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醜悪な俺を見ないでくれ
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「テンテンさーん、起きてください。今日は休みじゃなくて、仕事の日ですよ」
ああ、うるさいくらい聞こえてるっての。リュウくんにそんなこと思うんじゃない。でも、こんな醜い姿を晒せるわけないじゃん。起き上がりたくてもできなくて、腕を死ぬほど切りまくってるんだけど、まるで効果がなくて、うざくて焦ってどうしようもなくて泣いてんの。涙と血が笑えるほど止まらない。
「まじで、死んでないですよね?洒落になんないっすよ、ほんと」
段々と雲行きが怪しくなる声。これが聞こえてるまではまだ生きている。理想と現実の境目を白昼夢でもみるかのように往来中だ。
「あっ、鍵開いてる。テンテンさん、失礼しまーす」
ああ神様、彼の目がこの瞬間だけは失明しますように。こんな醜悪な俺を見ないでくれ。
「あーあ、俺死んだわ」
どうしようも仕方がなくて、ベッドから落ちたところの床の上で、寝っ転がったまま腕から血を流した俺の遺体。床が汚れている。凶器のカッターは近くの床の上、手が届く範囲。微かに動いた唇としゃがれ声で死亡確認をする。視線は夢の中だ。第一発見者のリュウくんは叫び声を上げずに、少々時間をかけてから状況を把握した。一旦、ドアは閉めた。
「どうしよどうしよ。テンテンさん、生きてますよね?」
彼は左下で横向きになっている俺の姿勢を取り敢えず、仰向けにさせてから、まだ血が垂れている左腕を見てゾッとした。あまり露わにしないように配慮した姿勢だったのに。狸寝入りをして操られるままというより、俺は動きたくても動けないので、自分を意識のある人形だと思う。リュウくんはそんな不細工な人形の胸に耳を当てて、心音を確認した。唇に手のひらを当てて、呼吸まで確認してた。
「はああ、生きてるう。とりま良かったあ」
ホッと胸を撫で下ろすという言葉通りの仕草をして、安堵の表情が細い目の隙間からぼんやりと見えた。
「……リュ、ウ、くん」
心も身体もくすぐったくて、掠れ声が漏れ出た。リュウくんを覗き見てるようで悪い気がしたのだ。
「テンテンさん⁉ああ、ほんと、テンテンさん。生きて、生きてるんすねっ!」
満開の桜の花びらが後ろに見えるような笑顔だ。少し上体を起こされて、抱きしめられた。彼の泣いているような鼻水を啜る音が聞こえるんだが、何で泣いているのか理解ができない。怠くて怠くて、脳が仕事を放棄している。ふわふわした真っ白だ。
「ごめん、なさい」
壊れたロボットのように謝罪すると、そこから徐々に人間味が芽吹いていく。自分の愚行が理解できて、涙がまた溢れてきた。
「ほんとっすよ、僕がどれだけ心配したと思って——ふふっ、ないっすね。今日は二人で楽しんじゃいましょうか」
八つ当たりのような彼の言い分は途中で終わり、俺を慰めるように微笑んだ。
ああ、うるさいくらい聞こえてるっての。リュウくんにそんなこと思うんじゃない。でも、こんな醜い姿を晒せるわけないじゃん。起き上がりたくてもできなくて、腕を死ぬほど切りまくってるんだけど、まるで効果がなくて、うざくて焦ってどうしようもなくて泣いてんの。涙と血が笑えるほど止まらない。
「まじで、死んでないですよね?洒落になんないっすよ、ほんと」
段々と雲行きが怪しくなる声。これが聞こえてるまではまだ生きている。理想と現実の境目を白昼夢でもみるかのように往来中だ。
「あっ、鍵開いてる。テンテンさん、失礼しまーす」
ああ神様、彼の目がこの瞬間だけは失明しますように。こんな醜悪な俺を見ないでくれ。
「あーあ、俺死んだわ」
どうしようも仕方がなくて、ベッドから落ちたところの床の上で、寝っ転がったまま腕から血を流した俺の遺体。床が汚れている。凶器のカッターは近くの床の上、手が届く範囲。微かに動いた唇としゃがれ声で死亡確認をする。視線は夢の中だ。第一発見者のリュウくんは叫び声を上げずに、少々時間をかけてから状況を把握した。一旦、ドアは閉めた。
「どうしよどうしよ。テンテンさん、生きてますよね?」
彼は左下で横向きになっている俺の姿勢を取り敢えず、仰向けにさせてから、まだ血が垂れている左腕を見てゾッとした。あまり露わにしないように配慮した姿勢だったのに。狸寝入りをして操られるままというより、俺は動きたくても動けないので、自分を意識のある人形だと思う。リュウくんはそんな不細工な人形の胸に耳を当てて、心音を確認した。唇に手のひらを当てて、呼吸まで確認してた。
「はああ、生きてるう。とりま良かったあ」
ホッと胸を撫で下ろすという言葉通りの仕草をして、安堵の表情が細い目の隙間からぼんやりと見えた。
「……リュ、ウ、くん」
心も身体もくすぐったくて、掠れ声が漏れ出た。リュウくんを覗き見てるようで悪い気がしたのだ。
「テンテンさん⁉ああ、ほんと、テンテンさん。生きて、生きてるんすねっ!」
満開の桜の花びらが後ろに見えるような笑顔だ。少し上体を起こされて、抱きしめられた。彼の泣いているような鼻水を啜る音が聞こえるんだが、何で泣いているのか理解ができない。怠くて怠くて、脳が仕事を放棄している。ふわふわした真っ白だ。
「ごめん、なさい」
壊れたロボットのように謝罪すると、そこから徐々に人間味が芽吹いていく。自分の愚行が理解できて、涙がまた溢れてきた。
「ほんとっすよ、僕がどれだけ心配したと思って——ふふっ、ないっすね。今日は二人で楽しんじゃいましょうか」
八つ当たりのような彼の言い分は途中で終わり、俺を慰めるように微笑んだ。
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