5 / 5
第4話 Bison
しおりを挟む
「とりゃ! せい!」
この世界の夕陽を背に俺は今、街を出て郊外の草原でモンスター狩りをしている。
この辺りは開けたところでモンスターもどちらかと言えば肉食系よりも草食系のモンスターが多い。
「よっしゃ! レベルがまた上がった!」
沙千が俺の住んでいる街から離れてから3日間、俺はずっとこの草原でモンスターを狩りながらレベル上げをしていた。
俺の今のステータスはこんなところだ。
Lv.24
AT▶︎690
DF▶︎560
HP▶︎6978
MP▶︎110
まぁまぁって感じだな......
今俺が主に狩っているのはサイレントホーンである。
このモンスターは名前の通り牛型のモンスターで気性もそこまで荒くない。
しかも、倒すと戦利品としてお金と同時に肉まで手に入る。
経験値が入って、食材まで手に入って、一石二鳥だ。
ちなみにさっきも言ったがモンスターを倒すとお金とかの戦利品が手に入る。
倒したモンスターの死体はデジタル化されその場から消えるシステムになっており、肉などの戦利品はそのままアイテムボックスに送られている。
今日はこの辺にしておくか......
街の広場から右方向へ徒歩3分で着く街一番の商業区へ戦利品の肉を売却するため訪れた。
「いらっしゃいませ!」
若い男性の店員が元気な声で接客をしている。
ここに店を構えているほとんどはNPCが出してるんだな......
「売却ですね! ではこちらに品を置いてください」
アイテムボックス内から今日狩ったサイレントホーンのもも肉を8割程店員に渡した。
「サイレントホーンのもも肉26個ですね」
店員はもも肉を受け取ると布製の包みの中にお金を入れて渡してきた。
受け取ると目の前に獲得金額が表示された。
『300ソル×26個 合計金額7800ソル』
おお、結構儲かったなこのくらいの金額があれば少しは良い宿に泊まれるな......と言っても、今は別にお金が必要ってわけでもないし、そもそもログアウト出来るから宿も要らないんだけどな......
そう言えばレベル20超えてるから何かしらのスキル習得出来るよな......
スキル欄の習得可能画面を見ると二つのスキルが習得可能になっていた。
『スキルLv.1 敵感知』 あらゆる場所で敵及びモンスターの居場所を特定出来る。(半径10m以内)
『固定スキルLv.1 トレジャーハント+1』モンスターを倒した際のアイテムドロップ率が上昇。最大5%(限定アイテムは含まない)
うーん......二つとも微妙なスキルだな......この『トレジャーハント』は固定スキルだからまだ良いけど、敵感知スキルを習得するのはもっと先でも良いかもな......
『トレジャーハント』を4つの固定スキル枠のうち一つに装備した。
よっし......レベルも十分上がったし、装備も少しはマシになったから明日この街を出よう!
そして俺は中央広場の真ん中にある巨大な塔の前でログアウトした。
翌日、俺は学校が終わりバイトのシフトに入った。
やっぱり、彼女は、沙千はいないよな......
沙千が辞めてから初めてのシフトだったがどうにもやる気が起きない。
「——さん? 店員さん! 注文したいのですが......」
ぼーっとしていたらしく二十代前半くらいの少しスラっとしていてカッコいい黒髪短髪のサラリーマンが心配そうに見ていた。
「あっ——! すみません! ご注文は何にいたしましょう!」
彼はクスッと笑うとアイスコーヒーだけを頼んで行った。
今の人、かっこよかったな......
「ビックマック一つとオレンジM」
「あ、分かりました!」
そしていつものようにバイトが終わり家に帰ってご飯を済ませたあと俺は部屋に向かおうとした。
「お兄ちゃん! ちょっとだけ待ってて」
楓は二階の部屋から戻ってくると小さな黒色の箱を俺に渡してきた。
「これ......お兄ちゃん宛にこんなのが送られてきたの」
箱の表面には『Bison 』と書かれていた。
なんで、俺のところにこんな物が......
『Bison 』とはUnlimited World Online シリーズのたった5人の開発チームの名称で名前の由来は5人のメンバーの頭文字をとって名称になったと公開されている。この『Bison 』という開発チームは未だに謎が多く情報があまり出回っていない。なのになぜ......家にこんな物が......
俺はリビングで楓と一緒に箱の中身を確認した。
「なにこれ......細長い紙と、SDカード? あと手紙が入ってるよ!」
紙を確認していると楓が手紙の存在を教えてくれた。
手紙......?
黒色の厚紙に包まれた手紙を見ると衝撃の事実が書かれていた。
文字はデジタルにゴシック体で並べられており、俺以外の人間には口外及び渡すのを禁止とはじめの方に書かれていた。
「初めまして。シグレくん。いや、こういったほうがいいかな? ゲームコンプリートおめでとう『背水の勇者』くん。これは未だかつて誰も攻略出来なかった偉業だよ。さて、ゲームコンプリートに称して君にはプレゼントを用意しないといけないね。まぁ、プレゼントはまた精神的にとして......」
これってまさか......
「君のその消えたネトゲの、『Cross Story』の最強と謳われたデータは我々Bison が責任を持って預かっている。我々はいつか君と会うのを心から楽しみにしているよ」
最後に一緒に入っているSDカードをセルフィルに差し込んでUnlimited World Online をプレイしてくれと書いてあった。
それよりも......あの消えたデータとUnlimited World Online に何の関係が......
そして俺はこの日手紙に書いていた通りにSDカードを差し込みログインし、目の前に現れたバーに、SDカードと付属していたあの長い紙切れに書かれていたパスコードを入力した。
何か起きるのか......
警戒したがこの日はなにも起きなかった。
その後約束通りこの手紙を燃やして灰にしたあと庭に穴を掘って埋めた。
この世界の夕陽を背に俺は今、街を出て郊外の草原でモンスター狩りをしている。
この辺りは開けたところでモンスターもどちらかと言えば肉食系よりも草食系のモンスターが多い。
「よっしゃ! レベルがまた上がった!」
沙千が俺の住んでいる街から離れてから3日間、俺はずっとこの草原でモンスターを狩りながらレベル上げをしていた。
俺の今のステータスはこんなところだ。
Lv.24
AT▶︎690
DF▶︎560
HP▶︎6978
MP▶︎110
まぁまぁって感じだな......
今俺が主に狩っているのはサイレントホーンである。
このモンスターは名前の通り牛型のモンスターで気性もそこまで荒くない。
しかも、倒すと戦利品としてお金と同時に肉まで手に入る。
経験値が入って、食材まで手に入って、一石二鳥だ。
ちなみにさっきも言ったがモンスターを倒すとお金とかの戦利品が手に入る。
倒したモンスターの死体はデジタル化されその場から消えるシステムになっており、肉などの戦利品はそのままアイテムボックスに送られている。
今日はこの辺にしておくか......
街の広場から右方向へ徒歩3分で着く街一番の商業区へ戦利品の肉を売却するため訪れた。
「いらっしゃいませ!」
若い男性の店員が元気な声で接客をしている。
ここに店を構えているほとんどはNPCが出してるんだな......
「売却ですね! ではこちらに品を置いてください」
アイテムボックス内から今日狩ったサイレントホーンのもも肉を8割程店員に渡した。
「サイレントホーンのもも肉26個ですね」
店員はもも肉を受け取ると布製の包みの中にお金を入れて渡してきた。
受け取ると目の前に獲得金額が表示された。
『300ソル×26個 合計金額7800ソル』
おお、結構儲かったなこのくらいの金額があれば少しは良い宿に泊まれるな......と言っても、今は別にお金が必要ってわけでもないし、そもそもログアウト出来るから宿も要らないんだけどな......
そう言えばレベル20超えてるから何かしらのスキル習得出来るよな......
スキル欄の習得可能画面を見ると二つのスキルが習得可能になっていた。
『スキルLv.1 敵感知』 あらゆる場所で敵及びモンスターの居場所を特定出来る。(半径10m以内)
『固定スキルLv.1 トレジャーハント+1』モンスターを倒した際のアイテムドロップ率が上昇。最大5%(限定アイテムは含まない)
うーん......二つとも微妙なスキルだな......この『トレジャーハント』は固定スキルだからまだ良いけど、敵感知スキルを習得するのはもっと先でも良いかもな......
『トレジャーハント』を4つの固定スキル枠のうち一つに装備した。
よっし......レベルも十分上がったし、装備も少しはマシになったから明日この街を出よう!
そして俺は中央広場の真ん中にある巨大な塔の前でログアウトした。
翌日、俺は学校が終わりバイトのシフトに入った。
やっぱり、彼女は、沙千はいないよな......
沙千が辞めてから初めてのシフトだったがどうにもやる気が起きない。
「——さん? 店員さん! 注文したいのですが......」
ぼーっとしていたらしく二十代前半くらいの少しスラっとしていてカッコいい黒髪短髪のサラリーマンが心配そうに見ていた。
「あっ——! すみません! ご注文は何にいたしましょう!」
彼はクスッと笑うとアイスコーヒーだけを頼んで行った。
今の人、かっこよかったな......
「ビックマック一つとオレンジM」
「あ、分かりました!」
そしていつものようにバイトが終わり家に帰ってご飯を済ませたあと俺は部屋に向かおうとした。
「お兄ちゃん! ちょっとだけ待ってて」
楓は二階の部屋から戻ってくると小さな黒色の箱を俺に渡してきた。
「これ......お兄ちゃん宛にこんなのが送られてきたの」
箱の表面には『Bison 』と書かれていた。
なんで、俺のところにこんな物が......
『Bison 』とはUnlimited World Online シリーズのたった5人の開発チームの名称で名前の由来は5人のメンバーの頭文字をとって名称になったと公開されている。この『Bison 』という開発チームは未だに謎が多く情報があまり出回っていない。なのになぜ......家にこんな物が......
俺はリビングで楓と一緒に箱の中身を確認した。
「なにこれ......細長い紙と、SDカード? あと手紙が入ってるよ!」
紙を確認していると楓が手紙の存在を教えてくれた。
手紙......?
黒色の厚紙に包まれた手紙を見ると衝撃の事実が書かれていた。
文字はデジタルにゴシック体で並べられており、俺以外の人間には口外及び渡すのを禁止とはじめの方に書かれていた。
「初めまして。シグレくん。いや、こういったほうがいいかな? ゲームコンプリートおめでとう『背水の勇者』くん。これは未だかつて誰も攻略出来なかった偉業だよ。さて、ゲームコンプリートに称して君にはプレゼントを用意しないといけないね。まぁ、プレゼントはまた精神的にとして......」
これってまさか......
「君のその消えたネトゲの、『Cross Story』の最強と謳われたデータは我々Bison が責任を持って預かっている。我々はいつか君と会うのを心から楽しみにしているよ」
最後に一緒に入っているSDカードをセルフィルに差し込んでUnlimited World Online をプレイしてくれと書いてあった。
それよりも......あの消えたデータとUnlimited World Online に何の関係が......
そして俺はこの日手紙に書いていた通りにSDカードを差し込みログインし、目の前に現れたバーに、SDカードと付属していたあの長い紙切れに書かれていたパスコードを入力した。
何か起きるのか......
警戒したがこの日はなにも起きなかった。
その後約束通りこの手紙を燃やして灰にしたあと庭に穴を掘って埋めた。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる