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~~~~(ジークムント視点)~~~~
クロウくんの指摘...考えてみれば十分有り得る話だ。
クロウくんを敵に回すことだけは避けたい。
パーティメンバーとも話し合ったが、皆も同じ意見だ。
あれを見てしまった以上、敵対することは出来ない。
万一皇国を敵とみなされ諍いとなったら、おそらく皇国は滅ぶ。
彼は万の兵をものともしないだろう。
皇国には彼を止めるすべがない...
表、裏含めて、我らパーティメンバークラスが最大戦力なのだ。
陛下には、我らパーティでさえ瞬殺するであろう実力者である
ことを、情報購入の可否をお伺いする際にお伝えした。
今回追加条件をお伝えした際にも、決して敵対することのない
ようにと、改めて進言はした。
ただ...それでもかの方々は手を出すかもしれない...
ダンジョンのことも探索者のことも何も知らぬ方々。
ただ報奨金を惜しんで、攻略を主導せよと簡単に命令をする
だけの方々。
そして、陛下の意を汲まない命令を下せる方々。
もし手を出してくるなら...
相棒のシオンくんを狙ってくる可能性が高いか。
決して褒められた話ではないが、人質はかの方々の常套手段。
シオンくんのことは特に報告していないが、かの方々の目や耳が
この辺りにいないというのは楽観的過ぎる。
クロウくんと接触していた以上、知られているとみるべきだ。
クロウくんは裏の者たちだろうと問題にならないと笑っていたが、
斥候職であるシオンくんがどこまで対応できるか不安だ。
クロウくんの情報を購入する可否は、方々が引き延ばしを画策した
としたら、下手をすると半月以上返答がないかもしれない。
一方、かの方々が手勢を送り込んでくるとしたら、早くて4日。
シオンくんの護衛を我らが行うべきだろうが、シオンくんは女性だ。
我がパーティの女性は一人。クロウくん達にばれてはいないだろうが、
護衛をお願いするわけにはいかない方だ。
どうすべきか...
クロウくんから追加条件を聞いた2日後。
クロウくんに正直に懸念を伝え、護衛できないことを伝えると、
彼は笑ってこう言った。
「ジークムントさん、ありがとうございます。
正直そこまで考えていただけるとは思ってもいませんでした。
シオンを狙うであろうことは予想の範疇でしたし、お返事が
いただけるまでは昼夜二人で行動しますので、問題はないと
思いますが...
そうだ!
ジークムントさんのご心配を払拭するために、ボクらは当分
向こうのエリア探索に行きっぱなしにします。2,3日毎に
ギルドに顔を出します。必要があればギルドに言付けてもら
えれば、宿の方に伺いますよ。
宿で休めないのは残念ですが、多分半月位まででしょう?
2週間後にお返事を頂けないなら、商談はなかったことに
しましょう。ついでにその後商談を再開するのであれば、
情報料は倍ということにすれば、バカな人たちもさすがに
それ以上手出しはしないでしょうし。」
確かに向こうのエリアに潜っていれば、手の出しようがない。
探索から戻った時も、日中でかつ二人であれば手を出すとも
思えない。逆にそこで手を出すようなら何の心配もいらない。
回答期限も、その後の話も納得だ。
かの方々もさすがにそこまで愚かではあるまい。
「クロウくん、ありがとう。
こちらの事情で窮屈な思いをさせてしまうこと、まことに
申し訳ない。
情報の購入について返答ができたら、改めて謝罪する。」
「あまり気にしないでください。
手を出してくる奴に容赦はしませんが、前にも言った通り
ボクはジークムントさんのこと、結構気に入っているんです。」
クロウくんはそう言って笑った。
クロウくんの指摘...考えてみれば十分有り得る話だ。
クロウくんを敵に回すことだけは避けたい。
パーティメンバーとも話し合ったが、皆も同じ意見だ。
あれを見てしまった以上、敵対することは出来ない。
万一皇国を敵とみなされ諍いとなったら、おそらく皇国は滅ぶ。
彼は万の兵をものともしないだろう。
皇国には彼を止めるすべがない...
表、裏含めて、我らパーティメンバークラスが最大戦力なのだ。
陛下には、我らパーティでさえ瞬殺するであろう実力者である
ことを、情報購入の可否をお伺いする際にお伝えした。
今回追加条件をお伝えした際にも、決して敵対することのない
ようにと、改めて進言はした。
ただ...それでもかの方々は手を出すかもしれない...
ダンジョンのことも探索者のことも何も知らぬ方々。
ただ報奨金を惜しんで、攻略を主導せよと簡単に命令をする
だけの方々。
そして、陛下の意を汲まない命令を下せる方々。
もし手を出してくるなら...
相棒のシオンくんを狙ってくる可能性が高いか。
決して褒められた話ではないが、人質はかの方々の常套手段。
シオンくんのことは特に報告していないが、かの方々の目や耳が
この辺りにいないというのは楽観的過ぎる。
クロウくんと接触していた以上、知られているとみるべきだ。
クロウくんは裏の者たちだろうと問題にならないと笑っていたが、
斥候職であるシオンくんがどこまで対応できるか不安だ。
クロウくんの情報を購入する可否は、方々が引き延ばしを画策した
としたら、下手をすると半月以上返答がないかもしれない。
一方、かの方々が手勢を送り込んでくるとしたら、早くて4日。
シオンくんの護衛を我らが行うべきだろうが、シオンくんは女性だ。
我がパーティの女性は一人。クロウくん達にばれてはいないだろうが、
護衛をお願いするわけにはいかない方だ。
どうすべきか...
クロウくんから追加条件を聞いた2日後。
クロウくんに正直に懸念を伝え、護衛できないことを伝えると、
彼は笑ってこう言った。
「ジークムントさん、ありがとうございます。
正直そこまで考えていただけるとは思ってもいませんでした。
シオンを狙うであろうことは予想の範疇でしたし、お返事が
いただけるまでは昼夜二人で行動しますので、問題はないと
思いますが...
そうだ!
ジークムントさんのご心配を払拭するために、ボクらは当分
向こうのエリア探索に行きっぱなしにします。2,3日毎に
ギルドに顔を出します。必要があればギルドに言付けてもら
えれば、宿の方に伺いますよ。
宿で休めないのは残念ですが、多分半月位まででしょう?
2週間後にお返事を頂けないなら、商談はなかったことに
しましょう。ついでにその後商談を再開するのであれば、
情報料は倍ということにすれば、バカな人たちもさすがに
それ以上手出しはしないでしょうし。」
確かに向こうのエリアに潜っていれば、手の出しようがない。
探索から戻った時も、日中でかつ二人であれば手を出すとも
思えない。逆にそこで手を出すようなら何の心配もいらない。
回答期限も、その後の話も納得だ。
かの方々もさすがにそこまで愚かではあるまい。
「クロウくん、ありがとう。
こちらの事情で窮屈な思いをさせてしまうこと、まことに
申し訳ない。
情報の購入について返答ができたら、改めて謝罪する。」
「あまり気にしないでください。
手を出してくる奴に容赦はしませんが、前にも言った通り
ボクはジークムントさんのこと、結構気に入っているんです。」
クロウくんはそう言って笑った。
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