるからな......」

俺は二つほどオレンの実を食べると皮を近くにあった木の根元に小さな穴を掘りそこに入れ埋めた。

「さてと......やるか......」

俺は竜車に入れた剣を手に取り扱いの練習を始める。

そしてしばらく時間が経ちシスティーナが身を起こした。

「ふぁぁぁ~~......むにゃむにゃ......ユイトさん?」

システィーナは起きると目をこすりながら湖に顔を洗いに行った。

「朝から修行ですか? 頑張ってますね!」

システィーナは湖から戻ってくると気持ち良さそうな顔でそう俺に言ってきた。

「お、おはようシスティーナ! よく眠れたか?」
「はい! ユイトさんこそ、一人地面で寝かせてしまってお身体は大丈夫ですか?」
「ああ、サファイアがくっついていたからそこまで寒くなかったし寝心地が良かったよ」

サファイアを見るとまだ眠たそうにあくびをしていた。

「ああ、そうだ! お願いなんだけど......そろそろメイアーを起こしてくれないか? 今日中には村に着きたいからそろそろ出発したいんだけど、起こしてからじゃないとあとあと何か言いそうだから......」

俺がシスティーナにお願いするとシスティーナは苦笑いをしながら了解してくれた。


「メイアーさん起きてください......メイアーさん」

システィーナはメイアーの肩を優しく揺すりながら優しい声で起こす。

「う~~ん......はぁ、システィーナちゃんおはよう......」

メイアーはまだ寝ぼけているのか、上半身を起こしたままボーッとしている。

「メイアーさん、とりあえず顔を洗ってきてください! ユイトさんは今日中に村に着きたいらしいので急ぎますよ!」
「......うん。分かった......」

メイアーはトボトボと湖まで歩いていき顔を洗いに行った。

「ユイト君、おはよう......」
「ああ、おはよう!」

メイアーは顔を洗って戻ってきたが、まだ眠たそうにしていた。

「あ、おいしい......」

メイアーは竜車に戻ると昨日のオレンの実を一粒一粒ゆっくり食べながら俺の修行姿をのんびり眺めている。

そろそろ出発の準備をするかな......?

「おーい! 二人ともそろそろここを出るから準備しておいてくれ!」

「分かりました!」
「......分かったわ......ふわあぁぁぁ」

湖を覗きながら元気に返事をするシスティーナとは対照的にメイアーは顔を洗ってもなお眠たそうにしていた。

俺は起きたばかりのサファイアの顔を拭いてあげると昨日の食べ残しのお肉と湖から汲んできた水をあげた。

そして一通り朝食を済ませると俺たちは竜車に使った積荷を乗せこの大きな湖を後にした。
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