天使は悪魔になりたい

アールグレイ

文字の大きさ
2 / 4

天使の登校

しおりを挟む
「さぁさぁ、今日は人間の髪の毛が安いよ。スープにどうだい?上質なものから安価なものまで。品揃えは豊富さ」
「やぁ、ルノちゃん。おはよう暖かい髪の毛スープ食うかい?」
「頂きたいけど、アレルギーなの」
「そうかそれは困ったな」
「苺鼻のスープとツルツル鼻のスープもあるんだがね」
「うん、食べたいけど」
    私は、何も食べたらダメなのだ。ここにあるもの全て。全て美味しそうに見えるのに。全て食べたらダメだというこの拷問。
行き交う街の人は皆しっぽが生えている。それなのに私には背中に大きな白い羽が生えている。
「今日も美しいねぇ」
いつも絨毯を床に敷き座ってがらくたを売っているお婆さんがぎょろりとした大きな目で私を見てくる。このお婆さんはいつも私を見る時に食べ物を見るかのようにみてくる。
今日も美しいねぇが、美味しいそうねに聞こえる。そんなことは絶対に言えないけれど。
「ありがとうございます。今日も行ってきます」
ルノが通り過ぎると、その婆さんはそそくさと店を畳み、ズルズルと少女の後を追う。街の商人はみなしっていることであるが、この婆さんの悪魔は昔は相当な美女で沢山の悪魔にモテた。だが、彼女は天使の一族と禁忌の恋に落ち、夜に災いを持つとされ美しい顔を奪われてしまった。それからというもの、悪魔と天使が交わることはもう千年のときを越えてもなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

私は愛する人と結婚できなくなったのに、あなたが結婚できると思うの?

あんど もあ
ファンタジー
妹の画策で、第一王子との婚約を解消することになったレイア。 理由は姉への嫌がらせだとしても、妹は王子の結婚を妨害したのだ。 レイアは妹への処罰を伝える。 「あなたも婚約解消しなさい」

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

冷遇妃マリアベルの監視報告書

Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。 第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。 そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。 王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。 (小説家になろう様にも投稿しています)

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

処理中です...