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「ところで...
先ほどお話しした内容、番人に通用する魔法攻撃力というだけで、
討伐できるかどうかは別の問題ですよ?」
考え込んでいた皆が一斉にこちらを見る。
「ボクが討伐した時は、ペアの相棒が前衛にいたとはいえ、数十発の攻撃が
必要でした。ステータスは半減していたので威力も半減でしょうが。
それだけ長期戦だったんですが、前にも言ったと思いますが、後半戦で
ブレスの威力が倍増します。それに耐える必要もあります。
皆さんの装備、相当の守護がかかっているようですが、それだけで
長時間もつかどうか...
ボクの場合は魔法盾や魔法鎧でこなしましたが。」
「そうか。彼女の知力を上げるだけでは足りない可能性が高いか。」
ジークムントさんが今更のようにつぶやく。
「レベルを上げると考えれば皆さんのメインステータス中心ですが、防御という
意味なら体力を強化しておいた方がいいと思います。」
皆さん顔を見合わせている。
「まあ、一人頭20個か30個分程度体力を上げるのが無難では?
それで大体レベル200越えの体力に相当するでしょうから。
ざっと見積もって最低限で400から500個必要になりますか。
このダンジョンだけでは1年以内にはそろいませんね、これ。」
ちらとシオンの方を見やると、どうやら意図は通じている模様。
こちらを見てウィンクして見せた。
ジークムントさんも難しい顔をしていたが、ボクらのアイコンタクトに
気づいたっぽい。
「クロウくん、何か方策が有るのかね?」
皆さん一斉にこちらを見ないでください。
「はは、ばれました?
この話、要は商売ですが、情報提供だけで終わらせるつもりはなかったんですよ。
ただ、皇国の方でステータス宝珠が大量に用意できるとすると、話を持ち出す
必要がなくなるんですが。」
「いや、国元の方でもそれだけの数は揃えられまい。
方策が有るのであれば教えてほしい。」
これは...いけるかな?
「次の商談ってことになりますが。
ステータス宝珠って、他は知りませんがギルドのオークションでは、
金貨30枚スタートで大体40数枚で落札されてます。
最高は70枚超えたみたいですが、理由があったんでしょう。
で、1個金貨50枚でいかがです? 大体月に100個程度は提供できますが。」
「! オークションの実績と大量の安定供給でその値、か。」
「ま、そういうことです。
今の所、向こうのエリアはボクらの独占状態なので、この量を提供できるのは
ボクらだけだと思いますよ?」
「...討伐に成功すれば、別のパーティを育てることも可能か...」
うわ! そこまで思い至りますか。 やっぱりすごい人なんだな。
「実際にはギルドのルールがあるので、数日ごとにダンジョン内で取引という
ことになりますがね。1回あたり10数個でしょう。」
「ああ、ダンジョン内で消費する分は除外、というあれか。」
「そういうことです。」
ジークムントさんが目を瞑って考え込んだ。
1分ほどで目を開くと、こう言った。
「金額が金額なので、また国元に判断を仰ぐが、今回は問題なく行けるだろう。
ちなみに、ドロップ分全てを売ってくれるというわけではないよな?」
目が笑っている。
「もちろんです。」
笑いながら答える。
「半分として... どうあがいても追いつけない、というわけか。」
「...そういうことですね。」
意図は十分伝わった。
愚か者たちも今回は手が出せまい。
「ちなみに、今回値引きを言い出しそうな方、います?」
「...どうだろう?
口にするものはいるだろうが、国の判断には影響ないと思う。
今回の情報に追加費用が発生するかもという話は、最初からあったしな。」
ジークムントさんと笑いあう。
「では、またお返事をお待ちしています。
今日からは宿で休ませてもらいます。言付けはギルドでも宿でも。」
数日後、商談は無事成立した。
先ほどお話しした内容、番人に通用する魔法攻撃力というだけで、
討伐できるかどうかは別の問題ですよ?」
考え込んでいた皆が一斉にこちらを見る。
「ボクが討伐した時は、ペアの相棒が前衛にいたとはいえ、数十発の攻撃が
必要でした。ステータスは半減していたので威力も半減でしょうが。
それだけ長期戦だったんですが、前にも言ったと思いますが、後半戦で
ブレスの威力が倍増します。それに耐える必要もあります。
皆さんの装備、相当の守護がかかっているようですが、それだけで
長時間もつかどうか...
ボクの場合は魔法盾や魔法鎧でこなしましたが。」
「そうか。彼女の知力を上げるだけでは足りない可能性が高いか。」
ジークムントさんが今更のようにつぶやく。
「レベルを上げると考えれば皆さんのメインステータス中心ですが、防御という
意味なら体力を強化しておいた方がいいと思います。」
皆さん顔を見合わせている。
「まあ、一人頭20個か30個分程度体力を上げるのが無難では?
それで大体レベル200越えの体力に相当するでしょうから。
ざっと見積もって最低限で400から500個必要になりますか。
このダンジョンだけでは1年以内にはそろいませんね、これ。」
ちらとシオンの方を見やると、どうやら意図は通じている模様。
こちらを見てウィンクして見せた。
ジークムントさんも難しい顔をしていたが、ボクらのアイコンタクトに
気づいたっぽい。
「クロウくん、何か方策が有るのかね?」
皆さん一斉にこちらを見ないでください。
「はは、ばれました?
この話、要は商売ですが、情報提供だけで終わらせるつもりはなかったんですよ。
ただ、皇国の方でステータス宝珠が大量に用意できるとすると、話を持ち出す
必要がなくなるんですが。」
「いや、国元の方でもそれだけの数は揃えられまい。
方策が有るのであれば教えてほしい。」
これは...いけるかな?
「次の商談ってことになりますが。
ステータス宝珠って、他は知りませんがギルドのオークションでは、
金貨30枚スタートで大体40数枚で落札されてます。
最高は70枚超えたみたいですが、理由があったんでしょう。
で、1個金貨50枚でいかがです? 大体月に100個程度は提供できますが。」
「! オークションの実績と大量の安定供給でその値、か。」
「ま、そういうことです。
今の所、向こうのエリアはボクらの独占状態なので、この量を提供できるのは
ボクらだけだと思いますよ?」
「...討伐に成功すれば、別のパーティを育てることも可能か...」
うわ! そこまで思い至りますか。 やっぱりすごい人なんだな。
「実際にはギルドのルールがあるので、数日ごとにダンジョン内で取引という
ことになりますがね。1回あたり10数個でしょう。」
「ああ、ダンジョン内で消費する分は除外、というあれか。」
「そういうことです。」
ジークムントさんが目を瞑って考え込んだ。
1分ほどで目を開くと、こう言った。
「金額が金額なので、また国元に判断を仰ぐが、今回は問題なく行けるだろう。
ちなみに、ドロップ分全てを売ってくれるというわけではないよな?」
目が笑っている。
「もちろんです。」
笑いながら答える。
「半分として... どうあがいても追いつけない、というわけか。」
「...そういうことですね。」
意図は十分伝わった。
愚か者たちも今回は手が出せまい。
「ちなみに、今回値引きを言い出しそうな方、います?」
「...どうだろう?
口にするものはいるだろうが、国の判断には影響ないと思う。
今回の情報に追加費用が発生するかもという話は、最初からあったしな。」
ジークムントさんと笑いあう。
「では、またお返事をお待ちしています。
今日からは宿で休ませてもらいます。言付けはギルドでも宿でも。」
数日後、商談は無事成立した。
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