World of the game

佐藤大芽

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Cross Story

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 人は何かに魅せられ、それに没頭し、成長した生き物である。
人とは何か......世界とはなんなのか......
その、哲学的なものを覆した先には未知なる存在が我々を待っている。
だからこそ、人生は楽しいのである。
 
 
『フハハハハ! 我が配下を退けたことは誉めてやろう! だが勇者よ、貴様はここで我が力にひざまづくのだ!』

「よっし! 気合いを入れて行くぞ!」

 暗く閉ざされた部屋の中でデスクトップのパソコンだけが光を放っている。

「うわっ! あっぶねー、当たってたらヤバかったな」

 勇者は画面の中で色々な武器を使い分けながら相手の隙を見て攻撃をする。

「チッ——硬いな......」

『こんなのが攻撃だというのか? フハハハハ! 勇者も落ちたものだ』

「クッソ! 舐めやがって!」

 俺は相手の挑発に乗ると攻撃を仕掛けた。

「うおりゃゃゃゃ!」

 その時、相手は左手で軽くパシッと俺の体を払う。

「うおっ! やっべ、あともう少しで死んでたじゃん!」

 左上に表示されている体力メーターが黄緑からオレンジ、赤と順番に表示されていた。

「さてと......あと一回攻撃を喰らったらゲームオーバなわけだし、キメに行きますか!」

 勇者はまたもや走り出した。

『血迷ったか勇者よ! 我が肉体に貴様の攻撃なんざ痒くも無いわ!』

 相手はそういうとさっきと同じように勇者を叩こうとしてきた。

「へっ——そんな攻撃当たるかよ!」

 勇者は華麗に攻撃をかわし相手の膝下まで来た。

『ほう、少し動きが俊敏になったようだが我の敵では無い!』

 相手は腕を伸ばすと俺を捕まえようとしてきた。

「遅い! 遅い!」

 それでも勇者はその伸ばされた腕を足場に使いとうとう相手の首元に降り立った。

「あばよ!魔王!」

 そうして勇者は魔王を討ち取りゲームはコンプリートした。

 コンプリートをするとエンディングが流れ始めたので俺は冷蔵庫からキンキンに冷えたグレープジュースを取り出しガラス製のコップに移して飲みながらエンディングが終わるのを待っていた。

「にしても、さっきのは危なかったな......HPがわずかに残ってくれたから良かったけど本当勝てて良かったぁ~」

 なぜHPがギリギリで動きが強化されたのかというと、
『スキル4:HPが少ないほど攻撃、防御、素早さがUP。最大999倍(魔力消費量は通常の3分の1)』
という、とんでもないスキルを持っていたからである。

 エンディングが終わり、ゲームコンプリートという文字が出てきてタイトル画面に戻った。

「取り敢えず、もう一回ログインして何かやり残したところがないかチェックしてから今日は終わるか......」

 俺はログイン画面をクリックすると文字が出てきた。

『ゲームコンプリートおめでとうございます!』

 おっ? このゲーム、コンプリートしたらおめでとうって言ってくれるんだ......

 もう一度画面をクリックすると
▶︎はじめから
▶︎続きから
の表示がされた。

 俺は続きからをクリック。すると......

 ブーブーブー

 突然パソコンの画面にエラーの文字が出てきた。

「ちょ——ま、マジかよ!」

 俺は慌ててエラーの原因を探すと一つのウイルスにデータが感染していた。

「クッソ! 消えろ! 早くなくなれよ!」

 すると、エラー表示は全て消え、言葉が表示されていた。

『データを初期化しました』
▶︎ゲームを始める

 嘘だろ、マジかよ......やっと終わったのに!

「はぁ、こんなゲームやってられるか!」

 グレープジュースを一気に飲み干すと、俺は横に置いてあるデジタル時計を見た。

 01:37か、そういえば明日バイトのシフトが入ってたよな......

 俺はすぐに歯を磨きベットに横になった。

 はぁ、前々から思ってるけど俺はゲームがしたいんじゃなくて異世界に行きたいだけなんだよなぁ......まあ、行ければの話なんだけどな!

 そうして佐須名時雨さすなしぐれはバイトのために眠りについた。
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