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魚
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「僕大人になったら沢山お金を稼いで良いスーツを着て病気を治したいんだ」
にこやかに笑う少年は田舎の満点の星空が見える景色の中一人呟いた。
「出来るよ」
私は星だった。この子がどれだけ頑張ってきたか、見守る役目の一番星。決して声は届かないけれども優しく呟き返す。
眠れない夜を今日も過ごすのだろう。一見普通に見えて、どこにも異常がないように見える少年は体が弱かった。そのため入院や大事にならないため親からの風当たりもきつかった。病院の待合室では罵られ家に帰るとまた憤慨される毎日。朝から夕方まで学校から掛かってくる電話は彼の心をどんどん狂わせた。
毎夜声を殺して泣くその姿は、居たたまれなかった。嗚咽が漏れそうになったときには息を殺してやり過ごす。そんな姿を一番星は何度も見たのだ。
けれど彼は決して諦めなかった。泣いたあとは決まって笑うのだ。今日こんなに泣いたのだからきっと良いことが起きるはず。そう信じていた。
勉強も頑張った、しかし学校にいくとお腹が終始痛く不快感が収まらない。冷や汗や昼には原因不明の微熱が毎日出た。
「おはよう」
「おはよう」
隣の席の女の子は、彼を気にかけいつも声をかける。
「今日天気いいね」
「そうだね」
「ねえ、知ってる?宇宙人て人のなかに入って洗脳するんだって。夢であったことあると思ったらそれは宇宙人の仕業で操作されてるのかも」
「どうゆうこと?」
「だからあなたの病気も操作さえ無くなれば消えてなくなるよ、ねえきっとそう」
「そっか、ありがとう」
励ましの言葉が尽き、ついにはこんなことを言わせてしまう始末になったことに少年は心を痛める。
「だから私が治してあげる」
そう言うと紙に何かを書いた。はいと渡してきたのはSNSの連絡先だった。
「え…」
「連絡してね」
「僕具合が…」
私が行くから、ね、と言うと鼻唄を歌いながら友人のそばまで駆け寄っていった。
嬉しかった、たった一人の僕の味方がどんな理由であれこうして連絡をしてと言ってくれた。僕のお腹の痛みも不思議と今日は和らいだ。早く家に帰りたい。そう願った。窓に写る自分は同じ同級生より、痩せて色白だったがそんなの今は関係ない。僕は幸せだ。心からそう思った。普通ならこんなことで喜んだりしないのだろうか。いや、もういいや。そんなことはどうでも。
「まずはこれを試すわよ」
そう言うとオモチャの聴診器を僕の胸に当てて心音を聞く。
「ねえそれ聞こえてるの」
「聞こえてるよ」
そう言うと凄い、こんなに脈を打ってるなんて。きっと早死にしちゃう。そう言うと横になってと僕を横たわらせてきた。
「なっ、なにするの」
「決まってるでしょ」
「キスよ」
そう言うと僕に覆い被さり、唇を寄せようとする。目を瞑りその瞬間を待つ。
「終わり」
そう言うとあと少しで触れそうだった唇が離れ、柔らかく微笑む彼女と目があった。
「顔色よくなった、良かった」
ふふふと笑い、僕の上から降りようとした彼女の腕を掴み唇を寄せた。歯が当たらないように。がっつかないように。優しく重ねた。初めてだった、女の子とキスをしたのは。唇が心なしか震えていた。そんな僕を優しく受け入れ、彼女はゆっくり目を閉じた。
「嬉しい」
「僕も」
ふわふわした気持ちになった。脳が甘く痺れて呼吸が浅くなる。一瞬が永遠に感じた。
「好きだよ」
「僕もずっと好きだよ」
嬉しいまた彼女はそう言うと笑って微笑んだ。柔らかく暖かくそして僕の頬を撫でると少し考えたように
「沢山沢山ご飯をつくってあげるね」
「うん?」
「私が沢山美味しいご飯をつくってあげる。だから、もっと元気になるよ」
そう言われてはっとした。僕の頬が痩けてるからだろう。
「ありがとう」
ついごめん、驚いたよねとか、もう触りたくなくなったとかそう言う言葉が出そうになったけど抑えた。だって、こんなに幸せだから
「何が好きなの」
「僕はラーメンかな」
「身体に悪いよ」
ペチペチと僕の頬を挟みそう言うと、起き上がりまた唇を寄せてきた。急だったから思わず目をつむってしまった。
「ふふ」
「なっ…」
恥ずかしくなり目を開けると、彼女の顔がドアップで写ってた。
「ねえ結婚式みたいだね」
「そうだね」
「ふふふ、花嫁からキスも悪くないよね!」
そう言うとまた唇を重ねてきた。角度を変える度に音がなる。酔いそうだ。
「私のお家ね、お父さんがお魚のバイヤーをしてるの」
「凄いね」
「だから、今度お魚持ってくる」
キスが終わった帰りにVサインで僕に笑顔を向けてきた彼女は本当に数日後にガサガサ音を言わせた白いケースと辛子明太子、そして僕の好きな銀だらを持ってきてくれた。
母がそれを開けたときは驚きで腰を抜かしていた。紐をちぎっていた一匹が脚でリビングを駆け巡った。
「あっ、気を付けて指切られないように!」
つい数日前まで、眠れなかった僕にプレゼントをくれた。これからもずっと一緒に居たい。そのために僕は健康になろう。
にこやかに笑う少年は田舎の満点の星空が見える景色の中一人呟いた。
「出来るよ」
私は星だった。この子がどれだけ頑張ってきたか、見守る役目の一番星。決して声は届かないけれども優しく呟き返す。
眠れない夜を今日も過ごすのだろう。一見普通に見えて、どこにも異常がないように見える少年は体が弱かった。そのため入院や大事にならないため親からの風当たりもきつかった。病院の待合室では罵られ家に帰るとまた憤慨される毎日。朝から夕方まで学校から掛かってくる電話は彼の心をどんどん狂わせた。
毎夜声を殺して泣くその姿は、居たたまれなかった。嗚咽が漏れそうになったときには息を殺してやり過ごす。そんな姿を一番星は何度も見たのだ。
けれど彼は決して諦めなかった。泣いたあとは決まって笑うのだ。今日こんなに泣いたのだからきっと良いことが起きるはず。そう信じていた。
勉強も頑張った、しかし学校にいくとお腹が終始痛く不快感が収まらない。冷や汗や昼には原因不明の微熱が毎日出た。
「おはよう」
「おはよう」
隣の席の女の子は、彼を気にかけいつも声をかける。
「今日天気いいね」
「そうだね」
「ねえ、知ってる?宇宙人て人のなかに入って洗脳するんだって。夢であったことあると思ったらそれは宇宙人の仕業で操作されてるのかも」
「どうゆうこと?」
「だからあなたの病気も操作さえ無くなれば消えてなくなるよ、ねえきっとそう」
「そっか、ありがとう」
励ましの言葉が尽き、ついにはこんなことを言わせてしまう始末になったことに少年は心を痛める。
「だから私が治してあげる」
そう言うと紙に何かを書いた。はいと渡してきたのはSNSの連絡先だった。
「え…」
「連絡してね」
「僕具合が…」
私が行くから、ね、と言うと鼻唄を歌いながら友人のそばまで駆け寄っていった。
嬉しかった、たった一人の僕の味方がどんな理由であれこうして連絡をしてと言ってくれた。僕のお腹の痛みも不思議と今日は和らいだ。早く家に帰りたい。そう願った。窓に写る自分は同じ同級生より、痩せて色白だったがそんなの今は関係ない。僕は幸せだ。心からそう思った。普通ならこんなことで喜んだりしないのだろうか。いや、もういいや。そんなことはどうでも。
「まずはこれを試すわよ」
そう言うとオモチャの聴診器を僕の胸に当てて心音を聞く。
「ねえそれ聞こえてるの」
「聞こえてるよ」
そう言うと凄い、こんなに脈を打ってるなんて。きっと早死にしちゃう。そう言うと横になってと僕を横たわらせてきた。
「なっ、なにするの」
「決まってるでしょ」
「キスよ」
そう言うと僕に覆い被さり、唇を寄せようとする。目を瞑りその瞬間を待つ。
「終わり」
そう言うとあと少しで触れそうだった唇が離れ、柔らかく微笑む彼女と目があった。
「顔色よくなった、良かった」
ふふふと笑い、僕の上から降りようとした彼女の腕を掴み唇を寄せた。歯が当たらないように。がっつかないように。優しく重ねた。初めてだった、女の子とキスをしたのは。唇が心なしか震えていた。そんな僕を優しく受け入れ、彼女はゆっくり目を閉じた。
「嬉しい」
「僕も」
ふわふわした気持ちになった。脳が甘く痺れて呼吸が浅くなる。一瞬が永遠に感じた。
「好きだよ」
「僕もずっと好きだよ」
嬉しいまた彼女はそう言うと笑って微笑んだ。柔らかく暖かくそして僕の頬を撫でると少し考えたように
「沢山沢山ご飯をつくってあげるね」
「うん?」
「私が沢山美味しいご飯をつくってあげる。だから、もっと元気になるよ」
そう言われてはっとした。僕の頬が痩けてるからだろう。
「ありがとう」
ついごめん、驚いたよねとか、もう触りたくなくなったとかそう言う言葉が出そうになったけど抑えた。だって、こんなに幸せだから
「何が好きなの」
「僕はラーメンかな」
「身体に悪いよ」
ペチペチと僕の頬を挟みそう言うと、起き上がりまた唇を寄せてきた。急だったから思わず目をつむってしまった。
「ふふ」
「なっ…」
恥ずかしくなり目を開けると、彼女の顔がドアップで写ってた。
「ねえ結婚式みたいだね」
「そうだね」
「ふふふ、花嫁からキスも悪くないよね!」
そう言うとまた唇を重ねてきた。角度を変える度に音がなる。酔いそうだ。
「私のお家ね、お父さんがお魚のバイヤーをしてるの」
「凄いね」
「だから、今度お魚持ってくる」
キスが終わった帰りにVサインで僕に笑顔を向けてきた彼女は本当に数日後にガサガサ音を言わせた白いケースと辛子明太子、そして僕の好きな銀だらを持ってきてくれた。
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